艦娘の存在が発見された惑星。
当人は人間との生活を楽しみ、今を満喫しているところだった。
満喫の仕方を間違えて逮捕されるまでは、この惑星の人間と触れ合う事が好きだった。
この惑星の人間を『愛した』と言える程に好きになってしまっていた。
人外と人間の戦争1
私は人間が好きである。(異性好きではある)
私は人に食事を恵んでもらう代わりに夫婦仲などを見ることをしていた。
仲が良い、オシドリ夫婦、浮気者、旦那又は奥方の天下がどちらか等々、
当たりに当たり過ぎて評判になりすぎていた。
浮気調査の度が過ぎて9つ巴のシュラバヤ沖海戦が旦那そっちのけで行われてしまった時、
事が大きくなり過ぎて私は逮捕された。生態検査を受け宇宙人だとバレてしまった。
人外対策局というのがあるようでそこに連れられてきた。
「どうやって宇宙から来た?」
「そりゃ、宇宙を渡ってきたんですよ」
「宇宙船とか乗り物は?」
「私はそんなものは使わずに移動できますよ」
「・・・この惑星に来た目的は?」
「私と同じ姿形をした生物と仲良くなりたいからです」
「・・・信じられんな」
「そう思うのは貴方の勝手ですよ。それにあんな修羅場が起きるまでは、
ちょっと人気が出た程度の人生相談屋だったんですから」
「あれはやりすぎだったな」
局員が苦虫を噛み潰した顔をした。
「で、あの浮気性の人凄かったですよ。一人目以外は言語で話ができないのに身振り手振りで
女性を口説きをとしてたんですよ」
「なんと!。肉体言語での話し合いはそんな理由があったのか」
「私が翻訳紛いの事をしていたんですが。一人が我慢できなくなって、ほかの人の髪を
引っ張り始めてからもう殴る、ひっぱたくの応酬が始まっちゃいました」
「修羅場というより喧嘩が始まったのか」
「その解釈で良いと思います。で、その喧嘩を制したのが私と同じ人外でした」
「ん?貴様以外の人外報告は受けていないぞ?」
「肌が色白という以外は人間と同じ姿形をしていました。しかも、あの時喋らなかったので
見分けにくかった筈です。私は人間に溶け込んだ人外と思っていたんですが違ったのですか?」
「人外の発見については貴様が第9号なのだ。まだ、この部署は始まったばかりなので
注意程度で終わらせられる存在を捕まえてから、
危険者の始末等と段階を上げていくところなんだ」
「私は一桁でしたか。良かったですね~、人間好きの相談屋で」
「言ってろ、全く」
局員が大きく息を吐いた。
「大変です!深海棲艦と名乗る者達から全世界へ向けて宣戦布告を受けました!。
すでに海岸沿いの町などが攻撃を受けています!」
「真っ白と真っ黒な人型生物や黒い鯨のような生物にレーダー施設やレーダー艦を
破壊されました」
人外対策局に緊張が走る。
「私に武器をください!」
「なぜだ?」
「人外に武器が渡せるかよ」
「敵も人外なのにですか?」
「貴様が信用に足るのかが判らん」
「人間への誤射等を完全に防ぐような兵器は無いのですか?」
「そういうのが有ればそれで人外と戦ってくれると?」
「ええ」
「兵器研究所に連絡してみよう」
「有るそうだ、ついて来い。急ぐぞ」
研究所で研究員が近づいてきた。
「これです」
「サングラス?」
「実際に掛けてみてください」
私に渡されたので眼鏡のように掛ける。
途端サングラスから体へ鎧がまとわり着いていく。
{初めまして、私はこの兵器 機動装甲歩兵 のオペレーターAI、ビッグヨーダ、
BYとお呼びください}
「BY、よろしく」
「武装についてですが・・・」
{頭のこめかみに近い部分からは大型戦車を撃ち貫けるぐらいの機銃、
右手には標準で1,000mmの鋼鉄を打ち抜く銃を、右肩背中に格闘用の剣、
左肩に誘導ミサイル、左右の太もも外側にはお好みで予備兵装を格納できるスロットがあります。
左肩にはオプションで低反動砲を装着できます}
BYが外へのスピーカーを通して研究員たちに聞こえる音声を出す。
「・・・後は、蛇足として盾があるくらいです」
「防御に関しては?」
{体全体は戦闘機の機銃掃射を防ぐ装甲になっています、盾はミサイルならば傷がつく程度です。
目の周りは装甲が無いので盾で防ぐか腕で攻撃を防いでください。
敵から照準を付けられている・ロックオンされている場合は方角をお知らせしますので、
参考にしてください}
「この武装は次期戦闘機の代わりとして開発していて、飛ぶことが可能です。
