「これより、俺達第三班は万代橋を渡り、向こうに居るBETA……光線種を撃破する!」
千葉の指示内容を聞いた一部が、僅かに息を飲んだ
光線種は、大抵が周囲を他のBETAに守られているからだ
犠牲は少なからず出る
「そして班編成だが……山南兵長」
「はい!」
千葉が呼ぶと、神那は背筋を伸ばした
すると、千葉は
「お前に、第三分隊の指揮を任せる。旧八千代ホテルの屋上に陣取り、20mm狙撃砲と70mm砲で後方支援だ」
と指示を下した
それを聞いた神那は
「な、何故ですか!? ここは、全員で行くべきです!」
と反論した
しかし
「第三分隊は、全員が訓練上がりばかりだ……そいつらも一緒に行ったら、ベテランに負担が掛かる」
という千葉の言葉に、押し黙った
ベテランの負担が大きくなれば、訓練上がり
繰り上げ任官を含めて、全滅する可能性が高くなってしまう
そうなれば、全滅は必至だ
「お前は、若手の中では唯一の正規任官だ……それに、気配りも上手い……あいつらを、頼んだ」
千葉はそう言って、神那の頭を撫でた
そして
「小柳、予備大隊の指揮……頑張れよ」
『はっ……千葉曹長も、健闘を祈ります』
それを聞き終わった千葉は、強化外骨格を纏った
そして、時間になった
「全員……突撃ぃ!!」
千葉が指示を下した直後、第三班は突撃を開始した
それに反応した橋の向こうのBETA群が、一斉に橋を渡り始めた
それを見た千葉は
「クレイモア、左右1番2番! 起爆!!」
と音声入力した
その瞬間、橋の柵に仕掛けられていた対BETA用指向性地雷が起爆
先頭のBETA数体の足を吹き飛ばした
それにより、足を吹き飛ばされた戦車級が倒れた
それを見た千葉は
「飛び越えろ!」
と指示を飛ばした
そして千葉を先頭にして、第三班10名はその戦車級を飛び越えた
そこに、後続のBETA群が腕を伸ばして捕まえようとした
だが、その腕を砲撃が吹き飛ばした
それは、小柳率いる予備大隊の砲撃だった
しかしその砲撃は、小柳の指示ではなかったらしい
『撃つなと言っているだろうが!!』
小柳はそう言いながら、一機の70mm砲の砲身をかちあげた
だが、それが好機に繋がっていた
その間に、千葉達第三班は橋を渡り終えた
全員が渡り終えたのを確認した千葉は
「Sの旦那!」
と、隠れていた新田大尉を呼んだ
その意図を察した新田大尉は
『万代橋爆破! 繰り返す、万代橋爆破!!』
と言って、万代橋を爆破した
そしてどうやら、その爆破で吹き飛ばされながらも生き残ったBETAが居たらしい
後方から激しい銃声と絶叫が聞こえてきた
しかし、もう止まれない
千葉達は、そのまま前進した
そこに
『千葉! 何があった!? なぜ、万代橋を爆破した!?』
とCPから、通信が来た
それを聞いた千葉は
「自分は今、突撃しているので起爆装置には触れませんよ。忙しいので、切ります!」
とだけ言って、強引に通信を終わらせた
万代橋を爆破したことにより、これ以降のBETA群は、海底トンネルに集中していくだろう
だが、今は前進するのみ
「
千葉の指示を聞いて、部下二名が十字路に突撃
左右に居た兵士級を戦斧で両断した
その二名は、素早く左右を確認すると
『3時の方向、500m前方に兵士級10数体確認!』
『9時方向、クリア!』
と報告してきた
それを聞いた千葉は
「兵士級は無視! このまま前進する!」
と判断を下した
この突撃する前に決めていたことで、光線種を見つけた場合は即攻撃し、後で報告
他の種類だった場合は、判断を仰ぐことにしていた
全てのBETAと交戦していたら、弾が足らなくなってしまうからだ
千葉の指示に従い、第三班は更に前進した
その時、前方の右通路から一体の戦車級が姿を現した
そこに
『砲撃支援します!』
と神那の声が聞こえて、戦車級に70mm砲が直撃
その戦車級は沈黙した
「よくやった!」
千葉はそう誉めながら、その戦車級の残骸を迂回
一人の部下は、その戦車級の残骸を、跳躍ユニットを噴かして飛び越えた
そして千葉は、海底トンネル方向を見て、舌打ちした
「Sの旦那、あれじゃあ海底トンネルを突破出来ない訳だ!」
と新田に言った
『何が居た?』
「二体の重レーザー級が、海底トンネルの入り口を睨んでやがる! あれじゃあ、例え海底トンネルを出てもすぐに焼かれる!」
海底トンネル出入り口の近くに、二体の巨体
重レーザー級が布陣し、交互にレーザーを照射していたのだ
強化外骨格の防御性は、戦術機には遠く及ばない
通常の光線級ならともかく、重レーザー級の照射を受ければ、即座に蒸発してしまう
『それの対処は出来るか?』
「してやりたいが、無理だ! そいつらよりも、手前800m付近に居るレーザー級集団が厄介だ!」
新田大尉の言葉に、千葉はそう答えた
それは、熱源探知で判明したことだった
光線種は通常のBETAよりも、熱量が高い
それで見つけたのだ
『……S9、S10』
『こちらS9、何時でも動けるぞ』
『S10もだ』
新田大尉が呼び掛けると、二機の衛士から返事が来た
すると、千葉の戦術データリンクに二機の場所が表示された
それは、海底トンネルと万代橋があった場所の中間地点のビルの合間だった
『こちらが指示したら、突撃しろ』
『了解』
『承知』
新田大尉の指示を聞いて、出力を上げたらしい
通信越しだが、二機の駆動音が高まったのが聞こえた
『千葉……そのレーザー級集団をヤれるか?』
「どっちにしろ、指定ポイント範囲だ! やるしかないだろ! 今目視した! レーザー級が7体! そのまわりに戦車級を含めた団体が居る!」
すでに、千葉とそのBETA群の距離は1km程まで近づいている
それに、フェリーの安全確保のために撃破しなければならない
『……出来るのか?』
「10-7は3だ! 犠牲は出るだろうが、撃破する!」
新田大尉の問い掛けに、千葉はそう返答した
戦術機抜きの光線突貫とは、犠牲前提になるのである
「13千葉から123! 支援砲撃要請! NNW13・26・15の範囲に砲撃を頼む! 突撃級集団が居た!」
『了解! 重破砕弾を使う! 巻き込まれるなよ!!』
千葉の支援砲撃要請に、123砲撃隊は即座に答えた
122重迫撃砲隊と違い、123は155mm砲運用部隊だ
その威力は非常に高く、重破砕弾を使用すれば突撃級ですら撃ち抜く
しかし、重破砕弾は通常弾よりコストが掛かる弾で、使用するにはHQの許可が必要なのだ
そしてその許可は、既に得ている
そして数秒後、指定範囲に次々と砲弾の雨が降り、突撃級を含めた集団は次々と吹き飛んでいく
それを尻目に、千葉はこちらに気づいたらしいBETA群を見て
「第三班、
と激を飛ばした
『了解!』
そして彼等は、死地にて士気を高める
目前のBETA群を突破し、レーザー級を叩くために