※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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朝駆け夜駆けは兵法の基本? 2

自身に股がったシャルロットをジッと見て、直哉は

 

「……何を見た?」

 

と問い掛けた

その直後、シャルロットの体がビクリと震えた

すると、直哉は

 

「シャル……俺達はNTだ。相手が拒んだ場合はわからないが、ある程度は互いに気持ちが分かる……だから、何を見た?」

 

再度問い掛けると、シャルロットはポツポツと語りだした

見たのは、人間同士の争い

狭くなった土地を巡り、互いに殺しあった

しかも、核を使ってまで

その戦いは終結したが、今度は対BETA戦

しかも、ハイヴ攻略作戦が決行された

投下された二発の核により、BETAに大打撃を与えられた

しかし、圧倒的数の差は覆されない

BETAはその圧倒的物量に物を言わせて、次々と味方戦術機を破壊、または咀嚼していく

その度に響き渡る、味方の悲鳴と絶叫

そして何より、BETAに食われる人間を見る

それが、寝ていたシャルロットの精神を削った

そして最もシャルロットの精神を追い込んだのは、倒れた自機に群がってくる戦車級の群れだった

戦車級は動けなくなった自機に群がると、その歯で装甲を容易く食い千切り、目前でその口を開けた

そこで起きたのだが、とてつもない恐怖に襲われていたらしい

そこまで聞いた直哉は

 

(……もしかしたら、この世界の俺達の魂の悲鳴なのかもしれないな)

 

と思った

実を言えば、直哉も似たような夢を見た

直哉が見たのは、迫り来る壁のような津波

そして気付けば、白い機体

機体の造型から、武御雷に乗っていた

そして、戦術機同士で戦っていた

対人戦闘

それも、夢の内容とシャルロットの話しの内容は、見事に一致する

 

(もしかしたら、シャルロットと交戦したかもしれんな……それに、あれがハイヴ内部か……)

 

直哉が見たハイヴ内部は、まるで蟻の巣を彷彿させる構造だった

縦穴と横穴を巡らせ、時には広い空間があって、そこにBETAが集中していた

そう言った場所の中で、直哉はあるモノを見た

それは、分解された人間の成れの果て

生きたままか殺されてかは不明だが、カプセルの中にヒトだったモノ

脳髄があった

しかも、一つ二つではない

大量にあった

そしてその脳髄は、一機のアメリカ軍機が軒並み撃ち壊した

恐らくは、知り合いが居たのだろう

そこを抜けて、ハイヴ最奥に向かった

帝国呼称あ号標的

コアを、破壊するために

そこに突入したのは、約二個大隊

アメリカ軍、帝国陸軍、近衛軍が突入

全力で、コアの破壊を目指した

しかし、そのコアのある広間には夥しい数のBETAが犇めいた

そのBETA総数は、四万以上

その数に、二個大隊は押された

更に、突入する時に空けた穴からBETAがまるでシャワーのように落ちてきた

尽きぬBETA

逆に、減っていく弾と武装、仲間達

直哉も雄叫びを上げながら、長刀と突撃砲を振り回していた

しかし、弾が尽きて刀が折れた

その直後、直哉機は突撃級に跳ねられた

その後は、どうなったかはわからない

願わくば、勝っていてほしいと思う

それはさておき、今は涙を流しているシャルロットだ

そんなシャルロットを、直哉は抱き締めた

 

「ったく……普通に、相談とかに来い……そうすれば、俺に出来ることはした……」

 

直哉がそう言うと、シャルロットは声を上げて泣きだした

MSパイロットになって、約一年

シャルロットを含めた彼女達は、そう言った場面を殆ど見たことが無かったのだ

だから、耐性が無かった

それに対して、スピリッツの他の隊員は殆どが経験した者ばかり

その経験差が、今の状況を形作っていた

そして直哉は、泣いているシャルロットを撫でながら

 

(……もしかして、一夏や弾も同じことが起きてるかな?)

 

と疑問に思っていて、その疑問は当たりだった

同時刻、弾の部屋

 

「落ち着きましたか……?」

 

「はい……なんとか……」

 

弾は問い掛けながら、コーヒーの入ったマグカップを虚に手渡した

受け取った虚は、ゆっくりとコーヒーを口に運んだ

この世界では、コーヒーですら高級品にあたり、入手は難しいらしいから、貴重なコーヒーだ

弾はたまたま、眠れなかったから愛用の拳銃のメンテをしていた

その時に、虚が涙目でやって来たのだ

それを弾は、作業を中断して虚を部屋に招き入れた

そして、虚が落ち着くまで抱き締めていた

 

「すいません、弾君……こんな時間に」

 

「いえ、大丈夫ですよ。眠れなかったんで、拳銃のメンテしてただけですから」

 

虚が頭を下げると、弾はそう言って机を指差した

確かに、机の上には分解された拳銃がパーツ単位で細かく置いてある

それを見た虚は

 

「それはすいません……作業を中断させて……」

 

と謝罪した

だが弾は

 

「いえ、虚さんの方が優先に決まってるじゃないですか。泣いている恋人を放置するだなんて、恋人失格です」

 

と力説した

そして、弾は

 

「それにしても……夢か……」

 

虚が見たのは、迫ってくる壁のような津波

生き残りはしたが、凄まじい数の船員が船諸とも振り回されて死んだ

そして、起きた対人戦闘と対BETA戦

ジワジワと迫る、人類の終わり

虚は戦術機母艦に乗り、重光線級からの照射で艦は沈んだらしい

それを聞いた弾は、つい最近自分が見た内容を思い出した

弾が見たのは、アメリカ陸海軍と共に対人戦闘を繰り広げていた

機体から降りた後は、味方との合流を目指したものの、敵兵士らしい相手から撃たれて終わった

 

「あれは……なんなんでしょうか……」

 

「……わかりません……しかし、只の夢でないのは確かです」

 

弾はそう言いながら、虚の体を抱き寄せた

虚の家たる布仏家は、更織家を補佐する家柄で、人々の悪意、死体は幾度となく見てきた

しかし、あのような死に方(食い殺される)のは、初めて見た

それが、虚の精神を襲った

弾も何なのか考えたが、分からなかった

再び場所は変わり、一夏の部屋

そこでは、一夏に三人の少女が抱き付いていた

箒、鈴、ラウラの三人だ

 

「……俺は抱き枕か……」

 

一夏はそう言いながら、ラウラが飛び付いた時に強打した後頭部を撫でた

小柄だが、全速力で飛び付かれたら、やはり支えきれない

しかもその直後に、箒と鈴が一夏に飛び乗った

ラウラが箒と一夏の間に挟まれているが、大丈夫なのだろうか?

 

「……まあ、なんとなく何が起きたのかは分かる……夢か」

 

イノベイターと化したことで、一夏は三人が何に震えてるか察していた

強烈な悪夢を見た

その一言に尽きる

何を隠そう、一夏も見たからだ

宇宙から見ていて、ユーラシア大陸で不気味な光が広がった

その数十秒後、一夏が乗っていた戦術機は運んでいたSSTOごと大気圏に落ちてしまった

 

(ロクな死に方してねぇな……焼け死ぬとか……)

 

と一夏が思っていたら

 

「なんなのよ、あの夢は……」

 

「余りにも、現実味が有りすぎる……」

 

「津波が……巨大な津波が……」

 

と三人が震えていた

そんな三人の頭を、一夏は順番に撫でたのだった

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