※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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訓練と改修

翌日

 

「はい、訓練終了……大丈夫か?」

 

と問い掛けた一夏の視線の先では、シミュレーターから結華が出てきて

 

「分かってましたが……やはり、強い……」

 

と呟いた

今しがた、結華と一夏の一対一の模擬戦を終えたところである

機体は、トルネードで統一した

結果は、一夏の圧勝だった

すると

 

「身体能力が高いのは分かってましたが……これは……」

 

とセツコが言った

それを聞いたらしく、直哉が画面を覗き込み

 

「トルネードが、追い付いていないか……」

 

と呟いた

それを聞いた一夏が

 

「そんなにか?」

 

と問い掛けた

すると直哉は

 

「ああ。彼女の反射神経に、機体が追い付いてない」

 

と答えた

すると、結華が

 

「え、追い付いてない?」

 

と首を傾げた

すると直哉が

 

「ああ……ほんの僅か……約0、3秒だがな……この反射速度……赤服とまではいかないが……並のコーディネイターを超えてるか……凄いな」

 

と感嘆していた

 

「コーディネイター?」

 

「遺伝子調整が施された人間でな。普通の人間より、高い身体能力を有している……」

 

首を傾げた祐輔に、直哉はそう説明した

それを聞いた結華は

 

「そんな人間が居るんですか……」

 

と驚いていた

 

(何処の世界にも、同じことを考えるバカは居るがな……)

 

と直哉は思った

それは、以前に束と簪がしたハッキングによって得た情報の一つ

ソ連が行っていた、一つ前のオルタネイティブ計画

通称、オルタネイティブⅢ

そのオルタネイティブⅢで、人工ESP体と呼ばれる存在が産み出されていた

それは、人工的にESP

つまりは、超能力を持った人間を産み出し、BETAに対して接触を計ろうとしたのだ

しかし、結局は失敗している

 

「とりあえず、一機には君に追い付くように何らかの対策を講じよう……でなければ、危険だ」

 

たった0、3秒とはいえ、実戦では大きく影響する

時には、0、1秒の遅れですら命取りになってしまう

だから、それを無くすために対策をするのだ

 

(とはいえ、恐らくトルネードでは彼女に追い付かなくなるのは自明の理だな……)

 

直哉はそう思いながら、もう一人

祐輔のデータに目を通した

祐輔の機体は、以前に搭乗したフェニックスゼロ・改だ

そのフェニックスゼロ・改は、以前に直哉が搭乗していた機体で、常人には扱いきれない機体である

なにせ、NTに進化しかけていた直哉の反射神経に追随させるためにOSから機体まで改造を施した機体だ

もし常人が操縦したら、機体のレスポンスに振り回されて事故を起こすだろう

しかし祐輔は、少し振り回されているが、十分に操縦していた

 

(まさか……NTに近づいてきているとでも言うのか?)

 

と直哉が思っていると、セツコが

 

「あ、あちらの模擬戦も終わったようですね」

 

とある方向を見た

すると、起動中だったシミュレーターが停止し、中からセシリアとシャルロット

更に上総と和泉が出てきた

そちらは、二対二で模擬戦をしていたのだ

結果は、言うまでもなし

 

「お疲れ様。大丈夫?」

 

「これを」

 

と二人は、上総と和泉に飲み物を手渡した

その間に、直哉達は和泉と上総のデータを確認

 

「ふむ……暫くは、トルネードで十分に行けるか」

 

「はい、そう思います」

 

と話すと、データを提出するためにシミュレータールームから出た

そして、その日の午後だった

 

「本日から暫くの間、出向という扱いで来ました! 帝国軍技術研究厰より、約300名です! よろしくお願いします!!」

 

早速、帝国軍から技師が来た

更に、それに合わせて食糧を含めた物資が運ばれてきた

流石に、約300という人数は予想外だったが、提案したのはスピリッツ側だ

 

「よろしくな! アタシが、スピリッツのメカニックチーフのケイ・ニムロッドだ! 好きに呼びな!」

 

ケイが自己紹介するとどよめいたが、すぐに収まった

そして、彼等の技術研修が始まった

 

「おお……これが、話に聞いていたMS……」

 

「なんと勇ましい姿か……」

 

ハンガーに並び立つ機体を見て、技師達は感嘆の声を漏らした

そんな技師達に、ケイが

 

「はいはい! ボーっとしてる暇は無いよ! やることは有るんだからね!?」

 

