第三演習場から離れたスピリッツとAー01大隊は、急い正面ゲートに向かっていた。戦車隊が離れた直後に、HQから、新たに大規模BETA群が現れたと通信が入ったのだ。
正面ゲートに近付くと
『クソが! 掛かってこいや!!』
『弾は腐る程あるんだ! 残念だったな!!』
と衛士達の威勢の良い声が聞こえてきた。
しかしレーダーには、恐ろしい数が表示されている。見える限りだが、味方2に敵8という比率でレーダーが真っ赤に染まっている。
これ程の数が、佐渡ヶ島の生き残りだという。
『レイピア1より各機! Aー01とスピリッツがカバーに入る! 味方撃ちに注意!!』
「構うな! 攻擊はこちらで避ける! 手を緩めるな!!」
『了解!!』
Aー01大隊とスピリッツの帰還に気付いたレイピア1が味方に注意喚起したが、マークは攻擊を緩めないように指示。そしてマークは、Bゲートに接近しつつあった数体の要塞級を視認し
「ゲートに近付く要塞級を最優先! 溶解液を使わせるな!!」
『了解!!』
数体の要塞級は、その身に120mm砲弾を受けながらも、ジリジリとゲートに近づいていた。
そんな要塞級の一体に、マークはビームライフルを数発撃ち込み撃破。その直後、上から別の要塞級の衝角鞭が振り下ろされてきたが、マークはビームサーベルで両断し、メガビームキャノンを発射。
また一体を撃破したが、まだ夥しい数のBETAが3つのゲートに迫っていく。
『チクショウ! 突撃級の残骸が邪魔だ! 小さいのがジリジリ近付いてきやがる!!』
『MLRS装備の奴! ロケットで吹きとばせ!!』
気付けば、当初の位置から3個大隊は後退しており、もうゲートの手前までBETAはにじり寄って来ている。
その時だった。
『HQよりAー01大隊、連隊付小隊、スピリッツへ! メインゲートを一分だけ開放する! 中に入り、90番ハンガーと最下層のコアへ向かえ!』
とHQから通信が来た。
その時、マークは気付いた。
3個大隊は、その数を大きく減らしていた。恐らく一部は、ゲート内の物資集積場に居るのだろうが、BETAに大きく減らされているようだ。
『帝国海軍が、支援砲撃をしてくる! その前に、想定範囲から出て内部へ入れ!』
「了解した! スピリッツ全機、行くぞ!!」
『了解!』
ゲート前の戦力が大きく損耗したのは、恐らくは母艦級も運んできたBETAが原因だろう。そのせいで新しい穴も掘られて、奇襲を受けてしまった。
幸いなのは、充填剤の完全硬化が間一髪で間に合った事だろう。
しかし、楽観視は出来ない。突撃級や要撃級、戦車級には強くなったが、要塞級の溶解液やレーザー照射を受けたら長くは保たない。
その為にHQは、最下層のコアを停止させる事を決定した。
コアが停止すれば、BETAは横浜基地から離れる筈である。
『クソ! 武装の強化や、防衛用の装備を増やしたのに!!』
『ボヤくな、武! まだ終わった訳ではないぞ!!』
武の言葉に、隣に来た冥夜が反論した。
確かに、まだ終わった訳ではない。まだ間に合う可能性は十分あるのだ。
Aー01とスピリッツは、物資集積場を抜け、メインシャフトを抜けると、90番ハンガーに到着した。
そこには、4機のスサノヲシリーズが駐機されていた。
一機は、佐渡ヶ島攻略作戦で運用された弐型で間違いない。
もう一機も弐型だが、機銃が追加されている事から、改修型なのだろう。
そしてもう2機は、話に聞いたスサノヲ四型なのだろう。
主砲は弐型から引き継いだメガ粒子砲。他に、トレーラーサイズの砲弾を発射するレールキャノンに、技術研究廠で試験運用されていた120mm電磁投射砲。他に36mmチェーンガンが多数に垂直発射式ミサイル発射基が十数基。
これらの豊富な武装が施されたスサノヲシリーズが、超大型ガントリーに駐機されている。
武の記憶では、桜花作戦にスサノヲ四型は未完成で投入され、本当に間一髪で作戦を成功させた。
その結果が、生還者2名という悲惨な数字だ。
だが見た限り、スサノヲ四型は完成している。
前回では砲口が塞がれ、大容量コンデンサーにされていたレールキャノンは、砲口が塞がれていないし、前回は無かった120mm電磁投射砲が多数見受けられる。
実は、佐渡ヶ島攻略作戦で第16近衛大隊が少数運用し、非常に高い戦果を挙げている。
最新のデータも合わせて、夕呼は電磁投射砲を四型に装備し、レールキャノンはスピリッツの協力を得て開発した。
そして、主機関のムアコック・レヒテ機関は、佐渡ヶ島攻略作戦で得たデータから、より高出力化を実現し、最大で一分あればメガ粒子砲を撃てるようになっている。
それが、最新のスサノヲ四型である。