秘密の日記2
「あ、あ、あ、あん、ああー、ヴェンデリンさん、いいですわ、も、もっと激しく犯してくださいませ……」
「カタリーナ、すっかり腰使いもうまくなったね。処女だった頃が嘘みたいだ」
「お、男の方に抱かれることが、こんな素敵だなんて知りませんでしたの、ぐふぅ、わ、私を狂わせてくれるのはヴェンデリンさんだけですわ、ひあぁ……」
「ほうら、きれいな顔が快感に歪んでいるよ。俺に裸を見られて泣いていた女の子はどこにいったのさ? 大声を出してよがるなんて、貴族の娘としての誇りはどうしたんだい?」
「い、言わないでください、この悦びにまさるものなんてありません、あぁ、いいですわ、どうか私をいつまでもヴェンデリンさんの性の奴隷にしてくださいまし……」
「そうか、じゃあ望み通りに……」
「う、あぁ~、私の中に熱いものがいっぱい来ます……は、あう、ぐふぅ、き、気持ちよすぎて、こ、壊れてしまいそうですわ」
「じゃあ壊してやろうか、いつものように」
「え、ええ、いつもの通り、気絶するまで抱いてください、ああぅ、あん、あん、あぁーっ」
◇
私、カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲルがヴェンデリンさんとの結婚を決めたのは、はっきり言って打算の結果です。
私にとっては女が貴族家当主になれないヘルムート王国でヴェンデリンさんとの間に子をもうけてヴァイゲル家再興の足がかりにすることと、家を潰したルックナー侯爵家への復讐のため。ヴェンデリンさんは「暴風」の二つ名を持ち一流の冒険者として認められている私を取り込んでバウマイスター伯爵家を発展させるという、互いに利益のある話だったからです。
結果としてルックナー財務卿の弱みをつかんだヴェンデリンさんとホーエンハイム枢機卿が脅してくれたおかげで、私は名誉准男爵に叙されて私の子が当主となる新たなヴァイゲル家の男爵位が約束され、移転した新領地開発に多額の政府補助金もつくことになり、苦労をかけてきたハインツをはじめ元家臣や領民たちに報いることができました。
それにリリエンタール伯爵家のアホ三男などより甲斐性があって懐が大きく、何より一緒にいて楽しく私のような女でも普通にかまってくれるヴェンデリンさんは、結婚相手として悪くありませんでしたから。
しかし、実際に結婚となると話は別です。私を女と侮って、暴力で従わせようとした男を何人叩きのめしたことか。エリアスタンで気を失わせた奴を、魔獣がうろつく山中に放置したこともありましたが後悔しておりません。そんな経験が多く、正直あまり同性の友人がいなかったため結婚については無知で、夫婦生活についてまるでわからないのです。
せめて勉強できないかと、先日イーナさんが秘蔵していた『メイドたちの午後、野獣のようなご主人様』という本をこっそり読んでみました。ルイーゼさんと二人で「スゴイこと書いてあるんだけどさあ」と話していたのを耳にしたので役に立つのではと思ったのですが、さっぱり意味がわからず途中で投げ出してしまいました。あそこまでしないと女は男に飽きられてしまうなんて、本当なのでしょうか?
