新たにまりも用として配備された不知火に乗り、まりもは部下四人を率いてBETA群に突撃。
レーザー級を最優先目標にし、他のBETAは出来るだけ無視し、肉薄する。
しかしレーザー級の前に、要塞級が次々と立ちはだかる。
『くそっ! 要塞級が邪魔だ!!』
『少佐!』
まりもの後に突撃してきた蜃気楼は、無反動砲を次々と要塞級に叩き込んでいく。
無反動砲の直撃を受けて、要塞級は数を減らしていく。だが、元々BETAは無数に現れる。一体倒しても、その倍の数が現れて侵攻してくる。
『あの穴から、ドンドン出てきやがる!!』
『メインゲートに向かってる!?』
『阻止しろ!!』
要塞級だけでなく、要撃級や突撃級、戦車級もメインゲートに迫っていた。弾幕でBETAを釣瓶打ちにするが、ジリジリと迫ってくるBETA群。
そして、先頭の群が距離500まで迫った。まさにその時
『支援する!! そこから動くな!』
と新たな通信が繋がり、夥しい数のビームがBETA群を焼き払った。
『スピリッツか!!』
『神宮寺少佐か! 合わせる!!』
マークはまりもに気付くと、まりもの動きに合わせて攻擊を始めた。BETA群が出てくる穴に近づき、その中にコンテナを投入した。
その数秒後、穴から轟炎が上がり、天を突いた。
爆発で地面も陥没するが、それすら考慮済みだった。
むしろ崩落を起こし、一時的にでも穴を塞ぐのが目的だった。
『帝国からの要請により、横浜基地の救援に来た。間に合ったようで、何よりだ』
マークがそう言ってる間にも、スピリッツは凄まじい勢いでBETA群を駆逐していく。
そして、新たにBETA群が出てくる穴を発見し
『グランド隊!』
『潰します!!』
マークの短い指示から察して、グランド隊が一気に突撃を開始。道中邪魔なBETAを惨殺し、穴に近付くと
『邪魔だ!!』
『退きなさい!』
小隊であっという間に、穴から出てきたばかりのBETA群を撃破。そして
『投下!』
マークと同型のコンテナを穴に投下。数秒後、爆発が発生して、穴は崩落した。
これで、ゲート前に出来ていた穴は一時的にだが塞がった。それを受けてか
『HQ、工兵隊を出せ! 速乾性充填材で穴を塞ぐ!!』
『了解! 指定座標に工兵隊を派遣する!』
まりもは工兵隊の派遣を要請し、司令部は即座に受諾した。そしてまりもは、戦術機部隊の損耗を確認し
『……HQ、追加の補給物資を』
『了解、地上ハンガーと地下ハンガーの双方から、補給コンテナを出す!』
まりもに要請を受けて、無視されていた地上ハンガーの隔壁が開き、強化外骨格を装備した整備士達が補給コンテナを運んできた。
『残弾が多い機体から、補給を急げ! 突撃砲は交換しろ!』
無事な機体は、まりもの指示に従い補給を開始した。
そして視界の端で、整備士達により損壊した機体から運び出される衛士達を見た。
中には、予備機体の用意を整備士に要請している衛士も居る。この横浜基地には、多数の予備機体が用意されている。
動けるならば、再出撃してほしいところではある。
『1個小隊残す。他は演習場に行くぞ!』
『了解!』
『マーク殿!』
まりもも動きたいが、部隊の指揮と弾薬の補給中で動けない。するとマークが
『そちらは、部隊の指揮を……なに。演習場のAー01は必ず助ける』
とだけ言って、一気に機体を進ませた。
『……頼んだ、スピリッツ……』
ジェミニ隊が周囲を警戒するなか、まりもは演習場方面に向かっていくスピリッツを見送った。
その頃、BETAが地中侵攻してきた演習場は、阿鼻叫喚の地獄となっていた。
当初大隊規模は存在していた戦車隊は、その数を大きく減らしており、半分近くにまでなっていた。
それを当初から支援していた戦闘ヘリ部隊は、弾切れで後退し、代わりにAー01大隊が支援していた。
『クソが! 穴から、ドンドン出てきやがる!』
『何とかしたいが……手が足りない!!』
慎二と孝之の二人は、にじり寄ってくるBETAに砲撃を叩き込みながら、悪態を吐いた。
しかも二機の背後には、弾切れの戦車が居た。
支援砲撃していた最中に襲撃され、そこから直接戦闘に入った戦車隊の残存機は、大半が弾切れに陥っており、脱出する事も難しくなっていた。
Aー01大隊は戦車隊を逃がしたかったが、基地方面にBETAが出てくる穴があり、それすら叶わない。
『!? 高速で接近してくる反応!』
『この速度……まさか!?』
碓氷とみちるの二人が察した直後、侵攻してきていたBETA群に対し、閃光の雨が降り注ぎ、BETAを焼き尽くす。
『脱出路を確保する! その間に脱出しろ!!』
『Aー01はスピリッツに合わせて攻擊!』
2つの精鋭部隊の挟撃で、穴周辺のBETAは瞬く間に数を減らしていった。
そして、穴に近づいた直哉機が
『吹き飛べ!!』
と穴の中に、次々とグレネード弾を連射して、穴を崩落させた。
『今だ! 戦車隊、全速で進め!』
『振り向くな!』
碓氷とみちるの二人の言葉の直後、残存戦車隊は一気に基地方面に向かっていった。