※この作品はR-18です。

艦これ ある惑星の宇宙人な英雄   作:セビンリア

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前日 戦後

 大井が工廠から去った後、男は事の不思議さを思う。

 

 

『戦争後期に突然発見された島』

 男が居るこの島。深海棲艦との戦争が始まった後で見つかったのだ。

 深海棲艦との遭遇・会敵報告が1日1桁に成った時期が存在した。それがこの島を発見する事となった。

 

 深海棲艦を探し、倒す作業。

 そんな中、未踏の島を発見した艦娘の艦隊が居た。彼女達は深海棲艦が占領していない事に、そして、戦禍の痕跡が全く無い事に驚いた。自然豊か、植物は繁茂し、動物達が駆け回っている。

来た当初、誰かが生活していたであろう建物も在った。・・・今は破壊されてしまっているが・・・。

 更に調査を進めると深海棲艦が、艦娘の速度で、3時間程の地点に大量生息していることが確認される。流石にこの地点に拠点設営は出来ない・住めないとして放棄された状態に在った。

 その状況下で、この男達が住み着いたのだった。

当然、襲い掛かって来たその深海棲艦達。男と艦娘達はなんとか退け、今に至る。

 

 

「明石、この島が時間跳躍をして今に至る、と思うか?」

「艦娘の様な存在が居る他の星から転移した、とも考えられます。何せ、この島にある設計図が全てこの星の字では在りません」

「何にせよ、この島に居た科学者が優秀だった、という事か・・・」

 明石は男の問いに肯定の意思表示をする。

「『大井は艦娘である』。妖精が言ったこの言葉。それと、彼女がここの一員になると言った以上、信用してあげましょう」

明石の言葉に男は少し思案。何回か、自分を言い聞かせるように、「そう、だな」と肯定の仕草で首を振る。

 その男の様子に明石は「イザとなったら、洗脳すれば良いんです!説得係は沢山居るんですから!!」と言い加える。

「おいィ、それで良いのか?」・・・男は少し脱力した。

 

『提督、建造機は如何します?また艦娘を誕生させますか?』

 その声に男が振り向くと、妖怪が近くへと来て居た。

「ああ、頼むよ。今は小さい方だけ稼働させてくれ」

『はい、直ぐに取り掛かります! 大体3日後くらいに完了します』

「3日後?・・・建造機の調子が又悪い様子だな。前は1日以内に完了していた筈だよな?」

『長らく建造機を使っていなかったので、ちょっと、おぼつかなくて・・・作業の進行が遅延しているんです。・・・すみません』

「君達が頼みの綱だ。頼むぞ?」

『はい、勿論ですとも!』

 妖怪は張り切ってそう言うと、小型建造機の所に集まって居る妖精達と共に艦娘を誕生させる作業へと移る。

 

 

{明石さん}

「お?、明石で良いですよ」

{では、明石。データ転送が完了しました。確認してください}

 大井への対応を話し合っている最中にSPから明石へのデータ転送が終わった。

「・・・うわぁ、すごい。しかも、外部保存域になってる。・・・私も、このデータでもっと最適化が出来るわ」

{今の情報を第1次の誰かへ渡せば、治療型艦娘として活動が出来る筈です}

「うん、出来ますね。・・・あ、丁度良い所に、北上!」

 

 建物の外で顔を見せて居た、北上と呼ばれた少女が呼ばれて明石に近付いて行った。

「明石、如何(ど)したの?」

「貴女も治療型艦娘に成って!」

「え、無理でしょ?。根幹(こんかん)となる治療方法の転送が出来なかったから、私達第1次は途方に暮れたんだよ?」

「出来る様になったのよ!。今からそのデータを送るから宜しくね?」

「出来た?、・・・うん、分かった・・・」

 北上が半信半疑ながら、承諾した。

 明石から北上へデータが送られて行った。

 

