※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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泥臭い機械化歩兵の戦いです


新潟西港攻防戦 1

横浜から離脱したスピリッツは、そのまま新潟に向かった

今新潟では、佐渡島撤退戦が行われていた

新潟に侵攻したBETA群は、そのまま新潟から佐渡島に向かった

これに対して、帝国軍と国連軍は迎撃戦を開始したが、続く戦闘で艦隊の弾薬は尽きてしまった

そこからは、地獄だった

佐渡島に向かったBETA群は、弾薬が尽きた艦隊の迎撃を容易く突破し、佐渡島に上陸

佐渡島に展開していた帝国陸軍が足止めしている間に、佐渡島に停泊していたあらゆる船を使って新潟東港に向けて、ピストン輸送していた

その間、新潟西港付近では、帝国陸軍と特殊作戦軍、帝国近衛軍がBETAと交戦していた

本来なら近衛軍は天皇と政威大将軍。そして帝都の守備専任だが、政威大将軍の要請により、新潟西港付近に展開

BETA群と交戦していた

 

『ふ、要塞級!? しまっ……がぁぁぁぁぁ!?』

 

『クレイン3!?』

 

その近衛軍部隊

帝国近衛軍第八大隊指揮官、崇司恭子は、部下を指揮しながら試製98式の操縦を続けていた

しかし、そんな彼女の部隊の近くに要塞級の集団が上陸

部下の一人を、その足で踏み潰した

現れた要塞級の数は、20体

他の部隊も一斉に砲撃するが、倒せたのは僅か数体

 

「ここまでなの……!?」

 

恭子はそう呟きながら、長刀を装備

接近してきた要撃級を切り捨てた

その時

 

『そこの帝国近衛……動くな』

 

と通信が入り、閃光が走った

 

『この光は……!』

 

『来てくれたのか!』

 

数機の瑞鶴が見た先には、低空を飛ぶMS隊

スピリッツの姿があった

 

『ここは、此方で引き受けます! お下がりください!』

 

「……分かりました……御武運を……」

 

『恭子様、お早く!!』

 

恭子の傍に、一機の山吹色の瑞鶴

唯依機が着陸し、迫ってきていた戦車級の群れを36mmで掃討

退路を確保した

それを見送った祐輔は

 

「行くよ、グランド隊……先ずは、残存要塞級を叩く!」

 

と言って、先陣を切った

それに返答した後、和泉と上総の二人は

 

『唯依……もう、前線に戻ってたんだね……』

 

『そう、ですわね……』

 

と呟いた

そして、佐渡島撤退作戦は、順調に推移していた

時刻は、1555

つまり、午後4時少し前

新潟西港近くのある一角では、帝国陸軍のある強化外骨格部隊が戦闘を繰り広げていた

第1連隊第1大隊第3中隊第1小隊第3班

そこを率いていた千葉明弘曹長は

 

「12.7斉射! 兵士級と闘士級の団体だ! ミンチにしろ!」

 

と部下に号令を下した

その指示に従い、彼率いる部隊は強化外骨格の機銃を斉射

万代橋を渡ろうとしていた兵士級と闘士級を、次々と挽き肉に変えた

それを確認しつつ

 

「103(第3班)より122(第2砲兵班)に通達! 指定ポイントに、重迫撃要請! 橋の向こうに戦車級を含めた団体だ!」

 

と味方の砲兵に支援砲撃を要請した

しかし

 

『こちら122! すまんが、その要請には応えられない! 今こちらは、13(第3小隊)に全力支援中だ!』

 

と言われた

 

「……どういうことだ?」

 

それを聞いた千葉は、思わずそう呟きながら、データリンクのマップを広域表示にした

海側の地下トンネルには、第3小隊だけでなく第2小隊が全力突撃し、本来だったら予備戦力として後方待機のはずの第4臨時編成大隊まで投入されていた

そこまで確認した千葉は

 

「……おい、なんで第3小隊が攻勢に出てる」

 

と呟いた

当初の計画では、海側に展開していた第3小隊は第2小隊と共に、地下トンネルを侵攻してくるBETA群の迎撃のみのはずだった

つまり、防性攻撃

だというのに、いつのまにかその両隊が攻勢に出ている

つまりは、何かあったということ

 

「……班長から各分隊長に通達。少しの間、各分隊の指揮を任せる」

 

千葉はそう指示すると

 

「103千葉よりCP! なぜ13と12が攻勢に出ている!」

 

とCP(前線指揮所)に問い合わせた

しかし、返事が来ない

だから千葉は、二度三度と問い合わせたが、一向に返ってこない

 

「いい加減に返事しろ! このクソったれ共が! 遊んでやがんのか!?」

 

と千葉が怒鳴った直後

 

『千葉曹長ですね? こちらCP』

 

とようやく繋がった

 

「何してやがった、てめぇら! 居眠りでもしてやがったか!?」

 

『申し訳ありません、千葉曹長。今現在、当CPは状況把握に手一杯でして』

 

千葉の問い掛けに、通信将校らしい男性士官がそう答えた

それに舌打ちしながら、千葉は

 

「もう一回聞くぞ、何故13と12は攻勢に出ているんだ?」

 

と問い掛けた

すると

 

『今現在、13と12は光線突貫を行うために全力攻勢に出ており、122がその支援のために全力砲撃中』

 

と答えが来た

それを聞いた千葉は

 

「何故今になって、光線突貫を行う必要がある!?」

 

と問い返した

その時だった

 

『千葉曹長ですね?』

 

と別の男性士官の声が聞こえた

すると千葉は

 

「てめぇ、誰だ!? いきなり割り込んできやがって、顔を見せろ!!」

 

