『八幡を突破。または占領されたら、核……か』
と言ったのは、直哉から報告を聞いたマークだ
そのマークに、直哉は
「はい。確度の高い情報かと」
と言った
すると、マークが
『その理由は?』
「展開している、アメリカ軍の戦力の少なさです」
マークからの問い掛けに、直哉は即答した
「国連軍の中枢戦力の筈が、こちらでは最大で一個中隊規模しか確認出来ていません」
『なるほど……撤退しやすいようにか』
直哉の話を聞いたマークは、即座にその答えを導いた
戦術機空母というからには、かなりの戦力を有している筈である
しかし、確認出来たのは一個中隊規模のみ
そこから導ける答えは、もし突破された場合に即座に収容し撤退するため
『どちらにしろ、この歴史ある街に、核なんて無粋な物を落とさせるわけにはいかない』
「はっ」
マークの言葉に、直哉は頷いた
『フェニックス1より、スピリッツ並びに帝国各軍に告げる! 今こちらに、数万規模のBETA群が迫ってきている! しかし、それを通す訳にはいかない! ここで、撃滅する!』
『了解!!』
マークの言葉の後、一斉に斉唱が返ってきた
そこには、混成部隊が出来上がっていた
マーク率いるスピリッツ、約一個大隊
更に、スピリッツが京都で保護した帝国陸軍と近衛軍残存部隊が約二個中隊規模
その数は、約60機
それだけで、約数万規模のBETA群を撃滅する
普通ならば、不可能だ
だが、そこに居るのは幾多の激戦を越え、戦術機を越える性能を有する兵器たるMSに乗る精鋭部隊
『敵BETA群捕捉! 距離、二万五千!』
『これより、艦隊は砲撃を敢行します!』
と言ってきたのは、母艦のオペレーター達
その直後、彼等の頭上を幾つもの閃光とミサイルが駆け抜けた
閃光は容易く突撃級を焼き払い、ミサイル群は破壊の嵐を巻き起こした
その光景を見た一機の
『なんて威力だ……こんな攻撃、見たことない……』
と驚愕していた
その撃震は、両腕でリニアスナイパーライフルを保持している
すると、無反動砲を持った
『見ろよ……あの突撃級が、あんな簡単に……』
と呆然としていた
すると、マークが
『総員傾注』
と呼び掛けた
それを聞いた全員は、意識をマークに向けた
それを感じたのか、マークが
『もう間も無く、敵の最前衛が距離二万に到達する。機体並びに武装を貸し与えた部隊、構えろ』
と言った
それを聞いた彼等は、それぞれ構えた
そして、こちらに走ってくる突撃級集団の前衛が距離二万を切った
その直後
『撃てぇ!!』
マークの合図と共に、一斉砲撃を開始した
直撃を受けたBETAは、一撃で物言わぬ肉塊に成り果てていく
それを見た衛士達は
『凄ぇよ! この武装! 一撃であの下等生物共が死んでいくぜ!』
『思い知ったか! この化け物共が!!』
と口々に言いながら、どんどんと撃っていく
そんな中、機体を貸与された部隊
帝国近衛軍臨時不規則編成小隊、サンド小隊を率いることになった祐輔が
(確かに武装も凄いけど、何よりも機体性能が凄い! 瑞鶴とは違って、僕に着いてくる!)
と、機体
フェニックスゼロ・改の性能に興奮していた
そしてそんなフェニックスゼロ・改を、直哉は視界の端で見ながら
(まさか……また陽の目を見ることになるとはな……)
と懐かしんでいた
今祐輔が乗っているフェニックスゼロ・改は、昔直哉が乗っていた機体だった
だが機体を乗り換えた後、エウクレイデスの下部ハンガーに収納されていたのだ
すると、一夏と弾も
『久しぶりだな、直に見るのは』
『だな。何年振りだ?』
と懐かしそうに言った
そんな間にも、砲撃は続行
気付けば、大量に居た突撃級はほぼ全滅
次に現れたのは、要撃級と戦車級混成群だった
その集団に対しても、徹底的に砲撃を叩き込んでいた
その時、空を幾条もの閃光が走り、ミサイルの過半数を撃墜した
それを見た帝国各軍に動揺が走り
『レ、
『もう来やがったのかよ!?』
と声を上げた
しかし、マークは冷静に
『なるほどな……一定高度以上の飛翔体を最優先に攻撃する習性なのか……』
と呟いた
それに続くように、ニキが
『どうやら、最低で高度50mという処のようですね』
と言った
何故ならば、低空飛行していたミサイルより高いミサイルを優先して攻撃したからだ
『ですが、油断は出来ません……恐らくは、低く飛んでいても攻撃される可能性はあります』
『だな……まあ、ヤることは決まってる……でしょ、隊長?』
一夏が問い掛けると、マークは頷いて
『フェニックス1より、フェニックス隊、ヴァルキュリー隊、トライアド第一小隊』
と部隊を呼んだ
呼ばれた各部隊員が、マークを見た
すると、マークは獰猛な笑みを浮かべて
『これより、目玉野郎共を狩りに行くぞ……味方の砲弾に当たるような馬鹿は、居るか?』
マークの問い掛けに、全員は無言で笑みを浮かべた
それを見たマークは
『フェニックス1より、残存部隊に通達する。お前達は砲撃を続行しろ。なお、IFFは外しておけ』
と言った
それを聞いた唯依が
『まさか……この味方の砲撃の中で、
と悲鳴気味に言った
それを聞いた帝国各部隊に、動揺の気配が流れた
だが
『だが、砲撃を止める余裕もあるまい……だったら、やるだけだ』
とマークは返した
『しかし……』
『篁少尉、そこまでだ』
唯依が更に言おうとしたら、祐輔が制止し
『実働部隊の隊長自らがそう言ったんだ……ヤりきる自信があるってことだ……ですよね、マーク殿?』
とマークに問い掛けた
すると、マークは
『当たり前だ……行くぞ、お前達!』
『了解!!』
マークの呼び掛けに呼応して、先程呼ばれた部隊は機体の姿勢を低くさせた
そして
『突撃!!』
マークの号令と同時に、一気に最速で飛んでいった
地面スレスレを這うように
別に高度を上げてもいいが、回避という余計な機動をすれば時間が掛かってしまう
だから、地面スレスレを飛んだ
そして残っていた部隊は、砲撃を続行していた
しかし、幾らかの機体は砲撃を躊躇っていた
味方撃ちを恐れているからだ
そこに
『構わず、撃ちなさい!!』
と少女
セシリアが言った
『彼等は、ビームすら避けるベテランですわ! たかが実弾に当たる程、愚かではありません!』
セシリアはそう言って、GNスナイパーライフルを発射
それは、直哉機への直撃コースだった
だが直哉は、見ないで回避しかもセシリアのビームは、要撃級を撃ち抜いた
その光景を見て、覚悟が決まったらしい
躊躇っていた戦術機部隊は砲撃を開始した
そして、通信を聞いていた直哉は
「セシリアも、言うようになった……」
と笑みを浮かべた
それと同時に、自機に飛び付こうとした戦車級を楯のビーム刃で両断した
その後突撃部隊は、まるで暴虐の嵐のように邪魔なBETAを惨殺
光線種に肉薄
『狩り尽くせ!!』
マークのその言葉を合図に、あっという間に光線種を殲滅
その後、残存部隊と挟撃を開始
数万規模のBETA群は、60機の部隊に敗北したのだった