※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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試験開始

基地に到着した翌日、アルゴス試験小隊とイーダル試験小隊はある会議室に集まっていた。集められた理由は、BETAの海底移動の兆候を人工衛星で確認したからである。それに伴い、試験区域の設定も発表され、更には護衛部隊の指揮官と顔合わせもした。ユウヤとして驚いたのは、その指揮官がつい先日、子供衛士達を叱責した中佐。フィカーツィア・ラトロワ中佐だった。

ラトロワ中佐率いるジャール大隊はカムチャツカでは精鋭として知られており、ラトロワ中佐は通称で氷の魔女と呼ばれていることも知った。

そして、それから二日後。人工衛星が移動する熱源と個体。つまり、BETAの移動を観測したために、迎撃作戦が発令された。

アルゴスとイーダル両試験小隊は、その迎撃作戦を利用して実戦試験を行う。

 

(初めての対BETA実戦……シミュレーターじゃあ、何回かやったが……)

 

実戦を意識したユウヤは、思わず唾を飲んだ。

BETAの大移動は、大きく別けて二つのパターンが考えられている。ひとつは、ハイヴに収容出来る個体数を越えたため、吐き出したパターン。そしてもうひとつは、ハイヴを増やすためとされている。ハイヴはおおよそ一定距離毎にハイヴを増やしており、今地球上には全部で26あり、その内のひとつが、今は国連軍の基地がある横浜だ。

どちらにせよ、かなりの数が移動するために、そうならないために飽和砲撃による数の漸減が行われる。

そして、説明が行われた数十分後、アルゴスとイーダル試験小隊はソ連軍と共に海岸線付近に展開していた。

 

『観測所より入電。海底を移動する震源を検知! 艦隊による爆雷攻撃を開始!』

 

『まあ、大して削れないだろうがな』

 

タリサがそう言った直後、数十km先の海面に幾つもの水柱が上がっていく。

 

『これが、実戦か……』

 

『なんだ、ルーキーかてめぇ?』

 

『俺達の仕事を増やすんじゃねぇぞ』

 

ユウヤの呟きが聞こえたのか、護衛に着いているジャール大隊の子供衛士達が侮蔑した様子で嘲笑ってきた。

なおアルゴス試験小隊だが、今のコールサインはアルゴス1がユウヤ、2がタリサ、3がVGで4がステラとなっている。そして今回、5としてマックスが練習機の吹雪で配置されている。そして臨時として、ホワイトファング2として隼鷹に搭乗した尚人も居る

 

『気にすんな、ユウヤ。誰もが通る道だ』

 

『だな。俺も緊張したさ』

 

ユウヤを気遣ってか、タリサとVGがユウヤに声を掛けた。なおタリサの機体は、修理が終わったアクティヴイーグルで、VGがドーゥルが乗っていたアクティヴイーグルだ。

 

『データリンク、接続正常……BETA出現(ゼロアワー)まで、Tマイナス60秒』

 

ステラがカウントダウンを開始した時、戦車部隊と自走砲部隊が動いた。砲身の角度を上げ、砲撃の準備をした。そして、カウントダウンが残り10秒に差し掛かった時、轟音と共に砲撃が開始され、0と共に波打ち際に砲弾が雨霰と殺到した。

 

『うおぉぉぉ……!』

 

スウェイキャンセラーの機能を越えて、ユウヤの体が揺れる。今まで見たことのない密度の砲撃が、水柱を乱立させる。

 

『す、すげぇ……これなら、かなりの数が……』

 

『いえ、これはおかしい……』

 

期待した様子のマックスの言葉を、尚人が即座に否定した。

 

『ホワイトファング2、どういう……』

 

『おい、これが本当に最前線の砲撃か?』

 

『これは、相当数が抜けるわよ!?』

 

VGとステラがそう言った直後、ユウヤの視界にBETAが姿を現した。

場所は変わり、基地指令部。

 

「サンダーク中尉。これはどういうことか?」

 

「私も詳しくは聞いていない。少し前に砲撃部隊に損害が多数出て、こちらが到着するまでに補充を終わらせておく、とは聞いたが……」

 

「だったら、今すぐにその状況を問い合わせていただきたい!」

 

「……確かに、これは此方の落ち度だ。少々待っていただく」

 

ドーゥルが怒鳴るように言うと、サンダークは一旦その場を離れた。

 

「篁中尉」

 

「これは、補充兵の連携訓練も十分でなく、更には補充も完全ではないんでしょう」

 

ドーゥルが視線を向けると、唯依は戦況マップを見ながら冷静に告げた。唯依とドーゥルが見ている限り、戦車部隊と自走砲部隊の砲撃は時々、撃破した個体に当たっていたり、同じ個体に集中していることもあった。

 

(なにか、我々には伝えられてないことがある……)

 

唯依は無事の帰還を願いながら、戦況マップを見るしかなかった。

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