いよいよ初夜です。お、男と女が裸になって同じベッドに入り、こ、この身をヴェンデリンさんにゆだねるのかと思うと、心臓が割れ鐘のように鳴ってくらくらします。
夕食後、エリーゼさんに「昨夜はどうでしたの?」と聞きましたが、真っ赤になって「スゴかったです……」と答えただけでした。あの敬虔なエリーゼさんにそこまで言わせるなんて、実はヴェンデリンさんは相当な女たらしなのかも。これまで周囲を私たちに囲まれていて、アマーリエさんを除いて女の気配はなかったのですが。
とにかく、お風呂に入って王都の有名店で「新婚女性向け」と聞いて購入しておいた白いネグリジェをまとうと、必死に自分を叱咤しながら足を進めました。
「あ、あのヴェンデリンさん、よろしくお願いいたします」
「大丈夫なの? これまでのことを思うと、カタリーナの頭が沸騰しないか心配だけど」
「へ、平気です。これでも最年長の、大人の女なのですから、きちんと夫婦としてやっていかなければ子供ができないことくらい承知しておりますし。それに、とっくに限界が来ていた魔力量が増えるのなら、え、遠慮なくどうぞ」
「夢見る少女じゃいられない、か」
「え、どういう意味なのです?」
「何でもないよ、さあ」
ヴェンデリンさんは私をベッドに座らせて手を重ねてきました。
「今夜から二人は夫婦だ。この先は山あり谷ありかもしれないけど、一緒にやっていこう」
「は、はい、ヴェンデリンさ……」
そのまま唇をふさがれて、私の言葉は消えました。熱い舌が押し入ってくる濃厚なキスに抵抗できないうちにベッドへ押し倒され、そのままずっとキスをされ続けました。最初は緊張していた私も少しずつ気持ちが昂ってきて、思わず相手を強く抱きしめていました。
「ああ、ヴェンデリンさん、キスがこんなに甘いものだなんて知りませんでしたわ……」
「ゆっくりやるからさ、怖がらずに任せてくれ。いいね?」
「は、はい。でも、その前に明かりを消してください……」
頷いたヴェンデリンさんが消灯すると、少しずつ寝間着や下着を脱がされていき、きつく閉じていた両目を薄く開けると、窓から差し込む月明かりに照らされた全裸になって横たわっていました。
「きれいだよ、カタリーナ。昔、本で読んだ月の女神さまのようだ」
「そ、そんな……」
やはり生まれたままの姿になっていたヴェンデリンさんは、寄り添うような恰好から唇から首筋へと動きながらキスを浴びせてきます。初めて乳首を吸われながら胸を揉まれると、未経験の気持ちよさがこみ上げました。
左右の乳房を繰り返し愛撫され、くまなく舐めまわされた私は「あうぅー」と叫び声をあげ続けました。あれほど嫌がって避けてきた男性との夜がこんなにいいものだったなんて、自分でも信じられません。ようやく胸から唇が離れてほっとしたのも束の間に、ヴェンデリンさんは私の股間へ唇を這わせていました。
「あ、ヴェンデリンさん、そこは――」
抵抗しようとした刹那、ヴェンデリンさんに吸われた部分から強烈な快感が走って全身が硬直します。
「あ、あひ、ヴェンデリンさん、い、一体……」
「今のが女の体で一番敏感な部分なんだ。初めて知ったようだね」
「お、女の体の……」
「そう、こんな風にね」
また緩急をつけた刺戟が繰り返され、私は発作を起こしたようにのたうちました。
「う、あう、何ですの、こんなの知りませんわ、た、助けてください、おかしくなってしまいます、ひぃいっ」
ヴェンデリンさんは優しいながらも容赦せず、女の弱い部分を責めてきます。私はシーツをきつく握り締め、汗を全身から噴き出し、決して上げたことのない声を上げ続けました。最後に思い切り激しく吸われてしまうと大きく全身を弓なりにそらしたまま、崩れるように力が抜けてしまいました。
「はぁ、す、すごいですわ、こんなの……」
「カタリーナ、すごく感じやすい肉体だな、ほらこの通り大洪水じゃないか」
ヴェンデリンさんに手を取られてさわってみて、初めて私はすっかり濡れていた自分に気付きました。
「や、嫌です、そんなの言わないでください、恥ずかしい!」
「何言ってるの、むしろ女として喜ぶべきだよ。こうやったら……」
