※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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面談 2

「……私は、横浜での作戦でか……」

 

「はい……明星作戦中に、アメリカが落とした二発のG弾に巻き込まれて……」

 

佑唯の言葉に、武は同意するように頷いた。

すると、巌谷中佐が

 

「しかし、G弾とはなんだ?」

 

「俺も、詳しくは知りません……しかし、BETA由来物質。通称G元素を使って開発しています」

 

巌谷中佐の問い掛けに、武はそう答えた。

すると、巌谷中佐は信じがたいという表情を浮かべて

 

「BETA由来物質を使った兵器だと……なぜ、そんな物を開発したんだ、アメリカめ……!」

 

と低い声音で呟いた。

確かに、それには武だけでなくマーク達も同意した。

威力は絶大かもしれないが、効果が未知数の兵器の運用を大前提にするその気がしれなかった。

 

「……それで、篁少佐……貴方には、衛士としてではなく、開発者になってほしいんです」

 

「……」

 

武の言葉に、佑唯は片眉を上げた。

 

「失礼ながら、篁少佐は衛士としての適性は、娘さんに劣っています……」

 

「そうだな……父親ながら、唯依の適性の高さは驚かされる……」

 

佑唯の適性は、Bというところ。それに対して、唯依はAA。

今はまだ経験不足から未熟だが、経験を積めば一角の衛士になることは間違いないだろう。

 

「それに、今開発している試製98式戦術機……武御雷……あの機体は、将来大事な役割を担います」

 

「……武御雷が?」

 

武の言葉に、佑唯は首を傾げた。

武御雷は、近衛専用機として開発していて、近衛は帝国の帝都防衛を専門としている。

その武御雷が担う役割とは、なんなのか。それが、佑唯には予想出来ないようだ。

すると、武が

 

「……オリジナルハイヴの攻略……それに、紫色の武御雷が参加していたら……どうなりますか?」

 

と言い、それを聞いた二人は眼を見開いた。

ユーラシア大陸に作られた、地球初のハイヴ。カシュガルハイヴこと、オリジナルハイヴ。

それの攻略に、帝国の政威大将軍が乗っていることを示す紫色の武御雷が参加し、攻略する。

そうすれば、国際社会に於ける日本帝国の発言力は大いに高まることは間違いない。

 

「それを完成させずに死ぬことこそ、帝国に対する不義理と俺は思います……」

 

「……確かに……」

 

武の言葉を聞いて、佑唯は同意した。

武御雷は未だに試作機で、完成の目処はまだだ。しかし、なんとか2000年までには完成させたい。

その開発に、佑唯は大きく関わっており、自分でも分かっていることだが、今近衛で配備している瑞鶴は対BETA戦

特に、ハイヴ戦には不向きだ。

機動性、密集格闘戦能力が大きく欠けている。

そして日に日に、武御雷の配備を望む声が高まってきている。

 

「……そして、アメリカが次に配備する戦術機ですが……今前線で求められている機体ではないんです」

 

「……どういうことだね?」

 

武の言葉に、巌谷中佐は片眉を上げた。

すると、武は

 

「……アメリカは、BETA大戦後を見越した機体……対人機を開発しています。型式は、Fー22A……機体名はラプター」

 

と告げた。

それを聞いた二人は、少し悩んだ後に

 

「そうか!」

 

「ステルスか!」

 

と見抜いた。

BETAはどのようにして生命体を認識しているのかは不明だが、小型種程対人察知能力が高いことが分かっている。そのBETAに対して、ステルスがキチンと効果を発揮するかは分からない。

故に、その機体は対人仕様だと分かる。

 

「バカ共が……!」

 

「何時終わるかも分からんのに……!」

 

現在地球上には、全部で24個のハイヴがあり、その全てが健在だ。

そして地球だけでなく、太陽圏全域と考えると不明だ。

確実に有るのは、月と火星で、太陽圏で一番大きいハイヴは火星のマーズ・ゼロと呼ばれるハイヴである。

なお、ハイヴの大きさはフェイズで判別されており、オリジナルハイヴはフェイズ6。

マーズ・ゼロはフェイズ15とされている。

 

