※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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大国の転覆

 

 

 

『それはどういう事かな、香月博士。確か、当初の予定では、佐渡ヶ島ハイヴの次は鉄原ハイヴだった筈だが?』

 

そう問い掛けたのは、珠瀬事務次官である。

夕呼は佐渡ヶ島ハイヴ攻略作戦の前に、ハイヴ攻略順番を告げていて、それでは佐渡ヶ島ハイヴの次は旧中国領の鉄原ハイヴの予定であった。

そこを攻略し、その地域を足掛かりにしてユーラシア大陸全域の奪還作戦を遂行する。というのが、夕呼が事前に発表していた内容だった。

しかし、佐渡ヶ島ハイヴを攻略して約1週間程で夕呼はそれを撤回してきて、いきなり同じく旧中国領のオリジナルハイヴを攻略すると進言してきたのだから、驚くのも無理は無かった。

 

『これは、佐渡ヶ島ハイヴ攻略作戦に投入したAー01に搭載された00ユニットで得られたBETAのリーディングデータを精査していて判明した事なのですが……今まで、BETAの情報伝達構造は……オリジナルハイヴを頂点に、近いハイヴから遠いハイヴというピラミッド構造、と考えられていました』

 

夕呼はそう言って、全員の国際通信機のモニターに、今まで考えられていたピラミッド型のBETAの情報伝達構造を表示させた。

 

『ああ、確かにそう言われているが……』

 

『それが、どうしていきなりオリジナルハイヴを攻略するという発言に繋がるのかね?』

 

夕呼のその話に、欧州連合とアメリカの代表がそう問い掛けてきた。すると夕呼は、新しい構造を表示し

 

『しかし実際は、オリジナルハイヴが頂点で、全てのハイヴが下という構造の箒型だと判明しました』

 

夕呼が新しく発表した情報に、会議に参加していた各国の代表はざわめき始めた。

今まで、ピラミッド構造型により、近くのハイヴが人間でいう上司に当たり、下部のハイヴが得た情報はそこで止まり、精査・対策が考案されて、また同じハイヴに返されると考えられていた。

しかし夕呼が発表した構造では、全ての情報はオリジナルハイヴに行き、対策が考えられている事になり、鉄原ハイヴの攻略は意味が無いという事が分かってしまった。

 

『つまり……鉄原ハイヴを攻略しても……意味が、無い……という事かね?』

 

『……そうなります』

 

夕呼の肯定の言葉を聞いて、通信国際会議は無言になった。それが事実ならば、最悪はオリジナルハイヴには今まで使ってきた陽動や兵器が通用しなくなる可能性が高いのである。

 

『ですから、早急に戦力を集め、オリジナルハイヴを攻略する必要があるのです』

 

夕呼が再度、オリジナルハイヴを攻略すると言った時、アメリカの代表が慌てた様子で

 

『す、すまない。少し席を外す』

 

と姿を消した。

それを見た夕呼と、珠瀬事務次官。そして日本代表はアメリカ代表が退席した理由を察した。

アメリカ国内で、クーデターが起きたのである。

この理由は少し時を遡り、スピリッツに真耶が合流した直後になる。

スピリッツは真耶から得た反G弾派抹殺計画の内容を、アメリカのネット上に流布。

それを知った反G弾派の軍人達は、怒り心頭になった。

やはり大きな要因は、真耶の父親たるカストール・ディゼル少将を謀殺した事だった。カストール少将はアメリカ陸軍内では非常に高い信望を集めており、反G弾派の象徴だった。

しかしカストール少将は殺された。アメリカ政府は当初、RLFによるテロだと発表していたが、実際はそのアメリカ政府による謀殺だと分かってしまった。

それを知ったカストール少将を慕う者達や反G弾派が集まり、クーデターを引き起こしたのだ。

クーデター部隊はまず、G弾派の部隊を強襲し、瞬く間に制圧。更にはG弾保管庫を襲撃し、G弾を全て破壊。

更には事前に、G弾派がした悪事が各新聞社にリークされ、一面に載せられた。

アメリカ政府が新聞社に抗議と新聞を全て回収するように命じてる間に、陸戦隊が警備隊や護衛官を制圧。

ホワイトハウスに居たG弾派と第5計画推進派を全員拘束したのである。

アメリカはまさかクーデターが起こるなんて予測していなかった為、対応が間に合わず、あっという間にクーデターは成功した。

それを、国際通信会議に参加していた代表が知った。という事である。

今アメリカでは、アメリカという国が始まって以来の大事件が起きたのだ。

なおクーデター部隊には、ウォーケン少佐率いる第66戦術機甲大隊も参加。ウォーケン少佐率いる第66戦術機甲大隊は、インフィニティーズを抑え込む事に成功した。

この成功の裏には、第七空母艦隊にスピリッツが接触し、アメリカが開発を辞めたYFー23。ブラックウィドウを回収し、少数だが生産した事も理由に上げられる。

YFー23、ブラックウィドウ

この機体はかつて、ラプターと制式採用を競った試験機体で、実は総合性能はラプターを上回っている機体である。

制式採用されなかった理由は、アメリカが砲撃戦闘重視戦法を採用したからだ。

実はブラックウィドウは、アメリカでは珍しく近接戦闘用武装に長刀を制式に採用していた機体なのだ。

ブラックウィドウもステルスを採用していて、BETA戦以後、もし他国もステルスを採用した場合、近接戦闘が発生すると考えて、近接戦闘用長刀が採用された。その基本的構造は、日本の長刀を踏襲しており、非常に高い近接戦闘能力を発揮し、実際にラプターとの模擬戦では近接戦闘になり、戦闘の決め手は長刀だった。

それをハッキングにより知ったスピリッツは、極秘裏にブラックウィドウを回収し、ミラが中心になり少数を生産。クーデター部隊に引き渡したのだ。

それをウォーケン少佐率いる部隊も使用し、インフィニティーズを抑え込み、むしろ勝利した。

これが、今アメリカで起きた事件である。

これで、第5計画は事実上無期限停止となる。

後は、確実に第4計画を成功させるだけ。

 

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