秘密の日記3
「さあルイーゼ、イーナの上に乗って抱き着くんだ」
「ちょ、ちょっとルイーゼ、何も私の胸を揉まなくても」
「ああ、イーナちゃん、なんだか子供の頃にした悪いイタズラを思い出しちゃうよ」
「さあ、まずはイーナだ。いくぞ」
「う、あう、ヴェル君の太くて熱いのが入ってきた、ひぃ、あふぅ、ああぁ」
「イーナちゃん、そんな顔して歓ぶんだ、初めて見たよ……」
「さて、次はルイーゼだな。もっと足を広げて」
「うぁあ、ヴェ、ヴェルがボクを引き裂いているよ、たす、けて……」
「う、気持ちいい。いやあ、精力回復の魔法がなければ憧れの3Pなんて無理だな」
「え、ヴェル君、さんぴいって……」
「何でもないさ。またイーナを抱いてやるから」
「はうぅ、っあん、すごいよ、気が遠くなる、もっと、もっと私を……」
「ヴェル、ボクも早く愛して、お願い……」
「二人とも、いつもより積極的だな。幼馴染同士で狩りに行くような気分なのか?」
「(ギクゥ)そ、そんなことないよ、ヴェル君に愛されて幸せだなと思ってるんで……」
「う、うん、そうだよ、ああ、すごすぎる、ボ、ボクの中でヴェルが暴れてる……」
「や、やっぱりヴェル君の強さは凶悪すぎるのよ……」
◇
「イーナちゃん、大丈夫?」
遠慮がちにドアをノックして顔をのぞかせたルイーゼに、私はベッドから片手を小さく振った。
「……先週と同じよ。午前中は動けそうにないわ」
「明日はボクがガタガタになっちゃうのか。本当に参ったな」
「……半日休めば元に戻るけど、治癒魔法をかけてもエリーゼやカタリーナほど早く回復しないなんて」
「ボクたちは揃って“魔力量の二日酔い”らしいってブランタークさんは言うけどさ」
私、イーナ・ズザネ・ヒレンブラントと幼馴染で親友のルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェンヴェークが、そろって結婚してからひと月あまり。相手であるヴェル君ことヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター伯爵は優秀な魔法使いで大富豪でもある有名な貴族とくれば、すべての女性が夫にと望むであろう涎が出るほどの超高級物件だった。
下級陪臣家の娘である私たちが側室とはいえ歴とした伯爵の妻になれたのも、ブライヒブルクの冒険者予備校時代からずっと同じパーティーで過ごしてきた気心が知れた仲間だからだ。あの頃はヴェル君が魔法の力を認められてブライヒレーダー辺境伯様の家臣にでもなれば、私たちが妻となる未来があるかもと思っていた程度だったが、ヴェル君はそんな皮算用を吹き飛ばす勢いで出世していった。
私とルイーゼも彼とともにイシュルバーク伯爵の遺跡探索に参加したおかげで充分すぎるほどの金持ちになれたし、側室とはいえ伯爵と結婚できたのだから、この世知辛い王国の貴族社会で女としては十分な「勝ち組」だったはずが――。
「ヴェルと寝ることで魔力量が増えるとわかって喜んでたら、それに慣れるまで体がガタつくだなんて予想もしてなかったよ。いや、ヴェルとの“せっくす”は嫌いじゃないけど、さすがにね」
「目指せ! ヴェルの妾にして魔闘流道場バウマイスター男爵領支部の創設と初代師範の母! じゃなかったの?」
「うぅ、弟たちを招いて道場を開くことになってるけど、その対価がヴェルとするたびに半病人みたいになるのを我慢しなくちゃってのは困るし」
ルイーゼの魔闘流とうちの槍術は、バウマイスター家指南役家臣として仕官が決まっている。それぞれ同腹の兄弟が師範代を務めており、将来の見通しが立った実家のヒレンブラント家とオーフェルヴェーク家からも感謝されているのだが。
「ヴェル君は“しゅうしょくひょうがきの若者は大変だな”って言ってたけど、どういう意味かしら?」
「さてね。ボクはヴェルのネーミングセンスを理解するのはあきらめてるから。それより問題は、この状況が続くのは二人にとって非常にまずいってことだよ」
