契約者になってから一ヶ月が過ぎた。
これまでの人生の中でこれ程の濃い一ヶ月があったのかと思いながら、俺は膝の上で寝ころんでいるユウキの頭を撫でながら考えていた。
「ふにゃぁ」
「あれ、今日は休みなの?」
そう思っていたら、部屋にフェイトが入ってきた。
「あぁ、授業もなかったから、今日は少しのんびりしようと思って」
「そうだったの、だったらちょっと待っていて、お茶を持ってくるから」
「あっありがとう」
そう言うと台所へとフェイトが入ると、そのままお茶を自分の分と俺とユウキの三人分のお茶を持ってきてくれた。
「それにしても本当に凄いよね、君はこの一ヶ月だけでここまでのメンバーが眷属になるなんて」
「やっぱり、そんなに凄いの?」
「そりゃあね、半神のアリサに雪女の雪泉、聖剣を使えるユウキにあのナイチンゲールに恐らくは裏の世界でも一番の頭脳を持っている霧切さん。
下手な組織じゃあり得ない程の実力者ばかりだよ」
「たっ確かに。
いや、でも普通の人間のはずなんだけどな」
「君は少しは異常だと言う事を自覚しなさい」
そう言い、頭をつんと指でつつかれてしまい、俺はそう言われて考えてみる。
契約書は初期に比べたらページの量も増えており、当初表示されていたチェスの駒も塗りつぶされた物があるが、それを上回る程にチェスの駒も増えていた。
「これは一体」
「本来だったら、契約書で契約できる眷属も数には一応は限りがあるけど、君の場合は契約したのがルキフグスだからね」
「どういう事?」
「本来の悪魔の契約書では下級の悪魔では増やす事はできないけど、上級ならば眷属の力の強さによって、本の力も増えるよ」
「増えるって、僕達の力で?」
「うん、君は基本的に戦闘に関係しない力は多くないから、その分、こうやって新たな眷属に作る事ができるのよ」
「そういう事か」
俺はそう言いながら、納得するのだが、同時にそれ程の力を持っているグレイフィアさんについて疑問が出てくる。
「そう言えば、俺ってば、グレイフィアさんの事ってあんまり知らないな」
「そうか、それだったら少し勉強しようか」
そう言うとフェイトはどこから取り出したのか巨大なホワイトボードを取り出すと、そこに出てきたのはグレイフィアさんだった。
「グレイフィア・ルキフグス。
悪魔の世界でも有名な存在で、魔王サーゼクス・ルシファーの元妻。
その異名は【最強の女王】と呼ばれる程の実力者」
「そっそうだったのか」
魔王の妻だとは聞いていたけど、まさかそこまでとは。
そしてここで初めて知った、グレイフィアさんの旦那さんの名前。
「あぁ僕、知っているよ!
確か政治方面でも多く出ていて、人格者だと言われているよ!!」
「そんなにか」
グレイフィアさんから淡々とは言え、旦那さんが使命しか興味を持っていないと言っていたけど、他の人から見たら確かな人格者だったんだな。
「うん、このサーゼクス・ルシファーは超越者とも言われて、魔王の中でも最強なのは確実だよ」
「そっそうなのか」
そう言われると、ますます俺と旦那さんとの間にアドバンテージが大きくなっていくな。
「それに二人の恋愛は物語にもなっているからね、今は結構慌ただしいんじゃないかな」
「そっそれって、やっぱり俺って消されるのかなぁ」
「その心配はないよ。
だって、契約者だからね」
「契約者って、その辺の説明も結構あっさりなんだよな。
なんで、悪魔は俺が契約者だから襲わないんだ?」
「あぁそっか、君は知らなかったんだよね。
悪魔は契約した者のみ契約を達成した後で魂を奪うけど、契約者の場合はそれを永続的に行う事ができるの」
「へっ?」
初めて聞いたのだけど、そんな事。
「本来の契約者だったら寿命の半分取られて、魂が強くなった後にいただく事で悪魔は巨大な力を得る事ができるから、悪魔陣営からしたら逃さない手はないよね」
「それじゃあ、グレイフィアさんも」
結構世話になっているけど、そういう考えを持って接していたのかな?
「それは違うかな?
グレイフィアさんは特に力には固執しないし、調べた限りでは君の寿命はどちらかと言うと伸びているよ」
「そうだったのか、というよりも伸びている?」
「うん、グレイフィアさんはきっと本当に自分の事を思ってくれた君の事に惚れたと思うよ」
いきなり行為を迫った男にか?
「まぁ色々とあるけど、そこはゆっくりと考えたら大丈夫だから」
これからの事も、それは必要な事だからな。