※この作品はR-18です。

酒と思い出と約束   作:キヨラ

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この作品は、BL&R18展開を予定しているものです。(今回はノーマルです)

苦手な方。不快だと思われる方は、どうかお逃げください。

大丈夫な方は、そのままどうぞ^^

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。


うずまきとうちは

「いててて…。やっと寝てくれたってばよ。」

 

 

 

腰に手を当てて軽く捻ると、ゴキリと骨がずれる嫌な音がする。

 

 

(…グッ!まさか、たかが“お馬さんごっこ”がここまで腰にくるとは…!!)

 

 

まだまだ忍としても男としても盛りな、32歳。もちろん体力に自信もある。

それでもやんちゃな盛りの子供達、しかもキックやらパンチやらをお見舞いしてくる男子児童ばかり4人を背に乗せて、5時間も這いずり回れば、それはもう腰がおかしな事になるのは必然だった。

 

 

それでも子供達があまりにも喜ぶもんだから、はりっきて馬役に徹していたが、飛んだり跳ねたりするもんだから、やはり相当な負担がかかっていたらしい。腰がもう勘弁してくれ!と悲鳴をあげているのが嫌という程わかる。さらに、アカデミーで手にし始めたクナイやら手裏剣やらを、こぶしと一緒に振り回すのだから、うかうか馬の声マネなどしていられるはずもない。

 

子供達が遊び疲れて背から降りた頃には、緊張感と安堵の綯い交ぜで変な汗は出るわ、思わずうれし泣きしそうになるわで、心身ともにS級ランク任務並の疲労感でぐったりだった。

 

喜ばそうと張り切る親心が、こうも仇になるとは…。

 

 

 

「くそ~、情けねぇ。アタタタ…。」

 

 

未だにジンジンと痛む腰をさすりながら、川の字に並んだ4つの影をみれば、今では先ほどのどんちゃん騒ぎが嘘に様に静かで、安定した穏やかな寝息が聞こえてくる。子供達も全力ではしゃいでいたのか遊び疲れていたようだ。

 

 

(寝てたら可愛いのになぁ。起きてる間はまるで尾獣だな、こりゃ。)

 

 

 

思わず苦笑いが漏れる。

 

スヤスヤと寝入る次男坊の柔らかい頬を軽くつつけば、擽ったそうにイヤイヤと身動ぎし、長男坊は相当深く寝入っているのか、口の端から涎が枕につきそうな程たれている始末だ。おまけに何か食べ物の夢でも見ているのか、唇をむにゃむにゃとすり合わせ、おれってば味噌とんこつチャーシュー大盛りでぇ∼…なんて寝言まで聞こえてきたもんだから、思わず吹き出せずにはいられなかった。

 

 

(蛙の子は蛙とはよく言ったもんで、本当によく似てる。)

 

 

長男坊の涎を指先でぬぐいながら、フッと笑みが漏れる。

 

 

オレの2人の子供は揃いも揃ってオレ似だ。

 

薄明りの中でもゆらゆら輝く金髪に、今は閉じられている瞳も開ければそこに露わになるのは、透き通った碧眼。いたずら好きのお転婆小僧。ニッカリと歯を見せて笑う姿は、幼少期のオレそのまんまで生き写しとはこういう事か!と感心したものだ。ただ違うといえばオレにはある頬の特徴が子供達にはない事くらいだろう。

 

里のみんなからは、金太郎飴親子なんて愛称で呼ばれている。切っても切っても同じ顔が出てくる飴に例えられるのは、正直喜ぶべきかなんなのかわからないけど、それほどよく似ているってことだから、やっぱり喜ぶべきなんだろうな。チビたちも悪い気はしてないようだ。寧ろ、それを強みに色々なところで、お菓子やら野菜やらなんやらを貰ってくるから恐ろしい事この上ない。

 

それに母親であるヒナタも、小さい頃のナルト君がまた見れてうれしいって誇らしげにしながら喜んでくれるもんだから、なんだかむずがゆくて堪らない。オレとしてはヒナタ似の女の子が出来たらうれしんだけど…。だから子作りしよう!なんて事を真正面から言った日には気絶するかもしれない。残念だけど、一先ず保留だな。

 

そしてオレの中にいる、目付きの悪いヤツ代表みたいな九喇嘛でさえ、事あるごとに、早くワシと代われ!とせかし、変わるや否や子供達を抱っこしたり、高い高いしたりとあやすのだから笑ってしまう。しかもどこでそんな事を身に着けていたのか、最初の頃はオレよりチビ達を笑わせるのが上手いもんだから、父親の立つ瀬がないとかなり凹みまくった。その都度、ヒナタに励まされ、時に柔拳でもって叱咤されたり……うん、思い出すと頬がジンジンと痛くなりそうだけど、ヒナタももう立派なお母さんだ。

 

九喇嘛は、孫を溺愛するお爺ちゃんってとこだろう。

 

…まあ、そんな事本人に言うもんなら、直後オレが地面にめり込む事になるのは必至だから絶対に言わないけどな。

 