「そうそう。明石、明日に艦娘が来るよ。修復依頼だってさ」

思い出したように北上が言う。それに明石は拍子抜けた顔をして男を見る。

「・・・へえ。提督、よく承諾しましたね?」

「え、私は承諾していないぞ?」

明石の言葉に、男は否定をする。それに明石は呆気に取られる。

「えっ? ・・・大型建造機を受領した時はよく受け入れましたね?」

「前回はあの知り合いの艦娘が居たからこそ来訪を受け入れたが、知らない者達はお帰り願いたいがな・・・」

「睦月が『ここに来る前に厄介になって居た提督だから良い』と言ったよ。それに、来るのはそこの提督以外全員が第1次、だってさ」

「睦月の折り紙付きで、艦娘は第1次のみ。・・・少し心配だな」

男の不満へ「何が?」北上と明石は首を傾げる。

「北上。君が元々居た所では、第1次達は見聞(けんぶん)した事柄の情報を盗まれていたんだよ。今度来る者達が、盗聴等をされていては問題がある」

「ああ、提督は知らされていたのかぁ。・・・大丈夫。あの時は、当時の提督の命を握られていたから、任意で情報漏洩をさせていたの。偽情報を送るなんてチョチョイのチョイだったよ」

「分かって漏洩させていたのか。・・・あの時、別段、問題は無かったのか・・・」

「でも、提督の顔を見せると言うのが必要だったから、あそこに行って貰う必要は絶対に有った。あたし達の提督だった彼女を含めて、誰に鉾を向けているのかを分かっていなかったからね」

「・・・そうか。別段第1次が来る分には何も問題は無い、か。・・・相分かった!受け入れようとも」

 男のその言葉に、北上は満更でも無い様子。

・・・それに対して明石は浮かない様子。

「北上、彼女達の損傷箇所は?」明石は北上へ問う。

「合計6名。脚部2、腕部5、頭部自動修復機能の損傷1」

「頭部!、良く生きていたわね!」

「徹甲弾がそこだけを貫通して抜けて行ったみたいだよ?いやぁ、本当に良く生きているよねぇー!・・・」

『あっはっはー!・・・』

 明石と北上が努めて笑い話として払拭するように会話をしていた。

 

「依頼が多いっての! ・・・って言うか、何で私の生存がもうバレてるの!? もう注残9件よ! 製作残が99個。私だけじゃ終わらないっての!」

 突然明石が大声を上げながら地団駄をし始める。

終わらない。終わりにくい!誰か手伝っテ!(今直ぐには誰も手伝えないのが現状である)

 

「この島に来た艦娘が口を滑らせたらしいよ?」

「あんの、ぴょんぴょんウ詐欺共がぁーー~・・・!!」

「大丈夫だよ。演習依頼が来たら睦月がそれとなく1対1をけしかけてコテンパンにするってさ・・・」

「・・・ほう・・・それは楽しみな話で」

『・・・ふっふっふ・・・・・・』

 明石と北上は黒い笑い声を上げていたのだった。

 それを見た男は、2名が近寄り難い雰囲気になったのと受領した装備の性能確認の為、工廠を後にする。

 

 

「お?、お、おぉ~・・・。あたしも明石の様な作業が出来るようになったと思うよ? 実践経験は必要かな?」

「そうね。出来ると思った以上、習うより慣れろよね。手伝ってくれる?」

「良し来た。やってやろうじゃないの!」

「じゃ、この基板作りを・・・」

「え?、難(むずか)し過ぎ、難しくない? 先ずは研修として扱って・・・」

 

 北上が言っている最中に、バタバタと女性(艦娘)2名が割り込む様に明石の前に来て口を開いた。

 

「ロボットー! また治療依頼が来たわよ!」

「艤装の修理依頼も来ているんだから、早くしないとパンクしちゃうよ! 早ク!w早ク!!www」

「喧しい(じゃかぁしゃぁ)!!こちとら腕や足の作成で忙しいのよ!!艤装はそこの第3次にでも頼みなさ~い!!」

 急かす2名に癇癪を起こした明石が物の修理をしている艦娘を指差して言った。

 『そこの第3次』。そう言われた、明石のそっくり(艦娘(明石))が明石を睨みつけていた。

しかし、相手にされていなかった! ・・・諦めた第3次は自分のやっている作業に目を戻した。

 

