※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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佐渡島攻略作戦4

「ヲ号標的、完全に沈黙! 撃破と判断します!」

 

「今のが、アークエンジェルの切り札……」

 

「特装破城砲……ローエングリン……ですな」

 

通信将校の報告に参謀達が沸き立つ中、悠陽と小澤はローエングリンの威力に驚いていた。

新種のヲ号標的はその巨体に見合い、36mmと120mmでは痛打になっていなかった。

しかしそのヲ号標的が、ローエングリンの一撃で上半分が消し飛んだ。

崩れたヲ号標的により、周囲に居た幾らかのBETAは潰せただろう。

しかし、問題はここからだ。

確かにヲ号標的は撃破したが、新たに現れたBETA群の中にはレーザー級や重レーザー級が多数居る。

 

「AL撃て! 重金属雲の形成急げ!」

 

「地下から出てきた連中に、大気圏降下兵団(オービットダイバーズ)を撃たせるな!!」

 

小澤の副官の指示の直後、天照を含め第一戦隊が砲撃を開始した。僅かに遅れて、第二と第三戦隊も砲撃を開始。

だが、第二戦隊と第三戦隊はAL弾ではなく、通常の砲弾だった。

これは、スピリッツの技術が大きいだろう。

第一戦隊の帝国海軍艦隊は、スピリッツの技術を得て、戦艦を大幅に改修。それにより、各種砲弾の切り替えが一分以内に切り替わるようになっている。

それに対して、第二と第三戦隊の国連、アメリカ艦隊は、ロケットコンテナ換装という技術を採用しており、砲弾の切り替えには最大で約3分掛かるのだ。

その為に、先に自動装填機の中の砲弾を撃ちきる方が早くなる場合もある。

 

「重金属積乱雲による通信障害は、はどうなっている」

 

「未だに広域通信並びに広域戦術データリンクは効きません。近接を使い、情報収集しています」

 

通信将校の報告を聞いた小澤は

 

「レーザー通信が開発出来なかったのは、惜しいですな……こういった状況でも、通信出来たでしょうが……」

 

「仕方ありません……まだ我々の技術不足故です……今後の課題としましょう」

 

小澤の呟きに、悠陽が答えた。

以前に、重金属雲下でスピリッツの通信が明瞭だった事を不思議に思った整備士が、虚に聞いたら、レーザー通信という技術という事を知ったのだ。

レーザー光を使って行う通信方式で、よほど特殊な環境下でもない限りは通信出来る、小澤達からしたら喉から手が出る程欲しい技術だった。

勿論レーザー通信の為に機器の開発を始めたのだが、大きな難題が2つ。

電力とレーザー通信機器の大きさだった。

電力は大型艦艇ならば十分に足りるが、大きさが今の段階では艦橋丸々1フロア分という大きさになってしまったのだ。

最たる要因は、通信データをレーザーに変換するのと、逆にレーザーから通信データに変換する機能だ。

レーザー発信器は工業用の物を流用可能と分かっている。しかし、そんな大型では戦術機にも搭載出来る訳がなく、未だに研究している。

スピリッツではそれを、母艦だけでなくMSにも搭載しているので、通信が明瞭に出来るのだ。

しかし、無い物ねだりしても仕方ないので、今ある物でやるしかないのだ。

 

「ウィスキー連隊、損耗率25%! 一部でですが、BETA群が揚陸地点に迫ろうとしています!」

 

「戦車隊に対して、砲撃するように指示! 攻龍はどうした!」

 

「攻龍隊、今現在砲撃陣地の形成完了。前線への支援砲撃を開始すると通信が来ました」

 

今回、攻龍は36機だけだが用意出来たので投入しており、初の実戦導入だ。

しかしその評価は高く、戦果が期待されている。

 

「中隊ごとに、三ヶ所の指定区域に砲撃するように伝えよ!」

 

「了解!」

 

小澤の指示の約10秒後、一ヶ所から凄まじい密度の砲撃が空を走る。380mmという大口径砲弾が小澤が指示したポイントに向かって殺到していき、その威力を発揮した。

 

「ウィスキーaから報告! デストロイヤー級集団に大打撃!」

 

「Aー01から報告! 支援感謝する!」

 