Gには注意してください。ですが戦闘機として作ったので装甲は薄いです、過信は禁物ですよ?」
「こんなに小型じゃ他の戦闘機がこれに傷一つ付けられずに殲滅できそうだな」
「ですが対人間用に作った物ですのでこれが深海棲艦と名乗る者たちに通用するかどうかは
疑問です」
一人慌てた様子で入ってくる。
「深海棲艦の人型が上陸をしようとしています!。通常の陸戦兵器では威力が低く、
効果がありません。この兵器を直ちに兵士に配布し、攻勢に出よとのお達しです!」
「上陸!?昨日の今日だぞ?」
「既存の水上、水中の戦力全て喪失しました。後は陸上戦力で押し返す必要があります!」
「・・・試験運用は完了しています、先行量産分を戦場に出る兵士の皆さんへ
配布を急いでください」
「貴様はどこまで生きられるかな?」
「どこまででも、生きてみせますよ」
「一大事だ。お互いに生きているといいな」
私がオプション装備を装着しようとすると
「まだそれらは完成していません。撃とうとすると衝撃で貴方が死んでしまいます。
今回は標準装備で出撃をしてください。応急薬や非常食などがありますので、
それを持っていきますか?」
「持って行きたいです」
「ここにあります。詰められるだけ持って行きますか?」
「勿論」
予備装備を入れるスロットの中に応急セットと食料を詰め込む。
「BY、この武装の使い方を知りたい」
{では、あなたの頭の中に使い方を流し込みます}
「・・・使い方が解った、便利な世界だな」
{約5年前からこのシステムが確立できました。あなたにこの機能を使用して9人目です}
「5年で9人目か・・・」
{5人目までは知識を流し込んだところで死んでしまいましたので慎重になっていたんです。
鼻血などは出ていませんか?}
「大丈夫だが・・・、これはまだ試験利用段階じゃないか?」
{8人目からは何事も無くなったのでさして問題無い筈です。さて、行きましょう。
1分1秒が惜しいです}
「分かった」
背中の推進装置に火を入れて飛ぶ。やばい、音速はいしきがとび・・・
{生きてますか?}
BYの声に意識を取り戻す。危なかった。
銃やミサイルを使う。敵に当たる当たる。これが自身の初戦とは思えない。
・・・というか地面を埋め尽くす程に居るんだから当たり前か。
敵戦闘機をバルカンで落とす。発射した後軌道修正を行って確実に当てていく。
「対空砲火が厳しいな、降りて戦闘をしたほうが無難か」
所々被弾して痛い、痛覚を頭から切り離しているが体が死にそうだ。
{私もそれを推奨します・・・民間人の生体反応、救助してください!}
視界の中に矢印が表示される。
「こんな時に救助か?自分を守るだけで精一杯だぞ!?」
{その為の盾があるんですよ!?}
「・・・やってみる」
「~~!」
盾で女性の視界をふさぐ。それと同時に攻撃を弾いた音と反動が襲う。
女性が声にならない悲鳴を上げている。
女性は私の顔の方に振り向く。
「死にたくなければ私に抱きついて。生きてここから出れるかも知れないぞ?」
一瞬固まっていたが、頷いて首に抱きついてくる。
「飛ぶぞ、しっかり捕まって!」
味方が周囲に居るうちに後退する。味方は敵戦闘機と陸上に居る奴等の両方に
どんどん落とされていく。
敵との距離を開けることに成功した。
「あの、ありがとうございました」
「歩けるか?」
「はい」
「BY,民間人収容施設はどこだ?」
{ここから西に100キロの地点です。ですが敵の戦闘機や対空砲火を考えると徒歩での
移動が望ましいです}
「歩くしかないか・・・、安全なところへ連れて行きます。え~・・・」
「あ、私は大山といいます」
「では、大山さん、何日かは掛かりますが必ず連れて行きます」
「お、お願いします」
移動して30秒くらい後に着地地点へ砲弾が着弾した。
「お腹すきました」
「食事を摂ったのは何時間前で?」
「半日前です」
予備スロットから非常食と水を取り出す。
「どうぞ、走るのに支障が無い程度で摂取してください」
「ありがとうございます。あなたは?」
「私は今は水だけにしておきます、戦闘になったら動けませんからね」
「そうですか」
遭遇戦になった。深海棲艦側がすでに内地に侵入し始めている。
「顔を出さないで」
自身を能力で補強し敵を殲滅していく。
「はい。~~!」
盾で守りながら後退していく。近くでの炸裂音などで大山が悲鳴を上げる。
何体倒せばいいんだ?
