演習域での交戦は、試験機部隊が数に押されながらも敵を少しずつ撃破していた。しかし、問題はファルクラムだった。
やはり相当の手練れが操縦しているらしく、対人戦に慣れているユウヤでも直撃弾を与えられていない。
『クソッ! こいつ、中々にヤるぞ!!』
『その小隊もね! アルゴス1、チェック3!!』
イーフェイの忠告を聞いた直後、ユウヤは機体を一気に後退させた。すると、先ほどまで居た場所で爆発が起きた。その威力から、120mmを撃ってきたようだ。
『これ程の衛士達が……! テロを……!!』
唯依は相手の力量を惜しんだ。ファルクラムを操縦している衛士達が各国で正式な衛士であったならば、さぞや強力な戦力になっていただろう。
それを考えると、忸怩たる思いだった。
そして、一機と斬り結んだクリスカ・イーニァ機が着地した時
『この振動は……来るぞ!!』
高度を上げていたファイティングファルコンが、光線に貫かれて爆散した。
『なっ……!?』
『レ、光線種……だと!?』
『光線種まで、捕獲していたなんて!?』
予想外の光線種の出現に、試験機部隊は背中に悪寒を感じた。光線種の出現により、高度を取れなくなってしまった。しかし、RLF側は気にする様子すら感じない。むしろ、高度を上げて戦っている機体すらある。
『何を考えてるんだ!?』
タリサは困惑の声を上げながら、不用意に近付いてきたラーストチカのコクピットに短刀を突き刺した。
ユウヤも一機のファイティングファルコンを撃破し、着地した。そこに、更に二機のファイティングファルコンが複合突撃砲を構えた。しかし
『なぁにヤられそうになってやがる、テメェは!』
とユウヤからしたら、知った声が聞こえて、そのファイティングファルコンに36mmが数発直撃し、爆散した。
『この声……レオンか!?』
『私も居るわよ!』
ユウヤが射線からレオン機の位置を特定すると、そのユウヤ機の隣にシャロン機が着地した。
『篁中尉、ここは私とレオンが引き受けます。BETAを頼みます』
『なに!?』
シャロンからの突然の言葉に、唯依は困惑した。シャロンの言葉から考えるに、RLFの戦力と付近のBETAは引き受けると言っていた。
『伊達に、私達もインフィニティーズに選ばれた訳ではありませんよ』
シャロンは軽く言いながら、背部のウェポンラックにあった突撃砲を撃ってラーストチカを撃墜。そして、ファルクラムにも牽制した。
『だが、BETAも居る中でたった二機では……!!』
RLFと戦う中、演習域にBETAが来ていた。主に来ているのは、突撃級と要撃級、戦車級の何時もの種類。そして遠くから、光線種が撃ってきている。
『でしたら、ユウヤを貸してもらえませんか? そうすれば、即席でも連携は可能です』
シャロンの言葉に、唯依は少し黙考した。今居る中で、レオンとシャロンをよく知るのはユウヤしか居ない。
他のメンバーでは、知らない為に最悪は戦闘中にイザコザが起きて全滅する可能性すらある。そう判断した唯依は
『わかった……ブリッジス少尉』
『中尉、後で必ず合流する!!』
唯依が最後まで言う前に、ユウヤは了承。唯依は残存機を率いて、BETAの殲滅に向かった。
ユウヤはそれを見つつ
『おら、レオン! 後ろを気を付けろ!!』
と言って、建物を登って飛び付こうとした戦車級を36mmでミンチにした。すると、入れ違いに
『お前も、気を付けやがれ!!』
とレオンが、ユウヤ機を攻撃しようとした要撃級に120mmを一発叩き込んだ。それで確かに、要撃級は下半身の半分が吹き飛んだ。だがそれでも、要撃級は動いていた。それを見たレオンは、驚いた様子で
『バカな!? これでも死なないのか、BETAは!?』
『こいつらを殺すなら、確実に吹き飛ばせ! これだから、実戦経験の無い奴は!!』
ユウヤはレオンが仕留め損ねた要撃級に、長刀でトドメを刺した。
『んだと、テメェ!?』
『はいはい、喧嘩しないの! それにレオン、悔しいけど、私達は対BETA戦が未経験なのは確かよ。さっきから、ユウヤが私達が仕留め損ねたのを倒してる』
シャロンも戦車級を仕留め損ね、危うく飛び付かれる所だったが、それはユウヤが36mmで蜂の巣にした。
『いいか、こいつらは半身が吹き飛ぼうが生きる生命力がある! 殺すなら、原型が無くなるまで攻撃するんだ!!』
ユウヤはそう言いながら、突撃級の背後から36mmを叩き込み、撃破した。そして
『テメェも……隙を狙おうとしてんじゃ、ねえよ!!』
と長刀で、一機のファルクラムのモーターブレードと斬り結んだ。すると
『ほう……テストパイロットにも、いい腕の奴が居たもんだ!!』
とオープンチャンネルで、男の声が聞こえた。
『お前が、RLF側の指揮官の一人か!?』
『少佐って呼ばれてる……まあ、正確には元少佐だが……さあ、戦いを楽しもうぜ!!』
『知るかよ、ボケが!!』
ユウヤは反論しながら、至近距離で36mmを斉射。それを少佐と名乗った男は回避し、離脱。
その瞬間、ユウヤは即座に反転し背後の要撃級を両断した。
『来るなら来やがれ!! 幾らでも、相手にしてやらぁ!!』
ユウヤは気炎を吐きながら、戦果を挙げていく。
『数に、対抗しきれるか! 小僧が!!』
『やってやるよ、テロリストが!!』
少佐の言葉に反論しながら、ユウヤは一機のラーストチカを120mmで撃破。今ユウヤは、この戦場において確実に覚醒しつつあった。