※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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心中

尚人とユウヤの二人が洞窟から出ていくと、唯依はクリスカに視線を向けて

 

「それで、ビャーチェノワ少尉。意識を失った理由は分かるか?」

 

と問い掛けた。唯依からしたら、いきなり意識を失った理由が、少しでも分かればいいな。位の気持ちで聞いていた。するとクリスカは、少し俯いて

 

「…………だ」

 

と小声で、何やらボソボソと言った。クリスカのその態度に、唯依は少し面食らいながら

 

「すまない、よく聞こえなかった。もう一度言ってくれるか?」

 

と再び問い掛けた。するとクリスカは、頬を染めながら

 

「海が怖かったんだ!」

 

と言った。

 

「な、なに?」

 

流石に予想外だったために、唯依ですら思わず困惑してしまった。まさか、海が怖かったから意識を失ったというのは、完全に予想外だった。

 

「しかし、戦術機で見ただろう……」

 

「確かに見たが、直接見るとなると違う。戦術機で見た時は、まだ機体越しだった……しかし、ゴムボートに乗ってた時、凄まじい圧(プレッシャー)を感じたんだ……自身が、ちっぽけに思えてしまう程に……だから怖くなって……意識を失ってしまったんだ……」

 

「ふむ……」

 

クリスカの話を聞いた唯依は、顎に手を当てて黙考し始めた。クリスカの所属する、中央戦略軍団となっている。つまりは、ソ連軍本部の直轄部隊の一つなのだ。それにより、アラスカから殆んど離れたことがなく、海はかなり離れた距離を戦術機のカメラで見るか、JIVESででしか見たことがなかった。その結果、クリスカは海に不慣れだったから、初めて海を直に見て、恐怖から意識を失ってしまった。これが、真相ということだ。

 

「すまない、篁中尉……私のせいで、迷惑を掛けたようだ……」

 

「いや、どちらにしても嵐に遭遇し、この島に避難せざるをえなかっただろう。気にするな」

 

唯依はそう言いながら、火が弱くなった焚き火に薪を数本投げ入れた。残り僅かな薪だが、ユウヤと尚人の二人が薪を見つけると信じて、使うしかなかった。

そして、暫くの間沈黙が続いたのだが

 

「篁中尉、一つ聞きたいのだが……」

 

とクリスカが、唯依を呼んだ。

 

「む、どうした?」

 

「貴官は、ブリッジス少尉をどう思っているのだ?」

 

クリスカの質問の意図が分からず、唯依は思わず首を傾げてしまった。するとクリスカは

 

「アルゴス小隊に配属されてからのことを、失礼だが調べさせてもらった……ブリッジス少尉を少々扱いかねてるように感じた……」

 

と語った。つまり、唯依本人がユウヤをどう思っているのかを聞きたいようだ。

 

「そうだな……確かに、当初はブリッジス少尉を扱いかねていた……だがある日を境に、こちらの話を聞いてくるようにもなったし、機体の操縦も見違えた……今では、アルゴスに必要な人材だ」

 

「なるほど……」

 

唯依の意見を聞いて、クリスカは何やらコクコクと頷いている。その時、唯依は

 

「しかし、ビャーチェノワ少尉は何時ブリッジス少尉を知ったのだ?」

 

と問い掛けた。

 

「最初は……ドローンを使った訓練の時か……あの時は、機体に随分と振り回されていた印象だったが、イーニァが酷く気にしていてな」

 

「シェスチナ少尉が?」

 

唯依からしたら、何故イーニァがユウヤを知っているのかが気になった。

 

「ああ……どうしてイーニァが知っていたのかは、私にも分からないが……」

 

「そうか……」

 

会話していた時、唯依は風が弱まってきていることに気付いた。その時

 

『クリスカー!!』

 

とイーニァの声が聞こえた。まさかと思い、二人は洞窟から外に出て、空を見上げた。すると上空に、チェルミナートルが飛んでいた。そのチェルミナートルの肩の色は、紅く塗られている。つまり、クリスカとイーニァの機体に他ならない。

 

「イーニァ!?」

 

『クリスカー!』

 

こうして、短時間で四人の遭難は終わりを告げた。

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