どうやら、支援砲撃要請があった部隊は無事らしい。

しかし小澤は

 

「Aー01……精鋭部隊とは聞いていたが、一個大隊規模で凄まじい戦果だ……」

 

と呟いた。

国連軍横浜基地から唯一出撃してきた部隊が、Aー01だ。たった一個大隊で、何が出来ると騒いでいた参謀も、そのAー01の戦果に驚嘆している。

Aー01は中隊規模に別れ、本来なら大隊で相手する数を瞬く間に撃滅した。それも、一切の損害無しでだ。

そして、今現在はある地点の敵を掃討している。

 

「Aー01への支援、感謝しますわ。小澤提督、煌武院殿下」

 

そこに、空気の抜ける音が聞こえたと思いきや、新しく入ってきた人物。夕呼が感謝の言葉を告げた。

 

「香月博士」

 

「お久しぶりですね、博士」

 

小澤は初めてだが、悠陽は横浜基地が完成する前に何回か会った事があるのだ。

夕呼は背後に副官のピアティフ中尉を伴いながら、艦橋に入り

 

「ピアティフ。お二人に現在のAー02の状況を伝えて」

 

「はっ! Aー02は現在、新潟県糸魚川の辺りを佐渡島に向かって移動中です。戦域到着まで、最大で約30分です」

 

ピアティフが説明を始めると、人工衛星で捉えたらしい映像が表示された。

まず気になったのが、その巨大さだった。戦術機との比較が写されたが、戦術機がまるで玩具に見える程に大きいのだ。

 

「なんと巨大な……」

 

「これが浮いているというのが、信じられん……」

 

その映像を見た参謀達が、口々に漏らす。

 

「Aー02……例の新兵器ですな……謳い文句に違わぬ兵器であってほしい物ですな」

 

「お任せを、小澤提督。我々人類は、BETAごときに負ける訳がありませんから」

 

夕呼はそう言って、通信将校席に座るAー01大隊の通信将校。涼宮遥中尉を見て

 

「涼宮、Aー01はどうしてる?」

 

「Aー01大隊は現在、旧鰐清水一帯を制圧完了。全周警戒態勢にて待機中。補給物質を要請しています」

 

「小澤提督」

 

「はっ! 間宮隊を向かわせよ!」

 

悠陽の言葉の意図を察した小澤は、通信将校に間宮を向かわせるように指示した。それにより、精鋭部隊に護衛された間宮の一個中隊が向かった。

 

「噂の補給専用小型戦術機……話には聞いていましたが……」

 

「はっ……技術研究厰が新たに開発し、配備した機体でしてな。積極的にスピリッツから得られた技術を導入し、小型ながらに高い推力を得ており、緊急時には両腕両足を爆圧ボルトで切り離し軽量化し、戦術機単機で運べる機体と聞いておりますな」

 

小澤が説明を始めると、サブモニターに間宮の簡易的な図解が表示された。しかも、パイロットは衛士訓練過程から落伍した者達から選ばれる為に、訓練が無駄にならなくて済むのだ。

 

「スピリッツの技術……」

 

実は夕呼、そして横浜基地もスピリッツから得られた技術を導入しており、その恩恵に肖っている。

まず夕呼は、戦術機用の新しいPCの開発に、簪と束の二人から得られた技術を導入しており、武が考案した新OS、XM3を戦術機に載せる事に成功しており、Aー01部隊は全機導入している。

そして横浜基地としては、新しい兵器を導入した。

 

「新兵器といえば、香月博士が考案した新OSも凄まじいですな……戦術機の動きが全くの別物に見えますな」

 

実は途中でAー01の映像が表示されたのだが、彼らからしたら見慣れた不知火の筈なのに、動きが全く違かったのだ。

その違いは何かと問われたら、間違いなく新OSのXM3だろう。

 

「素晴らしいOSです……量産され、全戦術機に行き渡れば、戦死する衛士の数も減りますね」

 

「あのOSの発案者も、同じ事を言っていましたわ」

 

「む? 新OSの発案者は、香月博士と聞きましたが……」

 

小澤提督の言葉に夕呼は、首を振り

 

「新OS発案者は、恐らく最前線に居るかと」

 

と佐渡島を指差した。

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