道中、あの9つ巴の修羅場になったであろう家の前に着いた。
砲弾か爆発物によって滅茶苦茶になっていた。近くにあの旦那と人外が横たわっていた。
半身が無くなった旦那の右手の上に人外が両手を重ねている。
よく見ると人外は敵の深海棲艦と非常に酷似していた。
・・・人外が生きているが後数分の命だろう。記憶を読み取ってみる。
「なぜ人間の味方をする!」
「人間を・・・違う、この人を愛したからだ!。それを同胞のお前達は殺した!。
今は同胞のお前達が憎い!」
「同胞でも我等に邪魔立てするならば、死ね!」
(こいつらには勝てない。でも殺した奴等に一矢でも報えれば・・・)
何処からともなく武装を展開し同胞達へ砲撃を行う。それが敵一体に当たる。
砲撃を撃った後、敵から雨あられのように砲撃が降ってきた。
武装に砲弾が当たり、使用不能までにへしゃげる。砲弾が体に当たり、
体に穴が空き・切り傷ができる。
(一方的だったな。考えれば良かった。)
ずるずると男の下へ近寄る。
(愛しい人、私は憎いと思っていた人間を愛した。人間の貴方が好きだった。
浮気はしていたけど甲斐性はあった。最後はびっくりしたけどね。本当に貴方に会えてよ・・・)
読み取りが途切れる。命の火が消えたようだ。
「・・・あの世が有るならば、そこで二人に幸あらんことを祈っているよ」
「どうしたんですかー?」
「食料でも見つかるかと思ってな!無さそうだ。先を急ごう!」
大山たちには見せないよう誤魔化して先を行く。
今現在、敵との距離をだいぶ開けられたようだ。町だったところに来た。
遠距離砲撃で所々家や道路が崩壊している。
「ウッ」
大山は死体を見て吐きそうになっている
「・・・」
{貴方1人では限界がありますよ、貴方が今も健在で深海棲艦を倒しているこの時点で
勲章物です。投入した歩兵は半数以上が殉職しました}
「半分以上?」
{深海棲艦の戦闘機に想定以上の武装が取り付けられていたのが主な原因のようです。
全く倒せなかった兵士がほとんどです}
「先が思いやられるな」
{艦娘のプロトタイプと第1次型の生産がまもなく終わる予定です。
それによって戦況の巻き返しが出来ると予想しています}
艦娘の情報が頭に流れてくる。
「そうか・・・どちらにとっても消耗戦の予感がするな」
{相手が人外で、双方降伏や講和条件を現状提示できていません}
「尚更だな」
突如、燃えている建物から悲鳴が聞こえた。
助けに走り出す。
{炎の耐性はありませんよ!?}
「私がある」
サングラスを外し生身の状態になり炎の中に飛び込む。
女性が倒れているので抱きかかえる。脱出しようとして炎の渦が出口を塞ぐ。
私は大きく息を吸い込む。それは炎をも吸い込んでいく。
体の中で赤い羽根が輝いた。その輝きは女性を包む。
炎を全て吸い込み息を吐き出す。
「え、あれ?」
女性が意識を取り戻す。
「建物が崩れそうです。出ましょう」
「は、はい!」
二人が出て9秒後に建物が崩壊する。
崩れた家の方を見ると何か真っ白い人のような何かがこちらに頭を下げ礼をした。
それはフッと消えた。残像か何かだったのだろうか?
「あぁ、私と母さんの家が・・・」
崩れ落ちる女性
「敵が迫っています。過去を取りますか?それとも今と未来をいきますか?」
「・・・未来を取ります」
サングラスを掛け鎧を装着する。
女性が驚いた顔をする。
「私が避難所へ案内します。大山さん、行きましょう!」
大山を呼び安全圏への移動を再開する。
3日後、民間人の保護施設へ来れた。
この間私含めて3人共、擦り傷・切り傷程度で済んだ。
BYの的確な指示があってこそだった。
「この二人をお願いします」
「はい、わかりました」
歩兵へ二人を引き渡す。
「私はここでお別れです」
「あの、お名前は?」
大山が私の名前を聞いてくるので言う。
「本当に、ありがとうございました」
大山が抱きついてきて嗚咽を漏らす
しばしそうしていて、大山が離れる
「生きていたら、私に会いに来てください」
「いいですとも。生きていたらですがね」
お互いに苦笑する。
「お邪魔だったかしら」
名前を聞いてなかった女性が苦笑いしながら口を開く
「私も、ありがとうございました」
「どういたしまして。では、二人ともどうかお元気で」
二人の下を去って半年、私はまだ生きている。本土は海岸線以外取り戻すことが出来た。
他の兵士たちはどんどん撃墜され殉職していく。
盾を敵から目立つようなマークを塗装上手な人に入れてもらって、
私に攻撃の目がいくようにしてみた。
黄金のような輝きにされてしまった。目立ち過ぎやしないか?
少しは私に攻撃が来るようになったが、これ以上弾幕が増えると私が死にそうだ。
敵を倒すエースと持て囃され、いつしか隊長扱いにされてしまった。
隊長といっても切り込み隊長だ。近接攻撃で敵を倒し、
且つ生還するからこう言われるのは必然か。
指揮はBYや指揮官肌の人に任せっきりだ。
1戦闘ごとに1人以上は死んでいく、敵の数が戦闘機も含めて多すぎるのだ。
ある時、隊員の一人と高級羊羹を食べながら話す機会を持った。
「隊長、何時終わるんですかね~、この戦争」
「何時かだろうな」
「隊長がある日突然終わらせたりして」
「ハハ、かもな」
「隊長、死なないでくださいよ。貴方は我々のムードメーカーですから」
「勿論だとも」
この会話を交わした隊員は翌日全身を木っ端微塵にされた。
BYが反応完全消失といったのだ。この日以降、隊員の誰もが彼を見かけなかったと話した。