たった数分で、付近に展開していた数千のBETA群は全て肉片となった
その光景に、唯依達は固まった
それを成したのは、たった九機の機動兵器
唯依達からしてみれば、常識の埒外の機動兵器だった
機動性だけでなく、武装も
機動性は、今帝国軍で主力機として配備が始まってる94式不知火を越えていた
武装は、光る剣に光る弾を撃ち出すライフルや拳銃
全て、唯依達には理解出来なかった
『君たち、無事かな?』
と唯依に問い掛けてきたのは、緑色の光を装甲の隙間から出している機体のパイロット
直哉だった
「貴方達は……一体……」
唯依が呆然と問い掛けると、直哉が
『まあ、傭兵部隊だよ……君達、日本の危機に馳せ参じた傭兵さ』
と言った
つまりは、味方だと言ったのだ
確かに、BETAを殲滅したから間違いないだろう
しかし、型式不明の機動兵器に乗っている凄腕のパイロット
それだけで、唯依達には警戒するに値した
しかし、直哉は
『さて、もう一回聞くが、無事だな?』
と問い掛けた
すると、唯依は
「助けていただき、感謝します……私達は無事です」
と答えた
それを聞いて、直哉は
『それは良かった……京都駅に続いて、壊滅は見たくなかったからな』
と言った
それを聞いて、上総と和泉が
『待ってください……京都駅が、壊滅!?』
『そんな筈が!?』
と驚愕の声を上げた
すると、直哉は
『事実だ……俺達が見た時には、既にな……どうやら、BETA群の奇襲を受けたようだ』
と言って、通信で映像を送ってきた
そこに映っていたのは、黒煙を上げている京都駅
そして、夥しい数のBETAと戦術機の残骸が転がっていた
『そんな……』
『京都駅まで……』
京都駅が、彼女達の希望の地だった
そこならば、まだ友軍が残っていて簡易的な整備と補給が受けられるだろうと、途中で会った元教官から聞いていたのだ
しかし実際は。既に壊滅していた
『数名生存者は保護したが、復帰は絶望的なのが大半だった……』
直哉の言葉に、唯依は歯噛みした
既に、彼女達の機体はダメージが危険域
推進材残量も心許ない
どうすればいいのか、分からなくなっていた
すると
『どうやら、機体がギリギリのようだな……』
と直哉が言った
どうやら、唯依達の沈黙から気付いたようだ
「つっ……弾薬だけでなく、推進材も残り僅かです……」
唯依がそう言うと、直哉は
『関節も……かな?』
と問い掛けた
それを聞いて、唯依は僅かに息を飲んだ
すると、上総が
『彼等は、相当のベテランのようね……』
と呟いた
確かに、洞察力からベテランだと分かった
『なんなら、こちらの母艦に来るか?』
「……え?」
直哉の問い掛けに、唯依は呆然とした
『機体が限界なのだろう? こちらの母艦で、整備を受けるか?』
「よ、よろしいのですか!?」
直哉の言葉を聞いて、唯依は思わずそう言った
『構わないさ。それに、こちらに来ている』
直哉がそう言った直後、和泉が
『唯依! 11時の方向から、巨大な反応が!?』
と言ってきた
それを聞いた唯依は、最初は要塞級が近づいてきたのかと思った
しかし、近づいてきたのはそれを越えた巨大な二隻の白亜の巨艦だった
『な、なに、あれ……』
『艦が……浮いてる……』
和泉と上総は、予想外の光景に固まっていた
すると、直哉が
『あれが、俺達の母艦……アークエンジェルとエウクレイデスだ』
と言った
すると、唯依が
「待ってください! あんなに高度を取ったら、光線級が!?」
と声を上げた
だが、直哉が
『ん? 光線級って、あの目玉野郎か? だったら、付近のは全て撃破した』
と言った
確かに、二隻に対してレーザー照射が一切無い
『今のうちに、着艦するぞ』
直哉がそう言うと、緑色の粒子
GN粒子を吐き出す一夏機と弾機が、それぞれ一機ずつ保持
直哉機が唯依機を保持して、カタパルトから内部に入った
ハンガーを見て、唯依達は驚いた
艦内部だと言うのに、所狭しとある高度な工作機具
「こんな……」
『降りてきていいよ~』
と間延びした声が聞こえたので見てみれば、固定された機体の足下に一人の少女が居た
それを見た唯依は、傍らの二人と頷いてから、拳銃を携えて機体から降りた
そして気付けば、先ほどの少女の隣に一人の青年が居た
その青年と先ほどの少女が
「この機体、整備出来るか?」
「ん~……ちょっと待ってね~」
と話している
どうやら、本当に整備するつもりらしい
その時、少女
本音が操作していた端末から、警告音が鳴った
すると本音は
「あ~……未知の部品ばっかりで、整備は難しいみたいだねぇ……」
と呟いた
それを聞いた青年
直哉は、頭を掻いて
「仕方ない……機体を貸すか……」
と言った
それを聞いた唯依は
「機体を貸与していただけるのですか!?」
と驚いた
すると、直哉は
「君達の機体、やはり形式がかなり違うようだからな。だったら、機体を貸したほうがいいだろうて」
と言った
すると、髪を三つ網にし眼鏡を掛けた少女
虚が
「とは言っても、何を貸すのですか? 今は多数の民間人が居るので、そこまでの機体は……」
と言った
それを聞いた和泉が
「民間人? 京都に残っていたんですか?」
と問い掛けた
すると、虚が
「はい。かなりの人数が残っていましたが、説得しました」
と答えた
残っていたのは、古き京都を知っていた左官大工や住職
そして、長く京都に住んでいた人々だった
その人々は、BETAにより京都が滅ぶことを受け入れられず、最後まで居ると残っていた人々だ
その人々を、虚や本音がなんとか説得したのだ
その言葉は
『今は、一度滅んでしまうかもしれません。しかし、BETAを撃滅した後が大事なんです』
『BETAを撃滅しても、その古き京都を知っている貴方達が居ないと、復興が出来ない……だから、生きようよ……』
と言ったのだ
それを聞いて、残っていた人々は二隻に避難
今共に居るのだ
その気持ちが分かるのか、唯依達は顔を俯かせた
そんな三人の頭を、直哉は努めて優しく撫でた
そして、虚と本音に
「トルネードを三機、お願いします」
と言った
それを聞いた二人は、頷いてから離れた
そして唯依達は、未知の技術で作られた機動兵器
MSの性能を知る