※この作品はR-18です。

マブラヴ・オルタネイティヴ・OW   作:京勇樹

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暗雲と再会

狙撃事件から約二週間後、ユーコン基地のある演習区域。そこで、一機の最新鋭機が、タイムトライアルをしていた。

その機動性は既存の戦術機を隔絶しており、衛士の腕も相まって凄まじい記録を叩き出していた。

その記録を、モニター前に居たハンガーの整備士達も、固唾を飲んで見守っていた。

そして、戦術機。不知火・弐型フェイズ3がハンガーに帰還し、ユウヤが降りると

 

「おう、ユウヤ! 機体の調子はどうだ?」

 

「…………最高に決まってるだろ!!」

 

ヴィンセントとユウヤのやり取りを聞いて、整備士養成は歓声を上げた。

不知火・弐型フェイズ3

これが、不知火・弐型の完成形として設計者のフランク・ハイネマンが送ってきた部品と装甲を取り付けた形態である。

全体的に、以前よりも鋭利な印象を覚える見た目に変わっているが、しっかりと不知火の見た目も残している。

今まで様々な試験機を乗り続け、完成まで携わってきたユウヤからしても、正に最高峰の機体と言えた。

キャットウォークから降りたユウヤは、ハンガーの一角に目を向けて

 

「待ってろよ、中尉……もう少しで、不知火・弐型(94セカンド)は完成するぞ……」

 

と告げた。そこには、唯依の等身大のポスターが貼られていた。その手前には、尚人の写真が収まった写真立てもある。

その2つだが、環境試験の際にVGが撮影した写真データを出力し、飾った物である。

整備士達は作業に入る前に、必ずぞ2つを拝むようになっていた。

まるで、二人に見守られているかのような感じがして、身が入ると言っていた。

その甲斐あり、部品が搬入されて2日で組み換えと微調整を完了。実機試験に持ち込むことに成功した。

その成果は今実証され、フェイズ2に比べて大幅に性能の向上が確認された。

まだ多少荒い部分があるので、これからまた試験を繰り返し、完成に近づけていく。

その為に、アルゴス試験隊は一致団結した。

それから更に2日経ち、ユウヤは気分良くほろ酔い気味に一人歩いていた。この日は不知火・弐型フェイズ3二番機が組み上がり、こちらも良好な数値を出していて、アルゴス隊全員で復興しつつある歓楽街に出て、飲んでいた。

更に、ドーゥル中尉の話では、近いうちに新しい日本側の計画責任者が来るらしい。

ならば、その新しい計画責任者に良い報告をしよう、と意気込んでもいた。

 

「後少しだ……後少しで……」

 

そう言いながらユウヤは、夜空を見上げた。

その時だった。

 

「ユウヤー!!」

 

自身を呼ぶ声に、ユウヤは声が聞こえた方角に視線を向けた。そこには、テロ事件以来見ていなかったイーニァの姿があった。

 

「イーニァ!?」

 

久しぶりにイーニァを見たユウヤは、驚きながらも走ってきていたイーニァを受け止めた。しかし、近くにクリスカの姿は無い。

ユウヤがクリスカの事を聞こうとしたが、それより先にイーニァが

 

「ユウヤ! クリスカを……クリスカを助けて!!」

 

と必死に訴えてきて、一気に酔いが覚めた。

 

「クリスカがどうした!?」

 

ユウヤがイーニァに問い掛けた。正にその時

 

「イーニァ……あまり手を掛けさせないで」

 

とクリスカに非常に似た声を聞き、ユウヤは反射的に視線を動かした。そこに居たのは、クリスカに非常によく似た一人の少女だった。顔立ちから身長、スタイルまで、クリスカに非常に似ている。双子と言われても納得出きるが、髪型だけは違った。

クリスカは肩辺りまで伸ばしていたが、その少女はショートカットだった。

 

「誰だ、お前は……」

 

ユウヤが問い掛けても、その少女は無表情で答えない。だが、イーニァが何処か警戒した様子で

 

「マーティカ……」

 

と少女の名前を呼んだ。

 

「……マーティカ? イーニァ、クリスカはどうしたんだ?」

 

ユウヤはマーティカから目を離さずに、イーニァに問い掛けた。テロ事件以来、イーニァもだったがクリスカの話を一切聞いていなかった。それとなしにドーゥル中尉に聞いても、ドーゥル中尉も知らないと言っていた。

 

「クリスカは……」

 

「イーニァ……機密を話さないで」

 

イーニァが言おうとしたら、マーティカが語気を強めて制止した。そして、ユウヤが反応するよりも早くイーニァを引き寄せ

 

「ユウヤ・ブリッジス少尉。今回のことは、忘れるように」

 

とだけ告げて、イーニァを引っ張っていった。

その先はソ連側の区画の為に、ユウヤが入ったら何時かみたいに拘束されてしまうので、ユウヤには見送ることしか出来なかった。

 

「なんだ……クリスカに、何が起きてるんだ……」

 

ユウヤは困惑しながら、二人が見えなくなるまで動かなかった。

そして三日後、イーダル試験小隊から模擬戦を申し込まれた。内容は、対人戦闘。

それに先立ち、イーダル試験小隊は再編成されたアズライール試験小隊と模擬戦を行っていて、アルゴス試験小隊はモニターで観戦していたのだが、イーダル試験小隊の機体が変わっていた。

SUー47、べルクート。

機体形状はチェルミナートルを踏襲しているが、より攻撃的な印象を受ける機体で、ソ連の最新鋭機だ。

 

「見ろよ、あの機動性……相当大出力の跳躍ユニットだぜ?」

 

「それだけじゃないわね……機体も大型化してるのに、旋回性も高いわ……あのブレードベーンが空力性を高めてるようね」

 

「だけど、こっちの弐型も負けてないぜ! こっちも第三世代の最新鋭機だ!」

 

VGとステラは、注意深くベルクートの性能を測っているようだ。それに対し、タリサも性能を測りながら弐型の方が優れていると思っていた。

そして、イーダルとアズライール試験小隊の模擬戦は、イーダル試験小隊の圧勝に終わった。

幾らアズライール試験小隊がFー4Eの大規模改修機の準第二世代機と第三世代機の模擬戦とはいえ、イーダル試験小隊は1番機単機で、アズライール試験小隊を全機撃破した。

だがユウヤには、前のチェルミナートルの方が隙が無かったように思えた。

 

(なんだ……イーダル試験小隊に何が起きてるんだ?)

 

模擬戦が終わるとモニターが消え、ドーゥル中尉が前に出てきて

 

「今の映像を参考に、後で対策を考えるが……先に、新たに日本側の計画責任者の紹介を行う」

 

と告げ、それを聞いた一同は気を引き締めた。

なるべくなら、唯依の後任ともきちんと話し合って、試験に臨もうと考えていたからだ。

だが、現れた人物を見て驚いた。

 

「日本側の計画責任者……篁唯依中尉だ」

 

現れたのは、死んだと聞かされた唯依だったからだ。

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