「だよね。いくら魔法使いになれるほど魔力が上がっても、このままじゃ本当に倒れるかも」
結婚すれば当然、相手と一緒に夜を過ごすことになる。そこで何があるのか、私もルイーゼも母親や友人からいろいろ聞いて心の準備はできていた。エリーゼみたいな王都の上級貴族とは違って、うちみたいな地方貴族の陪臣家では性に関する開けっ広げな話も珍しくないし、とっくに結婚して子持ちの知人もいるから。けれど――。
「確かに魔力量が上がるのは嬉しいし、イーナちゃんも魔法使いになれたけど、回復魔法がきかないほど疲れちゃうのはね」
ヴェル君との初夜は、文字通り嵐のように過ぎていった。彼に抱かれることに抵抗はなかったし、その前にたっぷり愛撫された体は男性を迎え入れるために開ききっていたほどだ。繰り返し気持ちよくされて、熱いものが入ってくるのがわかったときは感激で涙ぐんでしまったほどだもの。
しかし、そんなロマンチックな幻想が砕かれるのに時間はかからなかった。ヴェル君は何度も精を放っても衰えず、私を抱き続けた。決して嫌だったわけじゃないわ。未経験の気持ちよさをたっぷり体験させられて、よがり狂ってしまったし。おそらくそのせいで意識が飛んでしまったのだが、その瞬間もつながっていたのは覚えている。
で、朝起きたらまた待ってとか限界とか言う暇もなく、ベッドとお風呂場で背後から立て続けに犯されたのだ。後でヴェル君に治癒魔法をかけてもらったけど、私室へたどり着くとベッドから起き上がれず、レーアさんに食事を運んでもらう破目になった。翌朝は何とか起きられたが、今度はルイーゼが朝食に来なかった……。
事情を聞いたブランタークさんは、エリーゼたちとも話してから導師様とひそひそしていたが、やがて奥さん全員を集めて切り出した。
「あのよう、イーナの嬢ちゃんとルイーゼの嬢ちゃんが揃っておかしくなっちまった件だが、魔力量の増大と関係していると思うぜ」
「お師匠様、どういう意味なのです?」
「つまりだ、伯爵様とそういうことをいたすと魔力が増えるのは明らかだが、あまりにも急激すぎて体が悲鳴をあげてるんだ。俺や導師は経験ないが、下戸が酒を飲み過ぎて二日酔いを起こすのと同じらしい」
聞いたこともない話に、私たちは顔を見合わせた。
「あの、なぜそう考えられたのでしょうか?」
「エリーゼ、実は某があることを思い出したのである! 昔、某と器合わせした魔法使いが大きく魔力量を伸ばしたのであるが、やはり原因不明の体調悪化に見舞われたのである! 医者に診せたところ、慣れない魔力量増加を体が受け止められず苦しんでいるのだろうと言われ、静養を勧められたのである!」
「それって私たちと似てる……」
「伯爵様と寝たためでも、器合わせの結果であっても、魔力量の急激な上昇を簡単に受け入れられない人がいるのだと思う。エリーゼの嬢ちゃんたちは、もともと魔法使いとして高レベルだったから耐えられたんじゃないか」
「でもヴィルマは? ボクだって導師様の弟子になれるほど魔力はあるけど」
「それはわからんが、ヴィルマが英雄症候群なのを考えると体質の問題もあるんじゃないかってのが俺と導師の推論だ。どちらにせよ、はっきりした原因がわかっていないしな。その医者も断言したのでなく、おそらくそうだろうと見立てただけらしい」
「ちなみに導師様と器合わせした人はどうなりましたの?」
「その者は一か月ほどで回復したのである! もし同じ事情だとしたら、イーナとルイーゼも一か月は我慢するのである!」
「そんなあ……まだ十代なのに、体の自由がきかない年寄りになっちゃった気分なんですよ。導師様も今の自分が突然八十歳くらいになってしまったところを想像してくださいよ」
「したくないのであるが、確かに二人に関してはもっと時間がかかるかもしれないのである!」
「え、それは……」
