90番格納庫から出た2小隊。
Aー01からは、冥夜、千鶴、速瀬水月、柏木晴子。
スピリッツからは、千冬率いる小隊が、最下層に向かっていた。
道中のBETAは出来るだけ撃滅し、最下層の隔壁が見えた。
『CとDの隔壁を開けます!』
『こんな速度でクランク機動!?』
『だが、やるしかあるまい!!』
ピアティフ中尉からの通信を聞いて、千鶴は驚愕した。難易度が高い機動。下手したら、隔壁や壁に激突し大破は免れない。
だがその機動を、臨時小隊は成功させる。その後から、千冬率いるブリュンヒルデ小隊も難なく通り、BETA群に対して砲撃する。
『横の壁に穴が有った!! 地下に向かった個体が居るぞ!!』
『何ですって!?』
千冬からの通達に、速瀬水月は驚愕する。
つまり、最下層にも既にBETA群が入っている事になる。
エネルギー補給し、稼働時間が回復し始めるだろう。こうなれば、最早時間的猶予は無いし、司令部が検討していたコアの一時停止させて後で再起動は選択する余地は無い。
実はその為に、司令部に詰めていた涼宮遙が非常用のハシゴを使い移動を始めている。
今なら、注意勧告出来ると判断して冥夜は
『α2からHQ! BETAが壁を破壊し、通常通路に入り始めた可能性が高い! コアの再起動使用案は危険と考える!』
『了解! 副司令に判断を仰ぐ!』
ピアティフ中尉がそう言ったタイミングで、最下層が見えた。
最下層の隔壁を戦車級と要撃級が破壊しようとしていて、更に近くの壁と隔壁に小さな穴が見えた。
兵士級か闘士級ならば、入れるサイズだ。
『クソッ! もう小型種が中に入ってる! 護衛の兵士達には繋がるか!?』
『ダメです! 通信が繋がりません!』
『この様子じゃあ、司令部から隔壁の遠隔開閉も無理そうね』
臨時α小隊がどうしようかと考えていたら、隔壁前に群がっていたBETA群を撃滅したブリュンヒルデ小隊の束が
『破砕突破するしかないでしょ?』
『そうだな……02トリガータイミングを同期』
『了解』
千冬機と束機が2機並び、隔壁の前に立った。
そうして、2機の砲撃で隔壁に大穴が空いた。その向こうに、コアが見えた。
よく見れば、既に数十体のBETAが取り付いて何かしている。恐らくそれが、エネルギー補給なのだろう。
α小隊は、そのBETAの排除を開始した。
一方その頃、横浜基地司令部
「ダメです! 最下層エリアとの通信は不可能です! 直前に護衛として派遣した機械化兵もシグナルロスト! 再起動案は不可能です!」
ピアティフ中尉からの報告に、夕呼は梯子を降りてる途中の遥を呼んだ。
『はい!』
「すぐに戻りなさい。最下層は、既にBETAに支配されたみたい。貴女を喪う訳にはいかないわ」
『最下層が……!?』
「しかも、通信も繋がらない……後は、戦術機部隊とスピリッツ側の判断に任せるしかないわね」
そう言いながら夕呼は、ラダビノット中将に
「司令」
「うむ……司令部に繋がる全隔壁を閉鎖後、防衛システム起動! 司令部付近のクラス3以下の全要員は、基地からの避難を開始! 避難完了し次第、避難経路は充填封鎖! 生き残れ!!」
それは、事実上の基地の放棄指示だった。
司令部に残るのは、最低限の要員のみ。
ラダビノット中将は、司令部要員をぐるりと見回して
「すまない……全員の命、預かるぞ」
ラダビノット中将の言葉に、残っている要員は全員敬礼した。