と声を張り上げた

それを聞いた技師達は、敬礼した後は素早く動き始めた

しかも、動きも早かった

流石は、日本でも特に高い技術を有する技術研究厰

最初は戸惑っていたが、あっという間に技術を吸収していった

特に彼等が驚いていたのは、機体に収容出来る核駆動炉だった

それにより、理論上は半永久的にエネルギーを得られる

 

「本当に素晴らしい……ここは、技術の宝庫だ……!」

 

と言ったのは、白髪が特徴の中年男性だった

着ている作業服の階級章から判断するに、今回の技師達の最高責任者だろう

その男性は、ジッと機体を見上げてから

 

「お前ら! ここの技術を、一つでも多く修得するんだ! いいな!?」

 

と激を飛ばした

そんな中、スピリッツに帝国から新たな依頼が出された

それは、現在帝国でも次期主力機として配備が進められている機体

不知火の改修依頼だった

世界で初の第三世代戦術機、不知火

その性能は非常に高く、後に世界各国が配備を開始する第三世代機にも劣らない機体である

しかし、その性能の高さにはある秘密があった

それは

 

「んー……発展性が、余りにも無いなぁ……」

 

発展性の無さだった

薫子が言った通り、不知火は余りにも発展性が無かった

その理由は、要求された性能を獲得するのと、早期配備が求められたからだ

刻一刻と迫る、BETAの脅威

それに備えるために、帝国は世界に先駆けて第三世代機の開発を開始した

しかし、一足飛びの開発は困難を極めた

だから帝国は、第二世代機たるFー15で技術を修得し、本来兵器開発に必要な発展性を極限まで削った設計により、高い性能を獲得した機体を作り出した

 

「確かに、優秀なんだろうけどね……この発展性の無さはなぁ……」

 

薫子はそう言いながら、頭を掻いた

はっきり言ってしまえば、お手上げに近いだろう

配備されて四年が経つ不知火だが、改修機は一種のみ

それが、上総や和泉、唯依を助けたウルフ中隊に配備されていた、不知火一型丙である

一型丙は、配備された当初からの要望たる機動性の向上を行った機体だ

しかし、はっきり言えば失敗と言っても過言ではなかった

確かに、最高速度は上がった

だがそれは、燃費と操縦性を引き換えにしていたのだ

それにより、ベテランにしか扱えない機体になってしまった

だから、約100機で生産を終了した

そもそも、スピリッツは未だに戦術機のことをよく把握しきれていない

そこでスピリッツは、帝国

いや、世界で初めて配備が開始された機体

Fー4

帝国呼称、撃震を一機回してもらった

その撃震の改修も請け負い、基礎技術の把握を開始した

 

「なるほど……カーボニックアクチュエーター……これは、炭素を使った人工筋肉みたいな物なんだ……電気を通すことで、機体を動かす……」

 

やはり、MSとは全く違った部品だった

しかし、一度把握すれば後は容易かった

なにせ、MSのほうが難しい部品を使っていることが殆どだ

だから、まずは撃震の改修が完了した

名付けて、撃震・改

跳躍ユニットの最高速度の向上

火力は、腕部に36mmガトリングガン

更に両肩に、120mm無反動砲を装備した

弾は補給のしやすさを考えて、既存の物にした

そして、足首部分にスラスターを内蔵

これにより、機動性の大幅な向上に成功した

基本的に、内部は大幅な改修はしなかった

これは、早期配備を考えたからだ

これには、帝国も喜んでいた

不知火が次期主力機だが、撃震の配備数は帝国陸軍の約半数に登る

しかもスピリッツは、今の帝国の技術でも改修しやすいようにと配慮していた

そして、問題の不知火の改修に取り掛かった

なにせ、今の帝国には時間が無かった

何時また、BETAが上陸してくるか分からない

それを考えると、大規模改修は難しかった

 

「出来るとしたら……跳躍ユニットの改修……かな?」

 

そう判断した薫子は、跳躍ユニットの改修を開始した

跳躍ユニットが、戦術機の機動性の要

それを改修することで、機動性を向上させることにしたのだ

しかしそれは、一型丙と同じコンセプトになる

だがそこは、腕利きが揃うスピリッツ

最高速度の向上をしつつ、更には燃費の向上を図った

それにより、操縦性が若干悪化したが、十分に誤差範囲内と判断された

こうして、配備されるだろうになった不知火の改修機

その名は、不知火一型甲とされた

そして、不知火一型甲の配備が開始された約一ヶ月後

中国大陸、鉄原ハイヴからBETAが南下を開始したという情報が帝国に来たのだった

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