※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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新装備

アルゴス試験小隊とイーダル試験小隊がユーコン基地を出発してから、数日後。

 

「ユウヤ、見えたぞ! カムチャッカだ!」

 

「あそこが……対BETA最前線の一ヵ所か……」

 

対BETA最前線

日本、樺太、フィリピン、そしてカムチャッカ。これらを対BETA最前線として、ユーラシア大陸に封じ込めを行っているのだ。この最前線が機能しなくなれば、更にBETAの数が増えて、人類の猶予は無くなってしまうだろう。

まさに、防衛の最前線になる。その証拠に、軍港から外れた海辺には、夥しい数の船が座礁している。

その殆どが、艦橋や艦側に穴が空いている。レーザー照射が致命傷になったのは、一目瞭然だ。それらが放置されていることが、緊張感を漂わせる。そちらに回す兵力すら惜しいと分かる。

もうすぐで入港という時、警報音が聞こえた。

 

「なんだ!?」

 

「ああ、あれだな」

 

まさか、BETAの侵攻か。とユウヤは身構えたが、タリサが山の方を指差した。よく見れば、ボロボロの二機の戦術機が、飛んできていた。その損傷具合から、よく動けているとユウヤは思ってしまった。

その時、前を飛んでいた戦術機の跳躍ユニットが爆発。バランスを崩して、後ろを飛んでいたもう一機と激突し、墜落。爆発を起こした。

 

「脱出は!?」

 

「出来なかったかと。あれは恐らく、腰部に要撃(グラップラー)級の一撃を受けて、フレームが歪んだかと」

 

「あー、あり得るな」

 

「タコスケの一撃、重いからな……もとは中隊か?」

 

ユウヤは衞士が脱出したのかが気になったが、すぐに尚人が否定し、タリサとVGが墜落した地点から上がる煙を見た。それを見たユウヤは、冷静な一同に驚いた。

ユウヤも自身の衞士としての腕に自信があったが、他の一同の冷静さはやはり対BETA実戦経験があるからかと驚いた。

その時、軍港で動きがあった。ハンガーが開き、中から数台の消防車が走っていく。

そうしている間に、船は軍港に停泊。一同は、目的地たるГ04基地に向かった。その道中にも、投棄された戦術機や戦車が転がっていて、否応なしにユウヤは緊張感を増していく。しかし、他のメンバーは寝ているかリラックスしている。

 

(これが、実戦経験の差ってやつか……)

 

ユウヤがそんなメンバーを見ていると、ヴィンセントが

 

「お、基地が見えてきたぞ。ユウヤ」

 

と前方に見えてきた基地を指差した。基地を見たユウヤは、これから起こるだろう対BETA戦に思いを馳せた。その後、基地司令との挨拶もそこそこに、基地敷地内を歩いていたが

 

「……やっぱ、いい視線じゃないわね……」

 

「聞いた話だが、ガルーダの連中、相当やらかしたみたいだぜ? 威張り散らすだけじゃなく、シェルショックになった時は味方撃ちもやらかしたみたいだ」

 

「っち……そりゃ、こんな視線を向けられる訳だ……今からでもぶん殴りに行きてぇ」

 

VGの話を聞いて、タリサは舌打ちした。そこに、尚人が車で近付き

 

「ブリッジス少尉、篁中尉が呼んでいます。乗ってください」

 

と後部座席を指差した。それを聞いたユウヤは、車に乗り

 

「悪い、俺はハンガーに行ってくる」

 

と一緒に歩いていたメンバーに告げた。そして、尚人は車を走らせた。それから数分後、車はアルゴス試験小隊に割り振られたハンガーに到着。尚人とユウヤは、中に入った。

 

「来たか」

 

入り口にて待っていた唯依に先導され、ユウヤ達は奥に向かった。最初は暗かったハンガーだが、奥に入ると一気にライトが点いた。眩しくなり、ユウヤは思わず腕で視界を覆った。少しすると慣れて、ユウヤは腕を退かした。そして見えたのは、二つの兵装。

一つは、至って普通に見える短刀。しかし、もう一つは余りにも巨大な砲だった。

 

「こ、これは……」

 

「まず、こちらの短刀は試製01式近接戦闘用高周波短刀だ」

 

「高周波短刀……!?」

 

ユウヤが驚くなか、尚人が資料をユウヤに手渡し

 

「はい。本国で作られた試作兵装です。柄の中に大容量のバッテリーが内蔵されていて、通常出力ならば約二時間高周波震動を起こし、理論上はあらゆる物を切り裂きます」

 

ユウヤは尚人の説明を聞きながら、食い入るように資料を見た。その内の一つには写真も添付されており、そこにはグラップラー級の装甲腕を切り裂いていた。

 

「そして何より、最高出力にするとプラズマによる刀身を形成します。ただし最高出力は、約20分程しか持ちません」

 

「だが、充分に凄い兵装だ……此れだけでも、近接格闘戦闘では大きいアドバンテージだ」

 

ユウヤはそう言うと、高周波短刀を見上げた。そして続けて、巨大な砲を見上げた。

 

「そしてこっちは、試製99式電磁投射砲……謂わば、レールガンだ」

 

「れ、レールガン!? 実用化していたのか!?」

 

唯依が告げた名前に驚きながら、ユウヤは巨大な砲。電磁投射砲を見上げた。

レールガン

工業掘削用に小型な物は開発し、鉱物資源掘削に運用されている。しかし、まさかそれを実戦運用レベルにまで至ったものが開発されていたなんて、ユウヤは予想していなかったのだ。

 

「以前、自分と篁中尉がシミュレーターで試験していた時は、多少防御性に難アリでした」

 

「神田少尉も試験に関わっていたのか」

 

「は。自分は、不知火壱型甲で運用していました」

 

唯依は尚人も試験運用していたとは知らず、少し驚いた表情で尚人を見た。しかし、少し考えてみれば当たり前のことだった。たった一隊で試験運用するより、複数の部隊で運用すれば、より豊富な試験データが得られる。

そうすれば、更に制式採用に近づくことになる。

 

「だが、こいつは……完全に弐型の運用コンセプトとは相反してるだろ? かなりの重量で、機動性にかなりのマイナスになる」

 

資料を読んでいたユウヤは、次に電磁投射砲を見上げた。確かに、その通りになる。

電磁投射砲は、現在の運用されているあらゆる戦術機の運用コンセプトと相反してる。

むしろ、向いているのは戦艦や巡洋艦だろう。

 

「だが、それの火力は非常に強力だ……突撃(デストロイヤー)級の装甲殻すら簡単に貫通する……それの意味が分かるな?」

 

「……量産し、部隊レベルで運用すれば……ハイヴの制圧も容易くなる……なるほど、戦術機で運用するには充分な理由だ……」

 

ユウヤはそこまで言うと、腕組みして

 

「正直、凄いな……日本の技術者達は……流石は、最前線の国ってとこか……」

 

と感嘆した。

そしてユウヤは、その二つを見上げて

 

「安心しろ、中尉……こいつらの試験運用も成功させて、帰ってくるさ」

 

と告げたのだった。

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