RLFのテロから暫くし、ユーコン基地は少しずつだが復興しつつあった。
しかし、あまりにも多くの犠牲があった。
失われた試作機、優秀な人員、破壊された施設。それらを考えると、生き残った者達は悲しみで泣きそうになったが、泣く暇もなく復興に奔走した。
優秀的に修復されたのは、通信関係からだった。RLFによる改造、そして特殊部隊との戦闘によって壊れ、最早修理より新しいのに交換した方が早いというレベルだった。
そこで、無事な部隊を動員して近くの基地に向かって機材を融通してもらい、それらを仮に設置し、国連軍本部に連絡。新しい機材や人員を回してもらい、基地の復興に奔走。
ようやく落ち着きを取り戻し始めたのは、テロが起きて約1ヶ月後だった。
その日唯依は、司令部棟から日本本土に連絡して、アルゴス隊のハンガーに戻ろうとしていた。
そこに、ドーゥルが近寄り
「篁中尉、神田少尉。日本帝国はなんと?」
「は、直ぐに補給物資を送ると確約してくださいました」
ドーゥルからの問い掛けに、唯依は先ほど巌谷と話し合った内容物を告げた。今回のテロにより、唯依と尚人の機体もかなり損耗しており、予備部品が心許なくなっていた。
それを報告したところ、巌谷は直ぐに上に掛け合って予備部品類と長刀、短刀を送ると約束してくれたのだ。
「そうか。それは何よりだ……今ユーコンでまともに稼働出来る機体は少ない……」
「は……私たちの機体も、一応は稼働出来る状態ですが……」
とドーゥルと唯依が話していた、その時
「篁中尉!!」
と尚人が唯依に飛び掛かった。その直後、尚人と唯依から鮮血が溢れ、僅かに遅れて銃声が鳴った。
「篁中尉! 神田少尉!」
ドーゥルは反射的に周囲を警戒しながら、即座に倒れた二人に駆け寄って傷口を押さえながら
「狙撃だ!! 警備兵! 周辺警戒! それと、医療兵を呼べ! 大至急だ!!」
と声を張り上げた。周辺に居た一般事務要員や配属されたばかりの新人は悲鳴を上げるばかりで、一部の警備兵が周囲を見回しながらライフルを構えている。
それから即座に二人は、医療兵達によってその場所から運ばれたのだが、テロにより医療部署は破壊されているので、近い基地に運ばれたのだが、翌日に二人とも死亡したという報告がアルゴス隊にもたらされた。
二日後、アルゴス隊のハンガーは意気消沈という有り様になっていた。
無理もない、計画の責任者たる唯依と調整役として奔走していた尚人の二人が亡くなったと知らされたのだ。
今のところ計画の終了は報されていないが、時間の問題だろう。打ちきりか、もしくは新たな計画責任者が着任するか。
二人の機体は、今はアルゴス隊のハンガーに駐機してある。元々二人の機体が収まっていたハンガーは、臨時の物資集積場として借用されており、基地が安定次第返却される手筈だったが、暫くは分からないだろう。
山吹色の武御雷と試験機の隼膺の二機は、主を待つように佇んでいた。
それを、帝国軍の整備士達が見上げていると
「お前ら! そんなんじゃ、篁中尉達に失望されるぞ!」
とユウヤが言った。それに反感を覚えたのか、整備士達が怒った様子で振り向くと
「お前らは、この計画を完遂する為に選ばれた腕利きの整備士達なんだろ!? だったら、篁中尉と神田少尉の遺志を継いで、機体を完成させようと思わないのか!?」
というユウヤの言葉に、ハッとした。確かに、今居る整備士達は帝国技術研究廠でも腕利きと言われる整備士達であり、今回の計画を完遂しようと意気込んでいた。
「それに、ようやくタリサの機体の為の部品も届いたんだ! まずは、タリサの機体の修理をするのが先決だろ!」
テロの最中に壊れたタリサの二番機の為の予備部品が、ようやくボーニング社から送られてきて、修理を始めようとした矢先に、唯依と尚人の二人が狙撃されたと知らされ、修理が止まってしまっていた。
それは、整備士にあるまじき行為。それに気付いた一人が、自身の頬を思い切り叩き
「お前ら! マナンダル少尉の機体を直すぞ! 明日には、稼働出来る状態に持っていく! いいな!?」
と声を張り上げた。
『応!!』
一斉に応えた整備士達は、横たわっているタリサの機体の方に駆け出し、そしてユウヤは武御雷と隼膺の二機を見上げて
「見てろよ、二人とも……
と改めて誓い、パソコンを引っ張っただしていた相棒のヴィンセントの方に、ユウヤは向かっていった。
不知火・弐型の完成の為に