今度はヴェンデリンさんの指が、私の中に入って奥の方を愛撫してきました。同時に再び深いキスを重ねられ、もう片方の手で乳房を愛撫をされると、もう完全に何も考えられなくなってしまいました。
「ほうら、乳首が勃起してる。ピンク色できれいだよ」
「あう、そ、そんなに強く吸わないで、感じてしまいますわ、あ、痛い、噛まないで……」
声が枯れるまであえぎ続け、何度も気が遠くなります。もう何時間も、ただ快感に狂っているだけとしか思えません。いえ、まだ一時間もたってないはずなのに。疲れ果ててぐったりしてしまった私の両足が再び開かれ、ヴェンデリンさんが伸しかかってきます。いよいよだと察しましたが、少し前まであった恐怖がきれいに消えている自分に驚きました。男の人の硬くて熱いものが、ゆっくりと私に押し入ってきます。
「ん、はぁー……」
「痛くない、カタリーナ?」
「へ、平気ですわ」
「嫌がっても途中で止めないよ、いいね」
「は、はい……あ、あ、あ、あ、はうーっ!」
時間をかけて丹念に肉体をほぐされていた私は、滑らかに潔癖症の少女から男に愛される女になれました。自分が信じられませんでしたが、むしろ幸福な初めてを迎えられたのでしょうね。
私を気遣ってかヴェンデリンさんはしばらくじっとしてくれたので、逞しいものを奥まで受け入れた女の器官から発する軽い痛みと微熱を味わっていましたが、やがてゆるやかに動き始めるのに気付きました。
イーナさんの本に書いてあったことを思い出して両足を絡めて腰を動かすと、少しでも動くたびに敏感な部分を刺戟し、ぞくりとした快感が内側から広がります。ああ、今の私は貴族の娘ではなく、牡を求める一匹の牝でしかありませんわ。きっと淫らで蕩けた表情になっているのでしょうね。
「あ、あぅ、す、すごく気持ちいいですわ、なぜこんなに……」
「じゃあ次はカタリーナが俺を気持ちよくさせてくれ」
「え、ど、どうしろと――」
ヴェンデリンさんが私を抱いたままベッドの上で回転すると、今度は私が上に来る格好になりました。はっとして下を見ると、私とヴェンデリンさんが深くつながっている部分が月光に照らされてくっきり見えてしまっています。以前なら恥ずかしさのあまり逆上していたでしょうが、今は幸福の根源にしか思えません。
「ああ、ヴェンデリンさんが根元まで突き刺さっていますわ……」
「騎乗位と言うんだ。馬にまたがっている格好だから」
「わ、私が騎手で、ヴェンデリンさんが馬……」
「そうだよカタリーナ、君がもっと乱れ狂う姿を見せてくれ。俺のリズムに合わせて動いてごらん」
乳房が握り潰さんばかりにつかまれ、静かに動いていた逞しい男性が暴れ馬のように突き上げてきます。極限まで大きくなったヴェンデリンさんが私をかき回すのと同時に新しい快感が奥から頭まで突き抜けて、ひたすら快楽のため腰を振り続けました。はしたない声を上げまいと必死でしたが、もうとても我慢できません。
「ああ、私を突いてくれるヴェンデリンさんが見えますわ、あう、い、いいですわ、もっと、もっと奥まで深くやってください、ん、ひぃぃ!」
「すごくいやらしくて素敵だよ、初めての夜から男のために進んで奉仕する女になるなんて興奮させられるな。俺の裸を見ただけで真っ赤になってた貴族の娘はどこに行ったんだ?」
「あ、あなたが私を淫らな女に変えてしまったのですわ、せ、責任を取ってくださいませ、ああーっ!」
「もちろんだよ、さあ」
再び私たちは転がって、もとの体位に戻りました。また唇をふさぎ乳房を弄びながら、捩じるように私の中をかき回していきます。そこだけ別の生き物が入り込んでうごめいているように止まりませんわ。
「あ、あ、ヴェンデリンさん、すごくいいです、壊れてもいいからもっとしてください、そこ、ああ、昇っていきますわ、うあぅ……」
「それがイクっていうことなのさ。このまま一気に追い上げてやる」
「ああ、いい、イキますわ! 私は、私はーっ!」
絶叫したところへ、男性の熱いものが奥底めがけて注がれるのがわかります。汗にまみれてぐったりとした私は、いつの間にか涙をこぼしていました。
「カタリーナ、なぜ泣いてるの?」
