会談 後
ゼノンの提示した条件に、帝国側は幾らか動揺を見せた
そして、大将軍が
「前二つは了承しますが、人員に関しては……」
と言葉を濁した
それを聞いて、マークが
「人員に関して、帝国がギリギリなのは了承している……」
と言って、先のゼノンのようにUSBをまりもに渡した
それを受け取ったまりもは、許可を得るために二度大将軍に視線を向けた
許可を得たまりもは、そのUSBをパソコンに接続
あるファイルを開いた
その内容を見て、帝国側は驚愕した
それは、帝国全軍の現在の人員配置状況だった
「先に言った通り、電子戦が得意な者が調べました……その者からですが、先に侵入された形跡があるから、対策をした方がいいと」
ゼノンがそう言うと、大将軍は巖谷に
「巖谷中佐」
と視線を向けた
「は。後程、対策を講じます」
巖谷がそう言うと、大将軍は頷いた
するとマークが
「そこで、こちらからの提案としてですが、技術研修という形で定期的に入れ換える……では、どうでしょうか?」
と言った
それを聞いて、帝国側は驚きで目を見開いた
「期間はそちらに一任しますが、定期的に人員を入れ換える……そうすれば、人員不足はある程度補えるのでは?」
それたけでなく、スピリッツの有する技術を知る機会を得ることに繋がる
「この提案を受け入れてもらえるなら、こちらは更なる技術の開示も出来ます」
それはつまり、先に開示した高周波短刀や400mm無反動砲だけではないということ
余りにも魅力的な提案だった
そこまで聞いた大将軍は、数秒黙考すると
「わかりました……そちらの提案を受け入れましょう」
と告げた
それを聞いたゼノンが頷くと、斑鳩が
「しかし、こちらが用意出来ない資材はどうするのかな?」
確かに、その問題もあるだろう
するとマークが
「物によりますが……こちらでも、自主的に回収しましょう……その技術を有してますし、場所もあります」
と言った
すると、祐唯が
「それは、何処で?」
と問い掛けた
その問い掛けに、ケイが
「
と上を指差した
「ソラ……? まさか、宇宙ですか?」
と首を傾げたのは、悠陽だった
するとマークは
「ええ……宇宙の小惑星や隕石は、有効な資源採掘場です」
と答えた
それは予想外だったのか、帝国側は動揺しながらも
「まさか、宇宙で活動出来るので?」
と恭子が、問い掛けた
その問い掛けに、ゼノンは
「我々は、宇宙でも問題なく活動出来ます。MSは、本当は宇宙での活動を前提とした機体です」
と語った
すると祐唯が
「宇宙でも、使える機体なのですか!?」
と身を乗り出した
問い掛けたのは祐唯だけだが、その気持ちは全員同じだったらしい
全員が驚いていた
「ええ、その通りです……」
ゼノンの肯定に、帝国側は小声で何やら会話を始めた
そして会話が終わったらしく、顔を向けて
「わかりました……貴殿方の条件、全て受け入れましょう……」
と告げた
大将軍はそう言うと、立ち上がった
そして、ゼノンと握手を交わした
今ここに、帝国とスピリッツは全面的に契約することが決まった
その頃、アメリカのある場所では
「日帝に現れたという傭兵は、どうだ?」
「ダメです……こちらが提示した条件を、受け入れません」
眼鏡を掛けた男の問い掛けに、肥えた男がそう答えた
すると、別の男が机を強打し
「傭兵風情が! 調子に乗りおって! 薄汚い傭兵なら傭兵らしく、こちらの条件で大人しく雇われればいいものを!!」
と怒鳴った
なおアメリカが提示した条件は、5000万ドル
日本円にして、約50億円という大金だ
そこに、一人の痩せた技官らしい白衣を着た男が
「データ送信されました画像を見ましたが、彼等の技術はこちらを遥かに上回ってました……ビーム兵器、推定で戦艦の主砲と同等と思われる無反動砲……それに、飛行戦艦……どれも、我々には無い技術です!」
と興奮した様子で、語った
すると、先程の肥えた男が
「あの兵器……黄色い猿共には不相応だ! あの兵器は、世界の中心たる我々アメリカにこそ相応しい!」
と確信したように言った
「しかし、奴等は我々の条件には頷かず、日帝と契約するらしい……ふざけた連中だ!」
そう言ったのは、幾つもの勲章を着けた大柄な軍人だった
そして、その軍人は腕組みして
「こうなったら、どんな手段を使ってでもこちらに来させなければ……!」
と唸り、他の参加者達は同意するように頷いた
だが、この時の彼等は知らなかった
この会話が、筒抜けだったことに