※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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緊急事態

それが起きたのは、ユウヤ達が来て一週間後のことだった。それまでBETAに一切動きが無く、ユウヤ達も帰還に向けて準備が始まりかけていた程だった。

 

「ん、なんだ、この揺れは……」

 

「待て……この震源、動いてるぞ!」

 

「だが、このパターン……初めて見るぞ!?」

 

「予想位置は……しまっ!?」

 

そして、一つの観測所が消えた。

場所は変わり、基地。

 

『コード991発生! 繰り返す、コード991発生!! Дー03観測所からの通信が途絶! 全戦闘部隊は、緊急出撃せよ! 繰り返す、全戦闘部隊は緊急出撃!!』

 

「UAVを飛ばせ! BETAの規模を最優先で調べろ! レーザー種の有無を確認だ!」

 

「推進材の補給、急げ!! 次に突撃砲だ!」

 

「準備が出来た部隊から、順次出撃しろ! 戦術機部隊は、突撃し漸減戦闘を行え!!」

 

ハンガー内では、怒号が飛び交っていた。そしてそれは、アルゴス小隊のハンガーでも同じだった。

 

「いいか、慌てず急げ!! 確実に一つずつだ! 推進材、弾薬の補給! 戦術機のバッテリーの確認だ!」

 

『はい!』

 

ヴィンセントの指示を受けて、整備士達は着実に準備を進めていく。そんな中、ヴィンセントはユウヤの機体に視線を向けて

 

「……どっちになるんだ……」

 

と呟いた。再び場所は変わり、アルゴス小隊のブリーフィングルーム。

 

「なんでですか!? なんで、俺の戦闘参加が認められないんですか!?」

 

そこでは、ユウヤが怒りと困惑が入り交じった表情で、声を張り上げていた。

 

「先も説明した通り、今回は完全に不意を突かれた……弐型の調整も間に合わない」

 

「だったら、99式を装備して前線に!」

 

「その99式が、原因不明の不調で動かないんですよ」

 

ユウヤの言葉を遮るように、尚人が入室してきた。入室した尚人は、唯依に近寄り

 

「ダメです、篁中尉。篁中尉から教えてもらったパスワードを用いても、操作を受け付けませんでした」

 

「わかった……」

 

尚人からの報告に、唯依は僅かに頷いた。

 

「あのレールガンが、動かない?」

 

「ああ……今朝方未明から、こちらの操作を一切受け付けない……今は99型付きの整備士達が確認しているが……」

 

「原因は一切不明です。動かない兵器を持っていっても、デッドウェイトになるだけです」

 

確かに、尚人の言っていることは道理である。使えない兵器など、ただの重荷でしかなく、そんな物を持って戦うというのは役立たずとしか言い様がない。

 

「だったら、レールガン無しでも!」

 

「ですが、そうなったら99式運用形態からの換装と調整にて、出撃が瀬戸際になる可能性が非常に高いです」

 

ユウヤの反論に、尚人は冷静に告げた。実は弐型は、まだ機体の調整が不十分で、砲撃戦仕様と近接格闘戦仕様に切り替える必要があった。

そして今弐型は、99式の運用を考えていたので、砲撃戦仕様のままなのだ。

そうなると、BETAとの近接格闘戦が起きた場合に即応が難しくなってしまう。

 

「試験衛士としては不服かもしれんが、出撃は……」

 

「だったら、予備機のFー15Eでも構わない! 出撃させてくれ!」

 

ユウヤのその発言に、ブリーフィングルームがざわめいた。

 

「なぜ、そこまで……」

 

「……試験衛士だからこそだ……試験衛士だからこそ、機体の開発に手は抜けない……全力を尽くして、機体の開発をする……それが、試験衛士だ」

 

唯依の問い掛けに、ユウヤはそう答えた。それを聞いたアルゴス小隊のメンバーは、思わず顔を見合わせて苦笑した。

 

「……ある意味、僕の指示は的を射ていた訳ですね……」

 

「神田少尉……?」

 

「ブリッジス少尉、実は既に、ローウェル軍曹には弐型を近接格闘戦仕様への換装・調整を頼んでおきました」

 

尚人の発言に、唯依とユウヤは驚きの表情をして

 

「神田少尉、どういうつもりだ」

 

「独断で決めてしまい、申し訳ありません……しかし、ブリッジス少尉の試験運用に関する姿勢は、以前から見てきており、手を抜かない人物という風に感じておりました……ですから、自己判断になりましたが、99式が使えないならば、予備機よりも弐型のほうがブリッジス少尉の生存性、並びにデータ収集にも有益と判断しました……自分も、出撃するつもりです。身命を賭してでも、ブリッジス少尉は生還させます」

 

唯依が睨みながら問い質すと、尚人は一度謝罪してからユウヤのスタンスを語り、最後には自分の命を捨ててでも生還させると告げた。それを聞いて、唯依は額に手を当てて暫く黙考。そして

 

「わかった……神田少尉の意見を尊重しよう。ただし、神田少尉も必ず生還すること……それが条件だ」

 

「はっ」

 

そしてアルゴス小隊も、出撃に向けて動く。

これが、ソ連上層部の思惑と気付かぬまま。

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