「とりあえず、その機体は放置するしかありません。それより、有用な技術を持つ機体が有ります。型式はYFー23、機体名はブラックウィドゥ」

 

「そちらも、ステルス機……か?」

 

機体名を聞いた巌谷中佐の問い掛けに、武は頷き

 

「こちらの機体には、JRSSと呼ばれる技術が組み込まれています」

 

と告げた。

 

「JRSS?」

 

「はい……まず聞きますが、BETA戦では多くの物資を消費します……弾薬や推進材なんかは、特に」

 

佑唯が首を傾げると、武はそう切り出した。

すると、佑唯は

 

「そうだな……戦闘開始直後に撃破されたり、物資コンテナが破壊されたりして……そうか! JRSSとは、そういう技術か!!」

 

と察した。

 

「流石です、篁少佐……JRSSとはつまり、撃破された元味方機や破壊されたコンテナから、弾薬や推進材を回収し、自機に使う技術なんです」

 

「なるほど……それを使えば、確かに継戦能力は上がるが……いい思いはせんな……まるで、禿鷹やハゲ鷲のようだ……」

 

武の話しを聞いて、巌谷中佐は渋面を浮かべながらそう言った。

 

「それに、下手すれば……戦うことすら不可能になってしまいます……」

 

武はその具体的な理由を言わなかったが、二人はすぐに察した。

もしその機体が知り合いの機体で、近づいた拍子にその知り合いの遺体の無惨な残骸を見ればどうなるか。

下手したら、それがトラウマとなってしまい、二度と戦場に立てなくなってしまうだろう。

すると武は

 

「ですから、その技術を使った補給専用小型戦術機の開発を提案します」

 

と告げた。

 

「今補給用コンテナは、使い捨てのブースターを使って戦域全体に配備するか、戦術機が持っていく形式です……ですが、もしその機能を有した戦術機にすれば?」

 

「そうか! もしBETAに近づかれても、逃げることが出来る! しかも、護衛部隊を付ければハイヴにも投入が容易くなる!」

 

武の真意に気付き、巌谷中佐は興奮した声を挙げた。

武の発想は今までに無かったもので、巌谷中佐だけでなく佑唯にとっても青天の霹靂だった。

 

「問題点は、その機体を操る衛士ですが……」

 

「それは問題無いだろう。戦闘には使えないと判断され、他の兵科に転科する奴等から見繕えばいい! そうすれば、訓練が無駄にならなくて済む!」

 

武が挙げた問題点を、巌谷中佐は一蹴した。

衛士になるには、厳しい訓練を乗り越えて、戦闘機動に耐えられる体力やバランス感覚が必要になる。

しかし中には、何らかの怪我によりバランス感覚や体力を損なってしまう訓練生も例年現れ、そういった訓練生は他の兵科に転科していく。

補給専用機なのだから、戦闘機動をする必要は低く、そういった落第者でも充分である。

 

「しかし、BETA集団に囲まれた時は……」

 

「その時は、小型機としての特性を活かすんです。手足や跳躍ユニットをパージして、他の機体に運ばせるんです。手足は付け替えが容易にすれば、整備性は大いに上がります。もちろん、他の機体もですが」

 

「内の整備員が言っていた、ブロック構造か!」

 

マークの上げた提案に、巌谷中佐は思わず指を鳴らした。普段はしない事だが、よほど興奮しているのだろう。

 

「ブロック構造?」

 

「詳細は後で教えるが、それを採用すれば、間違いなく整備性は大向上する! 戦術機の命題だった、整備員泣かせが減るものだ!」

 

佑唯が問い掛けると、巌谷中佐はそう答えた。

 

「どうでしょう……引き受けて、頂けますか?」

 

と武が問い掛けると、佑唯は少し間を置いてから

 

「わかった……私は、衛士から身を引いて、開発に専念しよう」

 

「補給専用機は、技術研究厰(こちら)で引き受けた」

 

佑唯が言った直後、巌谷中佐はそう言いながら胸を叩いた。

確かに、スピリッツの技術を知った技術研究厰ならば、開発出来るだろう。

 

「お願いします!」

 

二人の言葉を聞いた武は、嬉しそうに頭を下げた。

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