蒼穹作戦前日
工兵部隊の奮戦により、ロケット発射台と送電線、給水ラインは無事に修復が完了し、スサノオシリーズへの電磁フィールド装置の組み込みと各戦術機への防御措置も完了した。
今はロケットに、戦術機を搬入している最中で、Aー01は最後の追い込みをしていた。
昨日時点で、Aー01大隊のみでの最下層到達率は約七割にまで至っており、碓氷少佐は約九割まで上げておきたいらしい。
因みに、元207B訓練小隊は小隊だけで九割強の確率で最下層に到達し、なんなら重頭脳級まで到達している。
碓氷少佐は不思議に思っていたが、今は放置し訓練に勤しんでいる。
「……後はオリジナルハイヴに突入しての出たとこ勝負になるな」
「そうね……それに、はっきり言ってシミュレーションは少ないルートを選んでたから、前より少ないわ」
「はいー……前は、補給コンテナを全部使い切ってしまいましたね……」
冥夜の言葉に、千鶴と壬姫は苦い表情を浮かべていた。
前の世界では、Aー01は元207B訓練小隊以外は軒並み戦死か戦闘不能状態になり、オリジナルハイヴには彼女達と霞しか突入出来なかった。
その時もなるべくBETAが少ないを進んだが、それでも圧倒的数に押されて、生き残ったのは武と霞の二人だけだった。
「ただ、今回は大隊規模突入で、全機が武御雷……それに、スサノオシリーズが三機も投入される……前の世界より到達出来る確率は高い……」
「うん。今度こそ、確実にオリジナルハイヴを攻略する!」
慧の言葉に、美琴も意気込んで同意した。
しかし、不安要素はある。
前の世界では居なかった(というより、知らなかった)新種。超重レーザー級を始めとした新種の出現。
まだ新しい個体が出てくる可能性は十二分にある。
「だから、新種を見つけたら何かされる前に撃破するしかない……」
「そうだね……それが一番確実だけど……」
「けど、下手に攻擊して逆効果になる場合があるわね」
千鶴の言葉に、元207Bの面子は思わず唸る。
そこに
「そこで唸っても、意味無いだろうが」
と声がした。
気付けば、武が壁に背中を預けていた。
「武……そなた、何時から」
「お前らがオリジナルハイヴに突入する、って話してた辺りだな」
「つまり、かなり最初って事ですね!」
「気づかなかった……」
気配に鋭い慧ですら、今の武には気づかなかったようだ。
(スピリッツの訓練のおかげかな)
武は内心そう思いながら
「今回、俺には自由行動が許された。だから、Aー01と行動を共にする」
「Aー01と?」
「ああ。他にもハイヴに突入するみたいだが、俺は確実に居る……だから、俺が眼前の敵を粉砕する……それが出来るのが、ガンダムだ」
武は自信満々に、断言した。
武は今までの周回で、様々な戦術機に乗り、その性能は把握している。だがガンダムは、それらを遥かに凌駕する性能を有していた。
「武が来るのなら、百人力だな」
冥夜は確信した様子で断言し、他のメンバーも同意するように頷いた。
前の世界よりも、帝国自体の戦力も増強され、武装も強化され、Aー01も戦力が増えて、スサノオシリーズが複数投入される。何よりもスピリッツも突入する。
負ける確率の方が低い筈である。
「だから、俺達に出来るのは、オリジナルハイヴを攻略する事だ」
「ええ」
「そうだな」
「……うん」
「そうだね!」
「はい!」
武の言葉に、彼女達は一斉に頷いた。
そして、世界中で戦力が動き始めた。