『HQから全軍に通達! 先行突入した部隊からの通信途絶! 順次突入したマイク、ノーベンバーの各大隊からの報告では、第13層より下から4万以上のBETA群の侵攻を確認、との事! 警戒せよ!!』
どうやら、大気圏降下兵団は
実は武から佐渡島攻略作戦の話は聞いており、大気圏降下兵団は全滅すると知っていた。
その要となるのは、この世界ではまだ未確認のBETA。名前は、
見た目はトンネルを掘るボーリングマシンのようだが、サイズが段違いで、高さは優に100m以上あり、長さは数百m。その巨体の中に、10万近くのBETA群を収容し、地中を移動する事が出来る個体、との事だ。
確かにそれならば、佐渡島ハイヴの数の多さにも納得した。
今現在、佐渡島ハイヴでの撃破したBETA総数は20万を超えている。この時点で予想個体数を越えているのだが、それが一体、何処に居たのか、という話だった。
その答えが、
「フェニックス1よりマザー! 母艦級と思われる移動震源は観測出来たか?」
『只今、収集したデータにフィルタリングをしています。少々お待ちください』
マークからの問い掛けに、ミラ・ルナから返答が来た。
やはり、元々のBETAの振動や、砲撃での振動が理由で簡単には見つからないだろう。
それ自体は、マークも予想していた。
しかし、今目の前で次々と地面からBETAが現れてきた。だからマークは
「……フェニックス1から、フェニックス2、トライアド1! アレを使うぞ!」
『アレ……ですか……了解です』
『了解!』
マークが言うアレ。それは、NTの戦闘力を飛躍的に向上させる兵装。ビット。
しかし、普段マーク達が使うフェザーファンネルは、地上では使用制限が掛かり、使えない。
ならばどうするか、スピリッツで協議を重ねて、ある世界の技術を使う事にした。
「フェニックス1より、マザー! アレを出せ!」
『マザー1了解!』
『マザー2了解!』
マークからの要請の直後、アークエンジェルとエウクレイデスから、次々と何かが射出された。
それは、頭部以外はフェニックスガンダム、ハルファスガンダム、フレスベルグにそっくりだった。
頭部はNT感応波の受信機とセンサー機能に特化させた簡易式の物にし、それ以外は各機体と性能はほぼ同じ。
ビットMSだ。
AW世界で、一人のNTが親機に乗り、その親機から子機たるビットMSを一緒に操れば、一人で中隊や大隊規模に匹敵する戦力になる。そういう発走で開発されたのが、ビットMSだ。
実は、スピリッツでもBETAの多さには手こずっていた。いくらガンダムの性能が高くても、万を優に越えるBETAには後手に回る事もあった。
打開策の1つとして、ハロを使ったMSの投入も考えられたが、ハロだと教科書通りの動きしかしない為に、撃破される可能性もあった。
そういった協議の末に、まずNT用としてビットMSを導入する事に決め、用意されたのがフェニックス、ハルファス、フレスベルグの三機分のビットMSだ。
用意した数は、それぞれ親機を含めて中隊規模。
これで、即席だが大隊規模になる。
「良いか、実戦では初運用だ! 気を引き締めろ!」
『了解したわ!』
『了解!』
そしてスピリッツは、後退してきた戦術機部隊を助ける為に、突撃を開始した。
場所は変わり、天照艦橋。
「話には聞いていましたが……」
「あれが、スピリッツの用意した切り札の1つ。ビットMS……無人機とは思えない動きですね」
小澤提督と悠陽は、スピリッツが新しく運用を開始したビットMSを見て、驚いていた。
戦術機も親機を設定し、無人設定の戦術機を操る事が出来る。
しかし、その動きはプログラミングされたものなので、画一的でシンプルなのだ。
だから、対BETA・対人問わず容易く撃破される事も多い。
しかし、ビットMSの動きは親機と遜色無い激しい動きをしている。
「私も彼らから聞いた話ですが、あれはパイロットの脳波で動かしているようです」
「脳波で……」
夕呼の説明に、小澤提督は驚いているようだった。
実は戦術機にも、衛士の脳波を観測し、機体の動きを補助する機能があるのだ。
それにより、機体が衛士が納めた剣技を発揮出来るようになる。
しかし、スピリッツが運用しているのは、それを遥かに上回る。たった一人のパイロットにより、中隊規模の部隊が運用されているのだ。
今も、フェニックスにより1つの中隊が助けられた。
少しずつだが最前線を押し上げ、助かる部隊が増えている。
「しかしそれは、スピリッツの方々に高い負担を強いてる筈……今現在の全軍の損耗率は?」
悠陽が問い掛けると、通信将校は端末を操作してから
「ウィスキー連隊、損耗率33%。エコー連隊、損耗率36%。エコー連隊の援護に近衛軍第16大隊が展開しています」
と伝えた。
それを聞いた悠陽は、少し考えて
「……予備戦力を出しましょう。イータ艦隊に通達。全艦、戦域に突入し、戦力を投入せよ」
「はっ! イータ艦隊に通達!」
秘匿していた戦力の投入を決めた。