※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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暗雲

歓楽街でRLFで戦闘が始まって、数十分後。アルゴス、暴風、イーダル部隊は、RLFが差し向けた戦力を全て撃破し、現状の把握をしていた。

 

『くそ……准尉達が……』

 

ユウヤが見つめる先には、激しく燃え盛る装甲車の残骸があった。遺体の回収が望めないのは、見れば明らかである。見つかっても黒焦げで、最悪は全て燃え尽きるだろう。それに、時々小さく爆発が起きている。シン達が積み込んだ弾薬類が、爆発しているのだろう。

 

『ブリッジス……彼らは残念だが……』

 

「分かってる……このテロを、終わらせるぞ!」

 

唯依からの呼び掛けに返答し、ユウヤはグッと操縦レバーを握り締めて、機体を演習区域の方に飛ばした。

それから、少しして

 

「いやぁ……ギリギリだったわ」

 

「シン……いやもう……直哉、回避軌道失敗したよね?」

 

「……後少し脱出が遅かったら、私達死んでましたわ……」

 

近くの瓦礫の下から、シン達こと、直哉、シャルロット、セシリアの三人が出てきた。

 

「いやぁ……RPGを避けたら、戦車砲がこっち向いてたね……」

 

「よく脱出が間に合ったよね……」

 

「後、装甲車の近くに瓦礫が散乱してたおかげですわね……」

 

三人は一度体を確認すると、立ち上がり

 

「さて、予定よりは若干早いが……」

 

「いよいよ?」

 

シャルロットの問い掛けに、直哉は頷いて

 

「トライアド1より、全戦力へ(オールユニット)……動力を待機状態から戦闘状態へ移行……テログループの撃滅を開始せよ……依頼の遂行並びに、レッドシフトを阻止するぞ!」

 

『了解!!』

 

直哉が新しく装着した左耳の通信機のから、待機していた戦力から、一斉に返答が入った。その直後、右耳に装着していた網膜投影式の通信機で視界に、《コード991発生》と繰り返し表示された。

同時刻、演習区域。

 

「……このコード991……どう思う?」

 

『……レーザー警報も含め、ダミーだと思いたいけど……』

 

『恐らく、本当かと思われます……これは、予想より早い……』

 

ユウヤからの問い掛けに、イーフェイと尚人が答えた。事前に話し合った際、RLFがBETAを解放するのは早くて、数時間後と予想していたのだ。

やはりBETAの研究をしているのだから、生半可なセキュリティーは敷いていない筈なので、幾ら事前から準備していたとはいえども、簡単にはセキュリティーを解除出来ないと考えていた。

だが、今は実際にコード991が発せられている。

コード991、予想外のBETA襲撃だが、殆どが自動で発せられているのだ。

確かに人によって発せられているのも有るが、何らかの方法で確認してからでは間に合わない場合が考えられる。そこで、敷設されたセンサー類が決められた反応を拾ったら、自動でコード991が発せられるようになっている。

それは勿論、アラスカ基地とて例外では無い。確かに最前線から離れているが、BETAの行動の予測など出来ない。

更に、BETAの地中奇襲も、場合によっては探知出来ない前例も多数ある。それらを考えると、自動で発せるのが一番なのだ。

 

『だが、ブラフということも考慮すべきでは?』

 

『確かに、そうよね……もしかしたら、奴らの無線には本当の情報が送られてるかもしれないわよ?』

 

それも、十分に考えられるだろう。コード991とレーザー照射警報が発令されるだけで、最前線を経験した衛士には十分な牽制になり、行動が規制されてしまう。

広域戦術データリンクはRLFに抑えられてしまっているために、今は近接戦術データリンクのみにしているが、コード991は無条件で受信する設定にされている。

それらを加味し、唯依はどう行動すべきか悩んでいた。その直後、レーダーに高速接近する複数の反応があった。

数は、一個大隊。

 

『つっ!? 接近する複数の反応……残存のファイティングファルコンと、ラーストチカ……それに、MIGー29OVT……ファルクラムだと!?』

 

『ちいっ!? 東欧連合軍の試作機だと!?』

 

MIGー29OVT、ファルクラム。

原型機はソ連でも評価が高いラーストチカで、ソ連ではMIGー21バラライカに代わって前線配備が進んでおり、HIーLOWミックス構想のLOW側を担う戦術機になっており、最前線ではSUー37、チェルミナートルと双璧を成して人気の高い戦術機だ。

特筆すべきは、やはり両手と両足に装備されているモーターブレードで、非常に高い切断力を有している。

そのラーストチカを大幅改修したのが、ファルクラムだ。

改修点は、やはり機動性が重点的になっており、最高速度は約2割増し。更には最高航続距離も1.5割増しだ。そこに、光ファイバー採用によるレスポンスの向上も重なり、アラスカ基地では東欧の鷹の異名を与えられた高評価戦術機である。

たった一個小隊だが、試作機を投入するということは、その衛士は精鋭なのは間違いない。

 

『総員! あのファルクラムは今までの比ではない筈だ! 油断するな!』

 

『了解!』

 

唯依の警告に全員が斉唱で返した直後、百発近いミサイルが放たれて、交戦が始まった。

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