『イータ艦隊、佐渡島に接近開始! 搭載機、何時でも出撃出来るように!』
『了解!!』
イータ艦隊旗艦、最上からの通信に、イータ艦隊の戦術機母艦搭載機部隊の衛士達は斉唱で返した。
その搭載機は、先行量産された不知火弐型12機を隊長機とした12中隊、144機。全機に共通しているのは、腰部前面装甲に書かれた烈士の文字。
「クロウ1より、各中隊に告げる……漸く、我々の出番だ……殿下の期待に応え、各々最善を尽くせ!!」
その隊長機として、ダークグレーの不知火弐型に搭乗している沙霧尚也少佐は少しずつ接近しつつある佐渡島を睨んでいた。
帝国の屈辱の象徴たるハイヴ。その一つの佐渡島ハイヴ。幾多の衛士達が攻略と佐渡島の解放を夢に見て挑み、帰ってこなかった負の象徴。
沙霧少佐は以前にユーラシア大陸に派遣されて、負傷から内地送還。その後はユーラシア大陸での戦闘経験を買われて帝都守備連隊に配属されてからは対BETA戦は数える程度になり、ハイヴ攻略には参加出来ないだろうと考えていた。
しかし今、佐渡島ハイヴ攻略作戦に参加している。
(感謝します、殿下……散っていた仲間達に、顔向け出来ます!!)
今回集められたのは、帝都守備連隊と
その時、警報が鳴り響き
『規定海域に侵入! 全機、発艦態勢へ!!』
と戦術機母艦のエレベーターが起動して、戦術機が次々と甲板に上がっていく。
不知火弐型・先行量産型が12機に不知火壱型甲が24機。不知火が36機に隼鷹・先行量産型が72機。あまりにも贅沢な戦術機部隊だが、これはデータ収集も兼ねているからだ。
特に不知火弐型は、跳躍ユニットが違うのが半分ずつ編成されており、今回の運用から得られたデータから更に改良と選定が進む事だろう。
隼鷹は最終確認の為で、最早何時でも量産出来る態勢だ。
そして、全機が甲板に上がると、随伴していた最上を旗艦とした艦隊から、砲撃が始まった。砲弾やミサイルが飛来し、佐渡島で爆発を連続させる。
それを見ると、戦場に戻ってきたという感覚が戻ってくる。やはり、対BETA戦こそが、自分たち衛士の役割なのだと、再認識出来る。
そして、いよいよその時が来た。
『イータ艦隊全戦術機、発艦せよ!!』
「発艦する!!」
指示された直後、次々と戦術機が母艦から発艦を開始。海面ギリギリを這うように進行する。
「いいか! 既にレーザー種の照射範囲圏内だ! 決して高度を上げるな!」
『了解!!』
選抜された衛士らしく、一糸乱れぬ匍匐飛行で進む戦術機部隊。すると、沙霧少佐機に個別通信回線が繋がり
『沙霧少佐』
「駒木か」
沙霧少佐の長年の副官の駒木大尉の顔が表示された。
彼女は不知火壱型甲に搭乗し、沙霧少佐機の左斜め後方に居る。
『まさか、再び佐渡島に来れるとは思っていませんでした……』
「……そうだったな、お前は確か……」
駒木大尉も沙霧少佐と同じく元ユーラシア大陸派遣兵だが、帰還後は一時期佐渡島守備隊に居て、基地が陥落するまで奮戦。
基地が陥落してからは残存戦力を纏めて避難民を必死にBETAから守り、自身も最後の船と共に離脱した。
約三万人は居た佐渡島守備隊の残存兵力は、僅か数百人。
その後は駒木大尉も帝都守備連隊に編成となり、佐渡島奪還への参加は諦めていた。
『しかし、今また佐渡島に……』
「どうなるか分からんものだな……」
『はっ……』
一時はクーデターを起こして、政府をひっくり返そうとしたから、命を捨てる覚悟を決めていた二人。否、クーデターに参加する予定だった全員がそうだった。
それが今、佐渡島に上陸しようとしていた。
「行くぞ、駒木……我々は、殿下の命令を遂行する!」
『はっ!!』
そう言った直後、沙霧少佐機と駒木大尉機は、沿岸部を制圧していた帝国海軍海兵隊の海神改に取り付いていた戦車級を素早く排除。
「我々は予定通り、半数はウィスキー連隊の援護に向かえ。残りはAー01大隊の支援に向かう! この佐渡島を……帝国の国土を取り戻す!」
『了解!!』
イータ連隊は、行動を開始した。