オレの周りは毎日飽きることなく、賑やかで五月蠅くって……明るくて、あたたかい。

 

 

 

(やっぱり…家族っていいよな。)

 

 

 

わが子の柔らかな頬の温もりに感嘆がもれる。

 

 

 

友達と沢山遊んで、沢山笑って。よく食って、寝て。

 

体だけじゃ無くて心も強い子に育ってほしい。オレがガキの頃に出来なかったこと、すべてしてあげたいと切に思う。元気に育ってくれたらそれだけで満足だけど、夢は父ちゃんみたいな、カッケー火影になること!なんて言ってくれたら父親として最高に幸せだ。

 

 

「早く大きくなれよ。」

 

 

どんな大人になるんだろうか。わが子の未来を想像して笑みがこぼれた。

 

だが、

 

 

 

(--て、ヤベッ!!思いっきりニヤニヤしちまった!!)

 

 

瞬時に我に返りだらけた口元を隠す。

 

わが子が可愛くて目じりを下げる親はこの世に五万といるのだから、別にちょっとニヤニヤしたところで何の問題はないだろう。それはオレもよくわかっている。ただしそれはこの空間にオレ1人の場合だ。

 

 

スヤスヤとわが子と並んで眠る、黒髪の端正な顔立ちの子供が2人。

 

 

この一家の子供も金太郎飴よろしく、遺伝子の力を思う存分ふるっている。

整った容姿も性格も瓜二つ。一目見たら、誰が親かなんて明白だ。

 

そして今日はその遺伝子の大元がいる。

 

 

案の定、すぐ後ろから呆れた声が降ってきた。

 

 

 

「お前…気持ちワリーぞ。何を1人でニヤニヤしてんだよ」

 

「……」

 

 

……ぐうの音も出ない。オレ自身もそれは気持ちの悪いニヤニヤ顔をしていた自覚があるから、あえて言い返す事もしない。おまけにブツブツ言っていたのも自覚済みだ。それにこの男は昔からオレをからかう事にそれはもう呆れるほど特化しているのだ。軽口の言い合いで勝てる見込みがないことは、20年以上の付き合いでよくわかっている。だからオレは口を閉ざす代わりに、ヤツの黒い瞳に非難の視線を投げかけた。ほんの少しの反抗心てやつだ。

 

 

「ああ、漸く寝たか。ご苦労さん。」

 

 

まあ……そんなオレの反抗心は結局は無駄だったりするんだけど。

 

オレの視線をいつもの如く華麗に無視したサスケは、オレの肩ごしに寝入ったわが子を見つめる。

そして口元に弧を描いた。

 

 

(ああ…コイツも立派に父親してんだな。)

 

 

あの不愛想の極みの様なコノ男も、可愛い我が子の前では、菩薩様の様な笑みを漏らすのかと思ったら、なんだかほほえましくって、つられてオレも笑ってしまっていた。こんな時昔のヤツなら、何笑ってんだよ!!と猛烈な勢いでオレに鉄拳の一発か、若しくは機嫌が最悪なら千鳥でもくれてるとこなんだろうが、今のサスケはただ同意するかの様に穏やかな雰囲気を纏っているだけだ。口元の笑みも絶やさずそのままで。

 

 

「ホント、丸くなったもんだ。」

 

 

そんなサスケの様子に口が勝手に動いてしまった。思わずついて出たつぶやきをサスケが聞き逃す事はなく、ピクリと形のいい眉が片方あがる。黒い瞳に怒りはない。だだ面白がる色がありありと浮かんでるから、オレをネタに何か軽口を叩くつもりなんだろう。さあ、何がくるか。

 

 

「お前は少しも変わらないな、ドベ。五月蠅くて、騒がしい。いつまでも“ウスラトンカチ”だ。」

 

「………サスケ。お前…“ウスラトンカチ”って言いたかっただけだろ!ソレ!!」

 

 

 

バカに言い聞かせる様な、一字一句、協調させた言い方に悪意を感じる。おまけに協調した箇所の口調は、サスケのガキの頃の生意気な口調まんまで、声色までその当時のモノに変えているのだ。今はもうすっかり低い声だってのに。変化せずとも忠実にガキの頃だった自分を表現するサスケの、その芸の細かさに笑ってしまいそうだ。

 

もうこの段階でかなり吹きそうだったけど、オレも負けじと、上等だ!やんのかコラー!!といつかの昔、よくやった様にガキくさく口を尖らせて拳を振るわせる。もちろん声色もバッチリ、ガキの頃にして。そして、オレも小細工できるんだぜ?とニヤッと自信満々な態度をみせれば、それまでしれっとしていたサスケが、我慢できねぇ!とばかりに吹き出した。クックックと肩を振るわせて笑う。子供達がすぐそばで寝ていなかったら声をたてて笑っていただろう。

 

 

 

「ブ…ッ!!ハハ!」

 

「ナルト…お前、そのドヤ顔なんだよ!吹いちまったじゃねーか!」

 

 

そしてサスケに続きいつものようにオレも笑ってしまった。

 

 

