ユウヤ達と別れた試験機部隊は、BETAの予測進路先に向かっていた。しかし、その先は最悪だった。
レッドシフトの発動するラインの方に、ハイヴのあるカムチャッカ半島の方角に向かっていたのだ。
『やはり、帰巣本能か!?』
『このまま行かせる訳にはいかない!』
先に攻撃を開始したのは、イーフェイだった。暴風小隊の仲間達と共に、複合突撃砲による砲撃を開始。足の早い突撃級の足を止めて障害物にすることで、BETA群の足止めを考えたのだ。
確かに、幾らかは行き足は鈍った。だがBETA群は、それでも進もうとしていた。
『半死半生にして、バリケードを!!』
『了解!!』
唯依の指示に従い、尚人も戦車級や要撃級を半殺しにしてバリケードの形成を開始した。だがそれでも戻ることを優先しているのか、反撃するせずに直進していく。
『くそっ! こいつら……!!』
『姐さん! このままじゃあ、止められないアル!!』
『弱音を吐く前に、攻撃しまくれ!!』
部下達を叱責しながら、イーフェイは次々とBETAを撃破していく。この時、イーニァとクリスカは攻撃しながら
「ねえ、クリスカ……」
「なに、イーニァ……話なら、手短にね……?」
「私ね……ユウヤ達を守りたいの……」
「イーニァ……?」
イーニァの言葉を聞いて、クリスカは不思議そうにしながらイーニァを見た。勿論だが、攻撃の手は緩めない。
「ユウヤのおかげで、色々なことを知ったの……クリスカは……?」
「……そうね、私もよ」
実はクリスカとイーニァは、ユウヤを意識していた。それも、好きという形でである。それは初めてのことで、最初は戸惑ってしまい、どう接すればいいのか分からず、冷たく接してしまった。
しかし、ユウヤはそれでも変わらずに接してくれた。それが二人に、恋心を抱かせていた。
「だから、クリスカ……アレ……使おう?」
「けど、イーニァ……いえ、そうね」
クリスカは一瞬躊躇ったが、直ぐに頷いた。そして別行動しているサンダークに通信を繋ぎ
「同志中尉……」
『どうした』
「プラーフカの発動を、進言します」
自分達の命運を別ける提案をした。場所は変わり、演習区域。そこでは、ユウヤ達がRLFに対して善戦していた。
ユウヤ達三機に対して、RLFは無人機は全て撃破され、ファルクラムも苦戦していた。
その中心になっていたのは、間違いなくユウヤだった。ユウヤはBETA群を相手にしつつ、RLFに隙が有れば確実に攻撃していた。
それにより、RLFは幾多の攻撃を阻止され、中々機先を制する事が出来ないでいた。
『ユウヤ……動きが、全然違う……』
『……気に食わないが、同意する』
シャロンの言葉にレオンは同意しながら、ファルクラムに攻撃した。この時ユウヤは、少佐と呼ばれたファルクラムと交戦しつつ、BETAも撃破。実はこの時、RLF側でも内部分裂が始まっていたのだ。
ヴァレンタインは少佐にBETAにも攻撃するように求めたが、少佐は拒否。実は少佐は、主導者から直々にある命令を受けていた。
それが、イーニァやクリスカが深く関わっているソ連の計画。
少佐はその為の戦力誘引が目的だった。イーダル隊のハンガーの位置は、実は非公開であり、RLFは以前から探していて、この事件の直前に見つけていた。
そのハンガーには、既に陸戦隊を向けていて、まだ確保したという連絡は無い。
(あのバカ共、どんだけ時間掛かってやがる)
少佐はそう考えつつ、隙が見えたシャロン機に砲撃を放った。放たれた36mmはシャロン機が持っていた複合突撃砲に直撃し、シャロン機は一挺を失う。
しかし次の瞬間、気付けば少佐機にユウヤ機が肉薄し、プラズマブレードを展開した短刀を振るった。
(なんなんだ、そいつは!?)
初めて見る武装に内心で悪態を吐きながら、少佐は間一髪で回避し、ユウヤ機の背中を狙ってモーターブレードを突き出した。しかし、背後からの一撃すらユウヤ機には当たらない。ユウヤ機は素早くバク宙し、少佐機の背後に着地し、再びプラズマブレードを振るった。
その一撃で、ファルクラムの右肩装甲のブレードベーンが溶断された。
その時点になり、少佐は目の前のユウヤ機を敵と認識した。得体の知れない敵と。
「なんなんだ、てめぇは!!」
怒声を張り上げながら、少佐はユウヤ機に背部の武装パイロンと合わせて三挺の突撃砲による弾幕を放つ。普通ならば、至近距離での回避は不可能だろう。しかし、気付けばユウヤ機は目の前から居なくなっている。
だが、少佐とて歴戦の衛士に間違いない。自身の直感に従い、機体を前に半ば倒れるように進ませた。その直後に、ファルクラムの頭があった場所を光の刃が一閃。
背後に回っていたユウヤ機が、光刃を振るっていた。
その時になって、陸戦隊からハンガー制圧完了を知らせる無線が届いた。
「二番機、俺は予定通りに人形共の巣に向かう。足止めしろ」
少佐は部下にそう命じて、