「伯爵様の夜の生活が相当お盛んなのは察しているぜ。そのせいか、全員が先週よりさらに魔力量が上がっているんだ。つまり、伯爵様といたせばいたすほど魔力量が上がるのは確かなんだが、その限度がいつ来るか予想できないんだ。早く限度が来ればそれまでだが、まだまだ上がり続けるのなら体調不良が続くかもしれん。どちらにせよ、こいつは魔法使いとして高い能力を獲得できる代償と割り切るしかないな」
ブランタークさんの無常な結論に、私とルイーゼは頭の上にハテナマークがいくつも飛び交うことになってしまった。
「ブランタークさんの推測が本当なのか確かめられないからね。しかもヴェル君の激しさが急速な魔力量アップの原因だとしたら、あちらを立てればこちらが立たずなわけだし」
「下手をするとボクたちが壊れかねないよ」
「……でも、ヴェル君との夜は拒めないわ。それだけで離婚理由になるし、兄弟がバウマイスター伯爵家に仕官する話も消えちゃうかも」
「わかってる。ヴェルだって決してボクたちをイジメてるわけじゃないし、現にエリーゼやカタリーナは、ヴェルと寝るのが楽しみで仕方ないみたいだもん」
「だね。正直、あの二人の変わりようには驚かされたわ」
絵に描いたような名門貴族のお嬢様が嬉々として“せっくす”に励む姿は想像できないが、そうなのは間違いない。ヴェル君の寝室へ入る前はお風呂で念入りに体を磨いているし、彼と寝た次の朝はほんのり上気した表情になっている。食事中に時折、スプーンを宙に浮かせたままぼんやりしているかと思うと、急に真っ赤になってしまう。あれは明らかにヴェル君との“せっくす”で快楽に溺れていた自分を思い返しているのだ。箱入り娘が未知の経験に溺れてしまい、前に読んだ小説に出ていた「多情な女」ってやつになってしまったのかな。
特にカタリーナなんか、ヴェル君に裸を見られて泣いていた女の子との落差が激しすぎて引いてしまう。ヴィルマさんは……何を考えているのかわからないから放っておこう。
「……せめて回数が半分くらいに減らして、ゆっくり魔力量が増えるようにしてくれたらいいんだけど、さすがに言いにくいし」
「半分――そうだよイーナちゃん、いい考えじゃない!」
「え、何が?」
「だから、夜の回数が半分になればボクたちが体を壊すことはないし、魔力も少しずつ成長していくんでしょ? だったら減らしてもらうのよ」
「つまり、ヴェル君に激しくやらないでって頼むわけ?」
「それじゃ彼が不満でしょ? 前にブライヒレーダー辺境伯様から借りた本で、ヴェルの誕生日のお祝いをやったときみたいにさ……」
◇
翌週、ヴェル君の寝室をノックしたとき、私はひとりではなかった。
「やあ来たのイーナ……って、ルイーゼも一緒なのか。どうした?」
ガウン姿でベッドに座っていた彼は、ヤル気満々で待ちかまえていたってところかしら。こちらの話にどう反応するか不安だったが、「大丈夫、ボクに任せて」と言うルイーゼに引っ張られてしまったのだ――いつものように。
「ねえヴェル、このままじゃボクたちが危ないんだ。その、ヴェルと“せっくす”することで魔力量が急激に上昇したけど、それで体が二日酔いみたいな状態になっちゃって」
「え、本当なのか?」
「うん、ブランタークさんによれば、魔力量の増加を簡単に受け入れられなくて、体のあちこちが悲鳴を上げてる状態なんだって。そのうち慣れるだろうって言うけど、いつかははっきりしないんだ」
「だとしたら悪かったが、じゃあ相手を遠慮したいってか? 俺としてはイーナたちとレスになるつもりはないんだが」
「ヴェル、その“れす”って何?」
「えっと、結婚しているのに夫婦関係のなくなってしまった男女を昔はそう呼んだって本で読んだ」
「いや、それはないよ。ヴェルが嫌いなわけじゃないし、夫婦になったからには妻としての役目は果たしたいし果たさなくちゃと思うけど、ひとりでは無理なら二人でやればと思って」
「二人って……おい、あの『私たちがプ・レ・ゼ・ン・ト』を、今度は本番でやろうと?」
