駒王学園に入学してから、リアスから聞いた立場というのは実に奇妙な物だと聞かされた。
なんでも、これまでの契約者の多くは欲望に忠実な人物が多く、契約者の下僕の数はそれ程多くなく、多くても3人の一般人が限界だったらしい。
それが何の因果か、一般人であるはずの俺には契約者としての才能は歴代の中でも高いらしい。
本当にそうなのかと疑問に思ったが、よく考えればスカサハ達の力を考えれば多少納得でき、それを否定したらスカサハ達が弱い事になってしまうので、それを認める事にした。
「それで、俺はなんで呼ばれたんですか?」
そして月曜、本来ならば絶賛学園生活中だったが、今日はある人物に呼び出されてしまい、俺はそこにいた。
「実はね、今日は君とどうしても戦いたいという悪魔がいるんだ。
本当は断りたかったのだけど、リアスの元婚約者である以上、それはできなかったんだ」
「あっそういえばリアスから聞いた事がある。
なんでも俺と契約したから、婚約は破棄になったって」
「あぁ彼の名前はライザー・フェニックス。
フェニックス家の3男だ」
「でもさ、別にレーティングゲームは強制参加じゃないだろ。
あなただったら、普通は組まないのに、何か企んでいますか」
「鋭いな、その通りだ。
このままでは君の命が危ない、だから君にはレーティングゲームに参加してもらい、彼と戦ってもらいたい」
「力を示す機会という訳か。
とりあえずはルールによりますが」
「最低でも一人は下僕を呼び出せるようにする」
「なら、なんとかなるかもな」
そう言いながら、俺はスマホを片手で確認すると共に頭の中でシミュレーションを行う。
「それで、レーティングゲームの開始時間は」
「1時間後に開始予定だ。
会場は何もない森だ」
「上等」
俺はそう言うと契約書を片手に持ち、準備を進める。
そうして1時間は容易く過ぎると共に、俺はレーティングゲームの会場に転移させられた。
「貴様か、リアスを取ったという契約者は」
会場は本当に森しかなく、相手とはすぐに位置が把握できる場所で、まだ開始時間ではないので挨拶だけ済ましておこう。
幸い、相手もこちらに気づいているようだし、柄の悪そうなスーツの男に話しかける事にした。
「まぁそうなりますね、えぇっと、よろしくお願いしますね、ライザーさん。
俺の名前は「別に聞く必要はない」なんだって?」
いきなり変な事を言い出したライザーさんはこちらを見下すように笑みを浮かべながら話を続ける。
「人間如きが、俺に勝てる訳ないからな」
「まぁ俺はね。
だが、俺の仲間を馬鹿にするな」
「仲間だと?」
「下僕って言い方はあんまり好きじゃないんだよ。
だから、仲間と呼ぶ事に決めてるから」
「人間らしい下らない事で」
よし、これからはさん付けは辞めよう。
とりあえずは、すぐに終わらせる戦い方に決まったな。
そしていよいよ試合が始まるのか、声が聞こえ始める。
「これよりレーティングゲームを開始します。
ルールは相手の王を倒したチームが勝利とします。
また契約者様には、戦車1、僧侶1の制限をして頂きます」
「制限だと?」
「あぁ俺の仲間は誰もが強いからな。
こうして制限を付けないとゲームにならないらしい」
「馬鹿にしおって、それで俺達に勝てると思うなよ」
そう言い、ライザーの背後から炎が溢れ出し、彼の後ろから15人の女性が現れてそれがライザーの眷属だと分かった。
「さぁ、お前に勝てるのかな」
「さぁな。
エロイムエッサイム、我は求め訴えたり。
現れろ、我が戦車、僧侶」
そう言い、事前に連絡を入れていた楯無さんと黒歌がその場に現れる。
「へぇ、話には聞いていたけど、これがレーティングゲームなのね。
なかなかに面白そうねぇ」
「ぶぅ、白音じゃなくて、楯無とのコンビかぁ。
まぁ私は別に問題ないけどにゃ」
「人間に猫又、確かに珍しいが、その程度で勝てるとでも」
「あら、これは安い挑発な事。
別に問題ないわ、10分で終わらせる事ができるから」
「なんだと」
