時は進み、1999年1月。
帝国陸軍は、一部部隊で試作兵装の運用を開始した。
98式試作兵装、380mm無反動砲と36mm三連装ガトリングガンだ。
380mm無反動砲は、スピリッツで運用していた400mm無反動砲のダウンサイジングだが、運用出来る砲弾の種類と威力は遜色無しだ。
そして36mm三連装ガトリングガンだが、これは腕に装着出来るタイプで、弾倉は新規開発しており多目的楯を装備すればその楯裏に3つまで携帯出来る。
弾切れになったら、パージすることも勿論可能となっている。
その二つの試作兵装の試験運用を開始。良好なデータを出しているらしい。そして問題が一つ。彼等として一刻も早く試験に持ち込みたい高周波短刀。
これの開発が、難航していた。
柄に内蔵するバッテリーの方は、スピリッツからの技術提供と交代で帰還した技術者達により目処が立ちつつあった。しかし問題は、刃だった。
今現在、戦術機の近接武装に用いられているスーパーカーボン。それでは、想定していた戦闘可能時間を大幅に割ってしまうのだ。
当初、最低でも二時間は使えるようにしたいと開発を開始。
高周波を起こす機器は、既存の技術と帰還した技術者達の技術が合わさり完成に漕ぎ着けた。
そしてバッテリーも目処が立ちつつあったので、試しに当初使う予定だったスーパーカーボンを使った試作品のデータを使い、シミュレーションを行った。
その結果、僅か40分で刀身が耐久限界を突破してしまったのだ。
これでは話にならないと、新しい刃を作るように命じたが、中々上手くいかないでいたのだ。
「どうしたらいいのか……」
と第二陣の責任者となった技術者が頭を抱えていると、一夏が
「質問なんですが、スーパーカーボンって低重力下で精製したって聞いたんですが……」
と質問してきた。
「あ、ああ……なんでも、偶然の発見だったらしいが……それが?」
「だったら、今度は逆に……高重力下で作ったらどうなるんでしょうね?」
と首を傾げながら言った。そこからだった。
一夏の疑問を聞いていた一人の技師が、息抜きも兼ねて高重力下でカーボンプレートを精製したところ
「……なあ、俺の見間違いじゃなければ……これ、僅かだが強度上がってないか?」
「……確かに、上がってるな……」
「……偶然かどうか、もう一度やってみるぞ」
「これ、一人でやる内容じゃないな……ちょっと、総班長に上申するぞ!」
と、そこから調査が始まった。
そして一ヶ月後の2月時点に、驚くべき結果が出た。
高重力下で作られたカーボンプレートの方が、耐久度が高いことが判明したのだ。
そこから、帝国上層部は新たなカーボン素材。Eカーボン開始計画を立ちあげた。
今はまだ、大した数値は出ていないので高周波短刀に使うことは出来ない。
しかし、折角見つけた糸口を見逃すわけにはいかないと、国家プロジェクトとすることを、政威大将軍となった悠陽が決めた。
それを聞いた一夏は、後に
「いや、本当……思い付きを言っただけだったんだがな……」
と頭を掻いていたそうな。
だが、高周波短刀は年内の試作品の配備は無理だそうな。
そして、1999年5月に無反動砲とガトリングガンは正式に採用され、99式甲型無反動砲と99式乙機関砲として帝国軍に正式に配備された。
本当に少しずつだが、帝国軍は着実に軍備を拡張させつつあった。
そんな矢先の1999年8月、とうとう帝国と国連によりBETAに対する反抗作戦が発令された。
作戦名は、
参加する軍は、帝国軍、国連軍、大東亜連合軍、アメリカ軍である。
戦術機総数は、約600機。参加艦艇は60を越える大作戦だ。
その規模は、ユーラシア大陸でワルシャワ条約機構軍がして以来だという。
そして、8月某日。
『作戦……開始!!』
始まりは、