「いえ、女に生まれてよかったと思って……ヴェンデリンさんに愛されて、これほどの歓びを知ることができて……もう昨日までの私には戻れませんわ……」
「すっかりセックス好きになったね」
「あの、その“せっくす”とは何ですか?」
「あ、いや、何かの本に書いてあったけど、昔は男女の交わりをそう呼んでいたそうだよ」
「ええ、せっくすはいいですわ、せっくすは最高です! こんな素敵なのを今まで知らなかったなんて、人生を損していましたわ。いえ、ヴェンデリンさんに抱かれたからこそ知ることができたのですね……お願いです、もっと私とせっくすしてください、もう大好きになってしまいましたわ」
その夜、ヴェンデリンさんは徹底的に私の思いに応えてくれました。「正常位」と「騎乗位」だけでなく、四つん這いになったところを後ろから犯される「でふねうしろどり」や、ヴェンデリンさんがあぐらをかいているところに私が座って迎え入れる「ちゃうす」、さらに立ったまま壁に手をついて突き出したお尻に背後から挿入する「うしろやぐら」に、互いに足を交差させた姿で結ばれる「こぼれまつば」など、様々な愛し合う姿を教えてくれたのです。もっとも私は治癒魔法が間に合わず途中で失神してしまったため、ほとんど夢うつつでしたが。
あれからヴェンデリンさんと過ごす夜は、私にとって“せっくす”の勉強会のようです。様々な体位を学んでは、ヴェンデリンさんを歓ばせるだけでなく、こちらも深い快楽を味わえるよう実践を怠りません。
新しい体位を覚えるたびに、私から迫って抱いてもらうのもしばしばです。特に立ったままのヴェンデリンさんに抱きかかえられて“せっくす”する「えきべん」は、ものすごく新鮮でした(相変わらず命名の由来が謎なのが多いですけど)。
それにしてもヴェンデリンさんは、一体どこでこんな知識を身につけたのでしょうか? 前に抱かれた後で尋ねると「昔、ブライヒブルクの図書館で、その手の本をいろいろ読んでね。司書の人と仲よくなって未整理の本を見せてもらっていたら、たくさんあったんだ。恥ずかしいからみんなには内緒な」との話でした。
子供の頃から好きだったのですねと呆れましたが、おかげで私が気持ちいいなら文句をつける筋合いではありませんか。ただ、ヴェンデリンさんが「昔見た“えーぶい”がこんなところで役立つとはな」とつぶやいていましたが、どういう意味なのかしら?
しかも驚かされたのは、ヴェンデリンさんは領主館を建てる際に王都から口が堅くて秘密を守ってくれる有能な職人をこっそり招き、床に仕込んだ装置を操作すると天井や壁が鏡張りに変わる仕掛けを造っていたのです。どれだけお金がかかったか想像するのも怖いですが、ヴェンデリンさんの財力からすれば大した額ではないのでしょう。
最初に見せられたときは周囲が音を立てて変わっていく光景が信じられませんでしたが、それからは必ず明かりをいっぱいつけて鏡部屋にしてもらってから“せっくす”をするようになりました。教えてもらった体位を抱かれながら練習し、犯される自分を見ながらいっそう興奮を高めるという一石二鳥です。
そして今夜もまた私とヴェンデリンさんの交わる姿を見ながら歓びに溺れ、声を押さえる努力もやめて嬌声を上げ、思い切り淫らに腰を振って精を浴びながら繰り返しイキたくてたまらないのです。
「ああ、ヴェンデリンさんの大きいのが後ろから私にねじ込まれていますわ、出し入れするところまで、はっきり見えてます……こ、こんな、獣のような恰好で組み伏せられて嬉しいなんて、こんな、はしたない女になってしまったのですね、か、鏡に映る私は、何ていやらしい顔をしているのか……あん、あひぃ、すごいですわ、もっと、私を食べてしまってください……わ、私は身も心もヴェンデリンさんの女なのですから、離さないでください、もっと激しく動かしてくださいませ……ん、あっ、ひい、あああん!」
まだまだ夜は長いのです。私も治癒魔法で体力を回復させながら、思い切り“せっくす”に没頭し貪らせてもらいます。まさに貴族でなければ実現できない、何とも贅沢な結婚生活ではありませんか。あのバカ男どもに自慢できないのは残念ですが。