と今まで音声のみにしていた通信を、顔表示に変更

そして、表示された顔を見て

 

「おやおや……大田少尉ではありませんか……てめぇのミスで、部隊を全滅させて異動させられた」

 

と嫌みたっぷりに言った

すると、大田少尉は

 

『……通達します。千葉曹長率いる103は、万代橋を渡り、攻勢に転じてください』

 

とだけ伝えた

それを聞いた千葉は、思わず

 

「どういうことだ?」

 

と問い返した

すると大田少尉が

 

『つまり、万代橋を渡り、指定ポイントに展開している光線級に対して攻撃しろと言っている』

 

と言った

それを聞いた千葉は

 

「よーくわかった……てめぇじゃ話にならねえ。直接HQに問い合わせる」

 

と言った

それを聞いた大田は、慌てた様子で

 

『貴様! CPの面子を潰すつもりか!?』

 

と言ってきた

だが千葉は、にべもなく

 

「てめぇが潰すんだよ、このボケが!!」

 

と言って、CPとの通信を強制的に切断

HQ(前線司令部)に

 

「103千葉よりHQ! CPが役立たずだから、そちらに直接問いたい!」

 

と問い掛けた

すると

 

『その声は……千葉曹長ですか?』

 

と知った声が聞こえた

それは、彼の昔の部下の声だった

 

「小柳伍長か? 丁度良かった。こっちのCPがクソの役にも立たないから、困ってたんだ。なぜ、13と12は攻勢に出ているんだ?」

 

『あれ? 聞いてないんですか? 自分は伝えましたが……』

 

千葉の言葉を聞いて、小柳は不思議そうにそう言った

それを聞いた千葉は、青筋を浮かべながら

 

(あの無能め……殺す)

 

と悪態を吐いた

すると小柳が

 

『今現在、新潟西港に向けて、3000tクラスのフェリーが向かっているんです』

 

と信じがたい情報を告げた

それを聞いた千葉は

 

「この状況下で新潟西港だと!? 死ぬだけだ!!」

 

と思わず声を上げた

すると小柳が

 

『そこまで伝わってないんですか!?』

 

と驚いていた

そして続けて

 

『そのフェリーですが、出港する直前に光線照射を受けて、火災が発生。幸いにも随行した陽炎型駆逐艦二隻によりすぐに鎮火しましたが、船長は延焼を防ぐために、燃料を海中投棄。大湊どころか、新潟東港にすら到着出来そうにないんです』

 

と言ってきた

それを聞いた千葉は、思わず深々と溜め息を吐いた

最悪の状況だった

 

『それに従って、第1連隊は当戦域全体で攻勢に出ることを決定。なおフェリーは、1635には新潟西港に入港予定となっています』

 

それを聞いた千葉は、反射的に視界に表示されている時間を見た

現在時刻は、1600

後、約30分で入港してくる

 

『ですから、今現在千葉曹長の所属する第1大隊は、光線突貫を行うように命令が下されました……まさか、それすら?』

 

「ああ、今初めて聞いた……」

 

小柳の言葉に、千葉がそう返した

その時だった

 

『俺は伝えたぞ! 千葉が聞いていなかっただけだ!!』

 

と大田が介入してきた

すると

 

「大田!! てめぇは今日中に遺書を書いておけ! 前線じゃ、役立たずはBETAの餌にするんだよ!!」

 

と千葉が怒鳴った

すると小柳が

 

『逆らわないほうがいいですよ、大田少尉。どうせ、KIA扱いですから』

 

と言った

それを聞いた大田が息を飲んでいると

 

「ご家族のために、MIAにしといてやるよ。無駄な期待位は残しておいてやる」

 

と千葉が言って、小柳の操作なのか、大田からの通信は切れた

それを確認して千葉は

 

「しかし、困ったな……弾薬と推進材が残り半分を切ってる……それに、予備戦力も無いのに、万代橋から離れる訳にはいかないぞ……」

 

と言った

今新潟西港戦域では、万代橋は大事な要衝となっていた

もし千葉達が離れれば、BETA群が万代橋を渡り、地下トンネル側から光線突貫をやろうとしている12と13

更に、砲兵陣地に侵攻してくるだろう

そうなれば、新潟西戦域は瓦解する

故に、現場叩き上げの千葉率いる古参兵士が多い第3班をそこに配置したのである

 

『困りましたね……橋の爆破は、最終手段ですし……何処で受けとりますか?』

 

「お前が来るのか?」

 

小柳の言葉を聞いた千葉は、思わずそう問い掛けた

今の小柳は、HQで何らかの役割を担っている筈だからだ

すると小柳は

 

『新兵達に任せたら、鈍すぎて話になりません。でしたら、直接自分が指揮を執って、持ってけるだけの物資と予備戦力と一緒に行きます』

 

と言った

それを聞いた千葉は

 

「……すまんが、頼めるか?」

 

と言った

そこに

 

『すまんが、こちらにも弾を分けてもらえるか?』

 

と新たな声が聞こえた

それを聞いた千葉は

 

「小柳、悪いが彼等用に少し多目に持ってきてくれ。今、共闘してる特殊作戦軍だ」

 

と言った

それを聞いた小柳は

 

『分かりました。出来るだけ積んだら、指定ポイントに向かいます。では』

 

と言って、通信を終えた

小柳との通信を終えた千葉は、秘匿回線を特殊作戦軍に繋ぎ

 

「Sの旦那……どうやら、あんた方の作戦に着いた方が、生き残れそうだ。いいか?」

 

と自分と、大事な部下の生き残りのために行動を開始した

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