『ちい!? かなりの数だ!!』
ユウヤは舌打ちした後、突撃砲で砲撃を開始した。ユウヤ機は元々本格戦闘を考慮されてないために、携行弾数は少なく、更に言えば日本帝国が採用している複合突撃砲の36mm用の弾倉は他の国のと形が全く異なるために、弾倉の互換性も無い。そのためにユウヤは、単発狙撃に徹底し、戦車級の頭を撃ったり、要撃級の足を撃ち抜いてバリケードを形成していた。しかし、なにもBETAは地上侵攻してくるだけではない。
『つっ!? ブリッジス少尉! 1時の方向に震動検知! 地下からです!!』
『なにっ!?』
尚人が忠告した直後、大きな土埃が舞い上がり、何かが現れた。その直後、激しい衝撃がユウヤ機を襲った。
『があっ!?』
『ブリッジス少尉! つっ、要塞級か!?』
地下から現れたのは、66mの巨体。
『くっそ……流石は日本軍機だな。今のアメリカ軍機だったら、一発で撃破されてたぜ……』
当たった場所が良かったのか、ユウヤ機は要塞級の鞭の強酸で溶かされなかった。しかし、その一撃で右腕を肘から無くしていた。
『ブレーメル少尉、早く篁中尉を!』
『分かってるわ! 中尉!』
尚人はユウヤの代わりに砲撃を開始しつつ、ステラに唯依の収容を指事し、ステラ機らそれに従って、唯依をコクピットへと収容し始めた。そこに、トライアド隊も動いた。
『
『了解!!』
直哉の指事に従い、トライアド隊はユウヤ機とステラ機を中心にした円形防衛陣を形成。ライフルやバズーカによる砲撃を開始した。その砲撃で、次々と吹き飛ぶBETA群。しかし、地下から撃破した数を上回る数が出てくる。
『なんで、出てくる直前まで気づけなかったんだ!?』
『震動を全く検知出来ませんでした! 地上侵攻してくるBETAの震動で、隠されてました!』
直哉の言葉に、尚人は驚きを隠せない声音で返していた。しかし、無理もない。それはつまり、
『そんな筈が……BETAが、集団突撃戦法や即時対処以外をするなんて……!』
尚人は動揺しながらも、複合突撃砲で次々と砲撃していく。
『中尉の収容完了! ハーネスによる固定も完了したわ!』
『これより、安全域まで後退する!』
『待ってくれ、中尉!
唯依の言葉を聞いて、ユウヤがそう言ってきた。確かに、そもそも唯依は電磁投射砲をどうにかするために、ヘリから飛び降りるという行為までしたのだ。
『それだが……こうなっては、仕方あるまい……神崎少尉、コアブロックだけでも回収したい。砲撃しても構わない』
『それなんですが、篁中尉……一つ、懸念事項があります』
『どうした』
『はっ……レーダーで確認出きる限りのBETAが現地点……正確に言えば、この電磁投射砲を目指してきています……恐らくですが、この電磁投射砲のコアブロックに惹かれているかと思われます』
『可能性は高いぞ……新たに、大隊規模を確認した……早いぞ』
直哉はそう言って、盾からグレネードを山なりになるように放った。その直後、閃光が走った。
『まさか、もうここまで光線級が!?』
『制空権は、ほぼ取られた……!』
『いや、すぐに奪回する』
直哉は宣言した直後、一気に機体の高度を取った。
『なにを!?』
『見つけた』
ユウヤが驚き、直哉が小さく呟いた瞬間、幾つもの閃光が直哉機に迫ったが、直哉機は容易く回避。それと同時に、流し撃ちで数発撃った。その直後、閃光が止まった。
『通常の光線級だったか……その近くに、要塞級が居たから……運搬されたんだな』
『つまり、先行してきた……早く離脱しないといけませんね……』
『……砲撃で破壊しろ。こうなっては、仕方ない』
『了解!』
唯依の指事に従い、尚人機から複合突撃砲を受け取ったユウヤが、電磁投射砲に5発の120mmを撃ち込んだ。
『……どうだ?』
『しまったな……コアブロックが、残っちまったな』
『なに!?』
爆煙の中から見えたのは、少し欠けた状態だが、コアブロックだった。
『このサイズなら、回収できる筈だ……』
『確かに……電磁投射砲一門を回収するよりは、確実ですが……』
『こいつは、戦友だ……戦友を、こんな場所に置いていきたくないんだ……』
『全く……帰ったら、反省文だからな』
『了解!』
唯依の言葉に、ユウヤは嬉しそうにしながらもコアブロックを回収。それを尚人に差し出した。
『ブリッジス少尉?』
『殿は、俺が務める……今しがた確認したが、跳躍ユニットに損傷が出てる……恐らく、出力が上がらない可能性が高い』
ユウヤの報告に、誰もが息を飲んだ。戦術機の機動力の要たる、跳躍ユニット。その跳躍ユニットが壊れたら、大体の運命は決まってしまう。例え最新鋭機だろうが、跳躍ユニットを失ったら、後は喰われるのみ。
『篁中尉が乗ってるステラ機が先頭、次は神田少尉。ケツが俺だ』
『俺達は、援護しよう。俺達の心配の必要は無い』
直哉の言葉の後、三機は離脱を開始した。だが
『クソッ……やっぱり、出力が上がらない!』
ユウヤ機が、少しずつ遅れ始めた。やはり、跳躍ユニットの損傷が響いたようだ。しかも、ステラ機の前方に次々とBETAが布陣し始めた。
『くっ……!』
それを見たステラは、突撃砲を構えた。だがそこに、ユウヤ機が保持していた突撃砲を上下に動かした。その意図を察したステラは、突撃砲を下げて
『信じるわよ、ユウヤ……!』
と言って、少しずつ跳躍ユニットの出力を上げていった。