スピリッツとAー01大隊。そしてまりも達が基地に入って十数分後、地表はほぼBETA群に支配された。
戦っていた3個大隊の内、無事な機体は何とかゲート前から一度離れ、アメリカ軍と共闘を開始した。
しかしBETA群は、そんな戦術機部隊をほぼ無視してゲートに殺到していた。
『クソ! BETA共が、俺達を無視して横浜基地に!!』
『一匹でも多く削れ! 内部の機構と部隊が勝てるようにだ!!』
『横浜基地内部に入りたいが……!!』
アメリカ軍と横浜基地部隊は外に居たBETA群を続々と狩り続けているが、やはりBETA群の殆どが戦術機を無視して破壊したメインゲートや充填封鎖したAゲートとBゲートに殺到している。
砲撃はゲートに被害を与えないようにと、少し離れた位置。具体的に言うと、BETAが空けた穴とその周囲を狙って撃っている。
しかしその辺りには、既に夥しい数のBETA群の残骸が転がっており、砲撃効果を著しく低下させていた。
すると
『こちら横浜基地HQ! 香月です!』
と夕呼から、通信が入った。
『香月副司令!?』
『実は、横浜基地の建設時に使った地下への物資搬入経路が、まだ生きています』
『物資搬入経路が!?』
この横浜基地は、ハイヴを基にして建設されている。しかし、上部の物資集積場と地下へのエレベーターが出来るまで他に搬入経路が無かった訳が無い。
確かに物資集積場とエレベーターが完成してからは使わなくなり、封鎖された状態にある。
しかし、完全に塞いだ訳では無かった。
そちらに回す時間と物資を惜しんだのが、今回偶然だが生きたのだ。
横浜基地から戦術データリンクに、その物資搬入経路の位置座標情報が上げられ、戦術機部隊は即座に動いた。
部隊を半分に別けて、半数はまだまだ現れるBETA群を漸減し、残りの半数がその物資搬入経路のゲートに向かった。
その場所は、第一演習場の端に有った。
その大きさから、元々はハイヴの周辺に造られる
広さも十分に、戦術機が複数機突入出来て、数機が横並びになっても進める程であった。
『隔壁はこの際、壊して構いません。恐らく電源は死んでると判断します』
『了解! 聞いたな!? これより我々は、横浜基地地下施設に向かう! 最早中は、BETAだらけだろう! 周辺警戒を厳にし、所属を問わず、2機連携を意識しろ!!』
『了解!!』
臨時に隊長になったダリル中尉は、指示を下した後に、隔壁を120mm砲で吹き飛ばした。
その後、ダリル中尉機を先頭に、戦術機部隊は物資搬入経路に突入した。
やはり電源は死んでるのは、確実だった。
物資搬入経路に入ると、戦術データリンクが
『通信が良くないな……離れ過ぎるな!』
暫く進むと、また隔壁が見えた。
『気を引き締めろ!』
ダリル中尉はそう言って、また隔壁に120mm砲を数発撃ち込んで突破した。
するとすぐ前に、要撃級の側面が見えた。
『ナイヴス1、フォックス2!!』
『ナイヴス2、フォックス2!!』
そこから、突入部隊の激戦は始まった。
物資集積場は既に突破され、最下層に降りるエレベーターはBETAにより破壊され、内壁には夥しい数のBETAが張り付いていた。
『撃ちまくれ!! リズムが崩れたら終わりだ!!』
『稼ぎ時だ! スコアを稼ぎまくってやれ!!』
『了解!!』
戦術機部隊は手当たり次第に、BETAに対して砲撃を敢行して、残骸へと変えていく。
しかし、次から次へと上からBETAが壁伝いに降りてくる。
『クソが! キリがねえっ!!』
『ボヤくな! 機動が取れるだけまだマシだ!!』
『レーザー級だ! 全て狩り尽くせ!!』
眼下で一つの隔壁に対して、数体のレーザー級が集中照射しているのを発見した一機が戦術データリンクで共有し、即座に他の仲間と共に撃滅する。
そこに
『そこのハンガーに、補給コンテナがあります! 使ってください!』
とピアティフ中尉から通信が入った。
実はその隔壁の先が90番格納庫で、そこでAー01大隊達が補給作業をしていたのだ。
『了解した! 助かる!』
突入部隊は突入する直前まで戦っていたので、弾薬も大分消耗していた。
帝国軍式の36mm弾の弾倉は独自規格で、アメリカ軍の突撃砲には使えない。
だが、FCSが認識すれば帝国軍式の突撃砲も使えるようになるし、他の武装も使える。
だからダリル中尉は、隔壁前に部隊を集結させた。
『一分だけ隔壁を開ける!』
『その間に入る!』
突入部隊は近付くBETA群に対して砲撃しながら、開放された隔壁を通り抜けて90番格納庫に入っていく。それと入れ替わる形で、Aー01大隊から1個小隊とスピリッツから1個小隊が出て、下層に向かっていった。
『こちら、アメリカ海軍海兵隊。ブラックナイヴス隊長のダリル・マクマナス中尉。補給を申請したい』
『こちら、国連軍横浜基地Aー01大隊隊長の碓氷少佐。申請は受理します。残っているコンテナを使ってください』
残っているコンテナに、残弾や推進剤が多い機体から補給を始めた。
その間に、ダリル中尉は
『先ほどの2個小隊は、一体何をしに下層へ?』
『最下層のコアの破壊に向かった』
ダリル中尉からの問い掛けに、碓氷少佐は答えた。