愕然とするヴェル君に「そう」とルイーゼは頷いた。
「つまり二人でひとり分をこなせば、三人とも満足できるでしょう。ヴェルなら無理ってことはないだろうし」
「いや、しかしイーナはかまわないのか? いくら親友とはいえ、ヤったりヤられたりするのを間近で見て聞いて、場合によっては三人でヤるんだぞ。わかっているのか?」
「わ、わかってるけど、ルイーゼとなら大丈夫だと思う。まさか、こんなことも一緒なんて思わなかったけど、私もヴェル君の奥さんとして頑張らなくちゃダメだし」
新婚早々に夫と不仲になったなどと、実家に誤解されたら大変という気持ちが強かったけど内緒だ。それに、このまま行けば最低でも中級レベルの魔法使いになれるかもとブランタークさんに言われたんだ。せっかくの機会を逃したくない。にんまりとドヤ顔になるルイーゼに、ヴェル君は呆れ半分の表情を向けた。
「裸リボンの件もだけど、思いつくだけでなく実行まで突っ走るのはルイーゼだからだな。結婚しても魔性の女にはなれず、暴走女のままか」
「え、ひどい。ヴェルってそんな目でボクを見てたの?」
「イーナも絶対そう思っているぞ」
「ええと、その……」
私が否定しなかった(というよりできなかった)ので、ルイーゼはジト目でにらんでくる。肩をすくめて立ったヴェル君は、腕を広げて私たちを抱き寄せた。
「あの時、俺は将来二人と結婚すると言ったよな。考えてみれば大回りしたあげく元の鞘に戻ったようなものか」
「ヴェル……」
「だけど俺はあの夜、もうひとつ決心したことがあるんだ」
「え、何を?」
「それは――成人後は一切遠慮しないとな」
そのままヴェル君は私たちに代わるがわる唇の裏側まで舐めるようなキスを浴びせる。戸惑っているうちに右手で私の、左手でルイーズの全身を撫でまわす。胸からお尻へと移った手が、あっという間にパンツを乗り越えて指でまさぐる。思わず膝が崩れそうになるくらい弄ばれ続けた。
「あ、あうっ、ヴェル君、立ったままそんな……」
「き、気持ちいいけど、せめてベッドで……」
「一緒に抱かれたいなんて非常識なことを言い出しておいて、常識的なセックスをしたいのか? 今夜は最後まで非常識に行こう」
「ひ、非常識な“せっくす”って……」
にやっと笑ったヴェル君は、ベッドに座りながら薄暗くしていた灯りを全部つけた。同時に例の仕掛けを作動させると、機械音を立てて室内が鏡部屋に変貌していく。
「二人ともそこで脱いで」
「え、ここで……」
「そう、何も隠せないところで、自分たちが裸になるのを見ながら」
パクパクと魚みたいにあえぐが、冗談ではないみたい。ルイーゼともども拒めるわけもなく、おずおずとネグリジェを脱ぐ。王都の貴族御用達高級下着専門店で買った――あの変態ベッケンバウアーさんの実家とは知らなかったが――ブラとパンツも取り、生まれたままの姿になる。たくさんの鏡が全裸の私たちを映し出し、めまいを起こしそうだ
恥ずかしさに思わず前を隠すと、ヴェル君は「二人とも後ろ手に組んで」と求めてきた。決して命令口調ではないのに逆らえない。明るい場所で舐めるような視線にさらされた羞恥で足が震えて……いや、恥ずかしさだけじゃないわ。何か熱いものがこみ上げて、体の芯がうずく。これは……これは歓び? 傍から見れば辱めでしかないのに、体が求めているの? 太腿を流れる水滴に気付いて、足が震えだした。
「すごいよイーナ、ルイーゼ、ぞくぞくするな」
「い、いつまでこうしていればいいの……」
「もう、立っていられないよ……」
「そうか、じゃあ」
自分も裸になったヴェル君は、私たちを鏡壁に手をつかせてお尻を突き出させ、即座に自分の硬いものを私に侵入させてきた。たっぷり潤っていたので苦痛はなかったが、胸を揉まれながら容赦なく奥まで貫通させられて、思わずのけぞる。
「あ、あうぅ、そんな、いきなりダメよヴェル君、へ、変な感じになって、痺れちゃうよぅ」
