Aー01に供与された武御雷に、Aー01の衛士達は慣れる為に武御雷の詳細な性能データを入力したシミュレーションを繰り返した。
不知火には慣れていたAー01だったが、武御雷の性能は不知火を圧倒的に上回っている。
当初はその性能に振り回され、事故を起こしたり、撃破されていたのだが、2日もすれば慣れてきて、シミュレーションでだがハイヴの最下層に到れるようになっていた。
オリジナルハイヴ攻略作戦、蒼穹作戦まで日が無い。
なんとしても、オリジナルハイヴのコアを破壊する必要があった。
Aー01の衛士達はシミュレーションで訓練している最中、夕呼は武と冥夜達を呼んで作戦を考えていた。
冥夜達元207B訓練小隊のメンバーは武御雷に即座に慣れ、他の衛士達よりも最下層に到れる回数が多かったから、作戦会議に呼ばれた。
というのが、表向き。
実際は、武達が前の世界でオリジナルハイヴの攻略に成功しているから、内容を詰める為に呼んだのだ。
「つまり、ラザフォードフィールドじゃあ、コアの重頭脳級の触手は防げないのね?」
「はい。ラザフォードフィールドが歪曲・無効化され、機体に侵入されて操られてしまいました……恐らくですが、元々グレイ物質はBETA由来ですから、重力制御技術を有していると考えられます……しかも、機械を操る技術までありました……」
武達の説明を聞いた夕呼は、頭を抱えた。
ラザフォードフィールドを展開すれば、有象無象の通常級BETAは近づけないのは佐渡ヶ島で立証済み。
しかし、地球上のあらゆるBETAとハイヴを統括する重頭脳級が放つという触手は、そのラザフォードフィールドを無力化出来るという驚愕の事実。
今更、対策を開発出来る訳がない。
だがそこに
「ならば、電磁フィールドならどうかな?」
とマークが現れて、ある機械の設計図を開いた。
「電磁フィールド……」
「ああ。確か、四型の発電量はかなりの余裕があったな? こちらの技術者連中が、BETAに有用な波長の電磁波を発見し、その電磁波を発生させる装置を開発した」
それは、簪と束が開発し、戦場で実験していた最中だった。
2機で様々な新兵器を試していたのだが、ある新型レールガンの実験をしていた時に、近付いたBETAの動きが鈍り、内部から破裂したのだ。
そのデータを検証し、繰り返し実験を行った結果、そのレールガンから発せられていたある周波数の電磁波が、BETAの体液をあっと言う間に沸騰させている事が判明したのだ。
実は佐渡ヶ島で実地試験を行い、既に効果は立証済み。
今現在、その電磁フィールドだけが希望だった。
「けど、それは人体にも影響が出るのでは?」
「その可能性は十分にある……だから、対電磁シールド措置を施す必要がある。一応、そのシールドも此方で用意した」
マークはそう言って、設計図を見せた。
こちらは機械ではなく、素材。それは、スピリッツで運用されている核融合炉に採用されている素材で、核融合炉から発せられる電磁波や放射線をパイロットや整備士に悪影響を与えない為に使用されていた。
そして今まで、パイロットや整備士に悪影響が出たという報告は無い。
つまり、効果は立証済みだ。
「どうする? 香月博士?」
マークからの問い掛けに、夕呼は暫く思案して
「そちらの案を採用します。装置と素材は?」
「既に90番ハンガーに運び込んである。自由に使え」
それを聞いて、夕呼は立ち上がり
「ピアティフ、整備士の責任者を呼んできて。四型に電磁フィールド装置を組み込み、全機に対電磁措置を施します」
「はっ!」
夕呼の要請を受けて、ピアティフは会議室から出た。
蒼穹作戦の発動まで、後2日に迫っていた。