ライザーは挑発めいた事を言うが、楯無さんが反対に挑発した結果ライザーは簡単に怒り出した。
「それでは試合開始」
「死ねぇ!!」
試合開始の合図と同時にライザーは手から巨大な炎をこちらに向けて放ってきた。
だが
「ふふっ」
「はぁ、絶対防御」
俺はため息を出しながら、楯無の本を開き、そこにある文章を言うとライザーの炎は俺達の前に現れた水の柱によって阻まれ、すぐに消え去ってしまう。
「なっ」
「お生憎様、私の神器は水を操る事が得意なの。
だからそんな炎では燃え上がらないわよ」
「馬鹿な、俺の炎をなぜこうも瞬時に」
「水霧」
ライザーは楯無ばかりに目を向けている間に俺は黒歌のページを開くと、そこにある文章を読み取ると、黒歌は相手に見えないように霧を周辺に出す。
「どういう事だ、あれ程の技をなぜこうも容易く」
「契約書には下僕にした相手を自由自在に操る事ができる。
だけどね、下僕も同意の上ならば所有者の魔力を使い時間を掛ける大技でも瞬時に使用する事ができる。
今のも本来ならば神器を出さなければ発動できないけど、この通り、神器を出さなくても問題なく使えるのよ」
「なんだと、契約書は確かに強力だと聞いていたが、これ程だと」
「っライザー様、周りを」
「なっ」
ライザーも眷属の言葉を聞き、瞬時に周りを見渡すと、そこには先程までには考えられない程の霧ができていたのに気づいていた。
「ついでに、さっきの話はこれを出す為の時間稼ぎだったの。
私ってば、口は結構達者なのよねぇ」
そう言い、楯無さんは自身の神器を取り出し、手に持つ。
「ちぃ、視界を奪われたとしても、すぐに見つけ出す事ができるはずだ」
「残念ながら、それって目眩まし用じゃないのよねぇ」
「何を言って「霧固定」んっ」
「にゃあ、こういうのは苦手なんだから、さっさと終わらせてにゃ」
「ありがとう黒歌さん。
それじゃあ、すぐに終わらせるわね」
そう言うと楯無さんはそのまま狙いをライザー達に目を澄ませると同時に俺も契約書で楯無さんのページを開く。
「「清き激情」」
俺と楯無さんの声が重なると同時に目の前のライザー達は霧ごと爆発をした。
「ふぅ、ダーリンもなかなかえぐい戦法を使うにゃね」
「まぁ、これはこれで凄いわね」
そう言いながら、爆発を見ていると、爆発の中からライザーが現れた。
「ライザー様、女王、騎士、僧侶、戦車、兵士全滅です」
「何が起きたというんだ」
「まぁネタ晴らしと行くか」
そこでやっと俺は喋るように前に出ると、ライザーを見る。
「お前達が喋っている間に黒歌に霧を出して貰い、全て出し終えた後に楯無さんの神器で爆発させた、以上」
「そんなのは分かっている!!
だが、これ程の爆発を起こすなど、普通の人間では不可能なはず!!」
「いやぁ、俺に言われてもね。
俺ってば、魔術などを使う才能はないらしいけどね、なんでも魔力だけだったら魔王ぐらいはあるって言われたんだよ」
「なっなんだと」
「まぁつまりは魔力のごり押しという訳」
「ふっ巫山戯るなぁ!!!」
ライザーはそう言うと両手を炎の翼に変えて、こちらに向かって突っ込んでくるが、その前に楯無さんは手に持った槍をライザーに突き刺す。
「「氷結」」
その言葉と同時にライザーの身体は氷の中へと閉じこめられてしまう。
氷の中へと閉じこめられたライザーがこちらに向ける目線を無視し、俺達はゆっくりとそこにから離れながら、再び黒歌は霧を出していき、数分かけて離れると同時にライザーの方へと向くと
「ライザー様、気絶により失格。
よって、レーティングゲームの勝者は契約者の方々です」
「思ったよりも楽勝だったわね」
「それよりもダーリン、ここでやるにゃ!!
野外はなかなか興奮すると「帰宅!」そんにゃあ!!」
「はぁはぁ、黒歌には本当に困った」
「でも、なんでロスヴァイセを呼ばなかったの?」
「あぁ、ロスヴァイセさんは今日は休日だから」
「下僕に休日を与えるのは、本当にあなたらしいわね」
そう言いながら、転移は終わったようで、無事にレーティングゲームが終了した。