「よし! RLFはあの隊長以外は、全部撃破した! 後は、ここのBETAを殲滅して、中尉達と合流する!」
ユウヤはそう言って、付近のBETAの残存群を掃討しようとした。そこに
『そいつらは、こちらに任せてもらおうか』
と漆黒の装甲のガンダムが現れ、持っていた長刀で突撃級を一刀両断した。それに続くように、更に二機現れた。鋭角的なガンダムと両手にガトリング砲を装備したガンダム。
「アンタらは……もしかして、スピリッツ……か?」
『ああ……スピリッツ所属、ブリュンヒルデ隊だ……ここは我々に任せて、お前は元々の部隊と合流しろ。この位の数ならば、容易い』
ユウヤの問い掛けに千冬が答え、接近してきた要撃級を両断した。見た目は帝国の長刀に近いが、段違いの切れ味にユウヤは驚いた。
(どんな切れ味してやがる……スピリッツの技術力も、どうなってるんだ……)
驚きながらもユウヤは、撃破したRLF機から120mmの弾倉を回収し
「後は頼む」
そう言って、愛機を飛ばした。ユウヤは愛機を飛ばしながら、後ろを見た。三機のガンダムと二機のラプターが次々とBETAを撃破していっている。
後ろ髪を引かれる思いだが、五機を信じてユウヤは唯依達との合流を急いだ。
場面は変わり、対BETA最前線。そこでは、必死の戦いが繰り広げられていた。
「ホワイトファング2、チェック6!」
『助かります! はあっ!!』
大量に迫り来るBETAを相手に、約一個中隊で奮戦。本当に少しずつだが後退しつつ、確実にBETAを撃破していた。だがそれも、限界が近づいていた。
『くそっ! 36mmが、もう無くなりそうよ!』
『姐さん!』
どんどん無くなる弾と推進材。撃破しても、それ以上侵攻してくるBETAの群れ。終わりが見えない戦いだが、各員は士気を維持していた。
なにせ、まさしく今の自分たちが担っているのは
そうなれば、ユーラシア封じ込めラインが崩壊し、人類は更に追い詰められてしまう。それだけは、なんとしても回避する。そう思いながら、全員は奮戦していた。
しかし、徐々に追いやられていた。未だに撃破された機体は無いが、弾薬と推進材が少なくなってきている。
『くそっ! VGとステラはまだか!? これ以上は、厳しいぞ!!』
悪態を吐きながらタリサは長刀で要撃級を両断し、その勢いのまま突撃級の背中に120mm榴弾を叩き込んだ。だが、今のが最後だったのか、持っていた複合突撃砲を投棄し、背部パイロンの予備突撃砲を装備した。
恐らくは、その複合突撃砲にあるのが最後の弾薬だろう
だが、唯依は気付いていた。侵攻してくるBETA群の数が、減ってきていたことに。
だがそれでも、足りない。弾薬が、戦術機の数が、決定的に足りなかった。唯依は通信を音声のみにしていたことを内心で、良かったと思っていた。
指揮官として、焦りを表に出してはいけないと分かってはいたが、顔に出てしまっていた。
(まだまだ未熟な……)
唯依は自戒しつつ、目前に迫ってきていた戦車級の群れに120mmの散弾を撃ち込み撃破した。その時
『篁中尉……私達を残して、他の機体はこの場から離れてくれ』
とクリスカから、耳を疑う提案がされた。
「ビャーチェノワ少尉、どういうことだ!?」
『篁中尉達が離れたら、秘匿機能を解放し、BETA群を殲滅する……その際に、貴官らを巻き込んで国際問題にしたくないんだ』
「秘匿機能……だと……?」
『すまないが、詳しくは機密故に話せない……だが、その解放の許可は、既に同志サンダーク中尉に取った……』
「サンダーク中尉が……」
唯依はクリスカが言う秘匿機能が気になった。恐らくそれが、カムチャッカでの後退戦の際に単機で凄まじい撃破数が出来た理由だろう。だがしかし、あの時とは状況は違う。BETA群は帰巣本能からか、一部を除いて殆どが唯依達を無視してまで進んでいる。
(もし、ビャーチェノワ少尉達が失敗したら……)
そう考えた唯依は、容易には判断出来ずにいた。
だが
『頼む……私達を信じてくれ……』
クリスカからの真剣な頼みに、唯依は少し黙考した。そして
「ホワイトファング1より、イーダル1以外の全戦術機へ……現戦域より、西に500m移動する!」
『篁中尉、なにを!?』
『ホワイトファング1、どういうことよ!?』
唯依の指示に、尚人達から困惑の声が挙がった。だが唯依は
「いいから、一度離脱する! ……ビャーチェノワ少尉……信じるぞ……」
『感謝する、篁中尉……』
離脱する唯依機の後に続き、クリスカとイーニァ以外の機体が離れていく。それを確認したクリスカとイーニァは、二人同時に
『プラーフカ……起動……!』
自分達の最大機能にして、悪魔の機能を解放した。