※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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終幕

「クリスカアアアァァァァァ!!」

 

ユウヤはクリスカの名前を叫びながら、突撃砲を撃った。狙いは勿論、脚である。脚を破壊すれば、戦術機はまともに戦えなくなるからだ。間違っても、胴体を狙うのは無しだ。ユウヤは射撃には自信があるが、先ほどから見るチェルミナートルの回避機動は予想を上回るもので、下手に撃てばコクピットに命中してしまう恐れがあった。

しかし、ユウヤが撃った36mm弾は虚しくも空を切るだけに終わった。まるですり抜けたとしか見えない回避機動で、チェルミナートルは36mm弾を全て回避。気付けば、ユウヤ機に迫っていた。

 

「クソッ! 予想以上に速えぇ!?」

 

ユウヤは悪態を吐きながらも、チェルミナートルが繰り出した右手のモーターブレードを長刀で受け止め、今度は至近距離で頭を狙って36mmを撃った。

しかし、その至近距離の砲撃すらもチェルミナートルは頭を斜めにしただけで回避。そして、左手のモーターブレードでユウヤ機のコクピット目掛けて突き出そうとしたが

 

『ブリッジス少尉!!』

 

そこに、尚人機が援護に入った。尚人機は120mm徹甲榴弾を、チェルミナートルの脚を狙って一発だけ撃った。その瞬間には、チェルミナートルは素早く後退してユウヤ機から距離を離した。

一分にも満たないあっという間の攻防戦に、ユウヤは荒く呼吸を繰り返していた。

決して侮っていた訳ではないが、予想以上にチェルミナートルの動きが人間とは思えないものだった。

 

『ブリッジス少尉、無茶はしないでください!』

 

「予想以上過ぎる動きだったぜ……こりゃ、楽には終わらないな……」

 

最初から分かっていたことだったが、ユウヤは改めて呟いた。クリスカの動きはユウヤもある程度予測しているが、完全にその予測を上回っている。

更には、此方の動きを予知しているとしか言い様が無い動きに、攻撃を全て避けられた。

対人戦に慣れてるユウヤだったが、クリスカのような動きをする相手に出会ったことは無かった。

 

「だったら……更に早くいけばいいだけだ!!」

 

『援護します!』

 

『つっ!』

 

遅れて合流した唯依も続き、三機はチェルミナートルに突撃した。共に戦った経験こそ少ないが、唯依と尚人の腕は把握している。二人を信頼し、ユウヤは跳躍ユニットを全開で噴かす。そして、原型の不知火よりも更に強化された空力特性も活かし、複雑な三次元機動でチェルミナートルに迫った。

そんなユウヤ機を支援するために、後方から唯依機と尚人機が砲撃を放つ。二機からの砲撃を、チェルミナートルは最低限の動きで回避。それを見つつも、ユウヤはチェルミナートルの動きの先を予測し、先回りし

 

「オオォォォォォ!!」

 

烈帛の気合いと共に、チェルミナートルの頭を狙って長刀を振るう。だがその一撃を、チェルミナートルはしゃがんで回避した。しかし、それは予測済み。だからユウヤは、脚を狙って突撃砲から120mm榴散弾(キャニスター)を撃った。至近距離で放たれた砲弾を回避するために、チェルミナートルは跳躍ユニットを噴かして回避した。

 

「今のもかよ!?」

 

ユウヤは驚きながらも、チェルミナートルの動きを見逃さないと視線を向けた。その時

 

『はあああぁぁぁぁ!!』

 

と唯依機が、モーターブレードを展開したチェルミナートルと切り結んでいた。その長刀の攻撃は、ユウヤから見たら見事なタイミングと速度で繰り出されていたが、その一撃にもチェルミナートルは素早く反応してモーターブレードで防いだ。

しかし、モーターブレードが配置されているのは両手手首だけではない。

チェルミナートルは両脚のモーターブレードも展開し、唯依機に蹴りを繰り出そうとした。だがそこに、尚人機が切り込んで阻止。その隙を突いて、ユウヤが突撃砲を向けた瞬間、チェルミナートルは素早く身を翻して後退。そして、間髪入れずにユウヤ機に向かってモーターブレードを突き出した。

 

(マズい! 回避が、間に合わない!?)

 

ユウヤは直感で、回避が間に合わないことを察した。そして、モーターブレードが当たると思われた時

 

(クリスカ、ダメぇ!!)

 

と頭の中に、イーニァの声が響き渡った。その直後、ユウヤ機を激しい衝撃が襲い

 

「ぐううううっ!?」

 

歯を喰い縛って耐え、気付けばチェルミナートルがユウヤ機の斜め後方に仰向けに倒れていた。

 

「な……何が、起こったんだ……?」

 

ユウヤは呆然としながらも、ゆっくりとチェルミナートルに近づいた。起き上がって攻撃してくるのを、警戒したのだ。しかし、間近に近づいても動く様子が無い。ユウヤはそれを確認しつつ

 

「篁中尉、神田少尉。俺はこれから機体を降りて、チェルミナートルのコクピットブロックを開ける」

 

『了解した。気を付けろ、ブリッジス』

 

『念のために待機します』

 

二人の返答を聞いてから、ユウヤは自機の膝を突かせて機体を降りた。そして、チェルミナートルの胸部に登って、コクピットブロックの緊急解放用の国際共通パスコードを入力した。すると、蒸気を吹き出してからコクピットブロックが出てきた。すると

 

「イーニァ! 返事をして! イーニァ!!」

 

とクリスカの憔悴した声が聞こえ、ユウヤは慌てて中を見た。すると、額から血を流すイーニァをクリスカが揺すっていた。

その時、ユウヤは後ろを向いていた為に気付かなかったが、頭上を一筋の閃光が走った。

それを見ていた尚人と唯依は

 

『篁中尉……今のは……』

 

『間違いない……スピリッツだ……来ているのか……』

 

と閃光が来た方向を見てから、閃光の先を見た。その先では、何かが燃えていた。

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