「イーナ、よく見てみろ、ダメだなんて口にしながら、顔がとろけてるぞ」
思わず目を開けた私は、鏡に映る自分に呆然とした。誰が見ても嬉しがっているとしか言いようのない、交わる歓びに浸った淫らな表情。力強く後ろから突かれるたびに、必死に腰を振ってあえぐ私。聞こえてきた嬌声に振り返ると、同じ格好でヴェル君の手になぶられているルイーゼが「ああ、いいよ、もっといじって」と愛液と涎を同時に垂らしていた。やがて熱いものを放たれて頭が真っ白になるほど達したところで、私から離れたヴェル君はルイーゼを立ったまま鏡面に押し付ける格好で犯していった。
「あん、ん、ヴェルー、もっとちょうだーい」
汗や体液まみれになって座り込む私の隣で、男を欲しがる牝と化した親友が性交する姿を凝視するしかなかった。ルイーゼも床に倒れると、ヴェル君は私を騎乗位にして激しく突き上げる。これをやられると男を咥え込むことしか考えられなくなってしまう、より深くつながるにはぴったりだと思い知らされた体位だ。
「あ、き、気持ちいいよぅ、あう、あん、凄くいい、イクぅ、ヴェ、ヴェル君が、いっぱい愛してくれるのが見えて、だ、大好きだよう、お、大きいので、もっといっぱい突いてよぉ……」
「さあイーナ、欲しかったら自分で動いて」
ルイーゼにキスしながらのヴェル君の命令に、私は髪を振り乱して従うしかなかった。啼き続けた果てに力尽きると、次はぐったりと横になったルイーゼの片足を背後から持ち上げて犯していく。未知の体位に刺激されたルイーゼは声を枯らして求め続けた。
「イッちゃうよぅヴェルゥ、は、激しすぎて壊れちゃう、さ、さっきから何度も頭が真っ白になって、はう、ああぁ、お願い、もうどうにでもしてぇ!」
二人を上下に重ねて抱き合わせた格好で交互に犯され、限界に達した私たちはほぼ同時に意識を失った。それでも確かに抱かれた回数や時間はいつもの半分程度だったから、負担は軽かったようだ。その証拠に翌朝、ベッドの上でルイーゼが責められる啼き声で目覚めた時、何とか起き上がれたし。もっともルイーゼの次に抱かれて、朝からたっぷり注ぎ込まれたけど。
一緒に朝食の席へ着くと、事情を察したブランタークさんと導師様は何とも言えない表情を交わしていたし、エリーゼとカタリーナは絶句してしまっていた(ヴィルマさんは……食事に専念していたから)。
幸いにも私とルイーゼの体の痛みは、ブランタークさんたちの予想通り一か月ほどでおさまったけど、二人で夜の相手を務めるのに慣れてしまった私たちは、その後もヴェル君命名の「さんぴい」を続けた(私も彼のネーミングセンスを理解するのはやめた)。いくら幼馴染とはいえ、結婚生活でも同じだなんてね。だけど、そもそもの原因は例の裸リボンの一件なのだから、結局は自業自得なのかも。
ようやくヴェル君との“せっくす”が楽しめるようになった私は、魔法使いとしてもブランタークさんに「一番劇的に変化したな」と断言されたほど魔力量が急激に増えて中級レベルにまで達し、『身体能力強化』と『属性槍術』の魔法を習得できた。槍の穂先に属性魔法をまとわせて放つ『火炎槍』や『風斬槍』という技を大きな岩石にぶつけて切り裂いたり、ドロドロに溶かしてしまうのが楽しくてたまらない。今度、純ミスリル製の槍を購入して『属性槍術』をさらに強化する予定だ。
さんざん苦しめられたけど、今思えば修行していたようなものか。“せっくす”が魔法修行だなんて、家族にも絶対言えないけど。第一、この話が世間に知れたらマジでヴェル君が王国の種馬扱いされかねないから、絶対に公言できないのは私にもわかる。
にしても先日の夜、さんざん抱かれてやっと解放されたルイーゼが、今度は私を組み敷いていた彼に「ヴェルが強すぎるんだもの」と恨めし気に文句をつけると、「おいおい、俺の奥さんでいるのはぶらっく職場か?」と笑っていたのはどういう意味なのかしら?
※8月24日、感想欄の指摘を受けて大幅改稿しました。