昔だったら憤慨していたこのセリフも、10年以上経った今では何だか可笑しくて可愛いもんだ。

 

 

これはオレ達が何時からか始めた慣例行事ならぬ、慣例おふざけ。

 

昔の思い出を棚に上げて、お互いに青臭かったガキの頃を思い出しながら、その当時の態度や言葉で茶化し合う。そうして昔を懐かしんだりするのだ。

 

 

 

(ほんと、大人になったんだな)

 

 

 

そう思うにはいくつか理由はあるけど、一つは昔を懐かしめる事だと思う。

 

 

ガキの頃みたいにその場のノリでみんなで軽口を叩き合って笑えあえるのも楽しかった。

でも、昔の良い思い出も、苦い思い出も何もかも全部ひっくるめて、認めて懐かしめる大人になってからのちょっとした会話は、ガキのころのそれより楽しいのだ。それが信を置いている相棒相手ならなお面白い。

 

少し前にカカシ先生にそんな様な事を言ったら、そうか、そうか。ナルトもわかるようになったのか。“おじさん”の仲間入りだなぁ~!歓迎するよ!!と珍しく目を輝かせた先生に勢いよく肩を叩かれ、“おじさん同盟”なる、飲み会のメンバーに入れられてしまった。もちろんサスケも無理やり入れられたのは言うまでもなく。…あの時のサスケの物凄い嫌そうな顔は、今でも思い出すたびに吹き出してしまう。

 

サスケはオレのチビ達が、サスケのおじちゃん!と呼ぶと決まって、サスケお兄さんと呼べ!いいか?お兄さんだ…!!と鬼気迫る顔で訂正させるから、おじさんって言葉自体が嫌いなようだ。

 

 

それにいずれは、おじさん同盟…いや、カカシ先生主催の“サスケの過去をほじくって楽しもうの会”も潰しにかかるだろう。

 

ヤマト隊長は話題の対象が自分から外れた事に心底安心してたけど、サスケは毎回強制参加させられるうえに、過去の苦い思い出や若気の至りをおれやこれやと持ち出されるのだから、たまったもんじゃないようだ。ただでさえ白い顔をこれでもかと白くさせている。それにメンバーにアノ拷問マスターがいるのもまた……。サスケ曰く、イビキさんが参加した飲み会後3日は、飯が完全に喉をとらないそうだ。どんな拷問だよ…とやつれた顔のサスケに肩をかしながら自宅に送り届けるのは今では完全にオレの役目になってしまった。

 

それにサスケを届けた先の、ちょっと呆れた様なそれでもぐったりした旦那に慈しむような笑顔を向けるサクラちゃんと笑い合うのも、もはや恒例だ。

 

 

でもオレは、なんだか本当の意味で大人として認められた様でうれしかったんだ。

カカシ先生やヤマト隊長。それに今まで中々話す事の無かった人と酒を酌み交わす場に入れた事が純粋にうれしい。

 

 

サスケには酷だけど、こんな些細な事も思い出しては笑い合えるのだから、やっぱり大人っていいよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナルト。アレ用意できてるか?」

 

「おう!もちろん!綱手のばあちゃんから、とっておきの一本をもらったってばよ。」

  

 

オレ達は声を抑えつつひとしきり笑い合ってから、チビ達の部屋を後にした。そうしながらテーブルを指させば、黒光りする一升瓶が目に入る。アレとは晩酌用の酒だ。オレは酒の事は詳しくわからないけど、サスケは慣れた手つきで瓶を手に持ち、銘柄を確認すると、すげぇ良い酒だな。流石長生きなバアさんなだけある、これは中々呑めないぜと感心の声をあげた。サスケ…ここに綱手のばあちゃんがいたら、間違いなく塵になってたぞ、と心のなかで苦笑いする。兎に角、良いものを知っているサスケが感嘆するほどだから、今夜もまた良い晩酌日和になるんだろう。

 

 

それに今夜は満月だ。

 

 

 

「縁側で月見酒だな。」

 

「…だな。」

 

 

 

子供達も寝静まった後は、月を愛でながら美味い酒を呑み、気の置けない相棒と昔話に花を咲かす。 

 

 

(これもまた大人になってよかった事の一つだな。)

 

 

 

 

 

 

さて、今夜は何を話そうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、この時のオレはもう何というか………すっかり忘れていたのだ。

 

 

 

懐かしい思い出の中には楽しい事ばかりじゃない、苦い思い出や悲しい思い出。

 

 

そしてその中には、記憶を消し飛ばしてしまいたくなる。

 

 

 

羞恥に身もだえてしまう様な思い出があることを。

 

 

 

14年前の満月の夜。

 

 

美味い酒。

 

 

懐かしい思い出話。

 

 

 

そして……隣には、泥酔しきったサスケ。

 

 

 

 

 

 

オレが全てを思い出すまであと3時間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 




ここまで、お読みいただきありがとうございます!
そして、捏造盛りだくさんで失礼いたしました。

次回にはR18展開をいれていけたらと思います。

のんびり更新になってしまいますが、よろしければ最後までお付き合いくださると嬉しいです^^




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