「四の五の言わずに手伝います。・・・習うより慣れろよね。うん・・・」

 明石の忙しさが身に沁みた北上は明石の手伝いを始めた。

 

「あ、そうだ。情報の転送するから、貴女達も手伝ってね~」

「え?。提督の秘蔵映像とか?」

「違うわい!全部届いたら解るわよ」

 これから猫の手が増える事に安堵した明石だった。

・・・安堵した後で、明石は男が居ない事に気付く。

 

「あれ?、提督?・・・」

 明石は返事が有るかと声を出してみたが、無い。周囲を見回して、SPの反応が工廠の外に在る事で、男が外へと知らぬ間に出ていたことを理解。

「・・・提督は偶(たま)に、私達でも察知出来ない移動が出来るよね・・・」

「そうでもないと、あの戦争で生き残る事は無かったですよ・・・」

「あれ等を保有した人で、生きていて、且つ五体満足はあの人だけ・・・か・・・」

「一時期手足が吹き飛んだ時期が在っても、蜥蜴の尻尾の様に生えてきてましたけどね」

「そんな人も数人見たんだけど、提督には匹敵しなかったねぇ・・・」

「所詮、練度と運の差・・・でしょう。私達だって、運で今を生きてます。人々には理解されませんでしたがね・・・」

 

「・・・」沈黙した北上は男達に言われた言葉を思い出している。

 

 

『超人、いや、化け物。それが艦娘』

『深海棲艦も化け物』

『化け物は化け物と戦えば良い』

『艦娘が最初から居れば万事上手く行っていたんじゃないか! 見ろよ、この利き手しかない俺をよぉー!』

『俺達にとって、こんな甲斐の無い戦い、糞食らえだ!』

『俺はもう降りるよ。痛い。・・・片腕が、片足が酷く痛いんだ。・・・無い方が、な・・・』

 

 途中退役し、戦争を生き延びたヒト達の言葉。

北上が見た彼等は、『艦娘』を畏怖と恐怖の目で見る者しか居なかった。

 人間達が戦争から遠退き、復讐心に駆られた極一部の人達・艦娘・妖怪が戦う。

 ・・・深海棲艦の敗北宣言時、最後は男性が戦場に居なくなった。

しかし、深海棲艦との戦いは続いている。更には深海棲艦との戦争時に喪失した艦娘の反応を微弱に有する者が艦娘へと牙を向き始めた。艦娘が深海棲艦と為った『変異体』が出現。

 変異体と戦い始めて数ヶ月後、この鎮守府の男は(因果なもので)深海棲艦との戦場へと舞い戻っていたのだった。

 

 

「隊長の部隊は離脱者こそ居なかったものの、統計上は艦娘よりも敵討伐数が少ない、と相成りました」

「人外じみていたのは、隊長だけだったね・・・」

「まああの人、人外ですけど。・・・というか、隊長の部隊は人外だけだったそうですよ?」

「私が聞いたのは、始めの内は人間が居たって話だったよ。・・・直ぐに、消えたって話だったね・・・」

「提督含めて当時の面々は昔の事を聞かせてくれないですし。・・・まあ、聞かせてくれる日を待ちましょう」

「嫌でも直ぐに思い出せるけど、・・・思い出したくないよね・・・」

「はい、やめやめ。作業に集中しましょう」

「・・・そうだね。・・・よしっ!!」

『私達の未来の為に!』

 声を合わせて自分達に喝入れした後、彼女達は黙々と作業に取り掛かった。

 

 ふと、北上は明石に聞いてみたい事が有り、訊いてみる。

「ああそう言えば、明石。明石は如何やって生きてたの?」

「・・・まあ、信じてくれないと思いますが、過去から隊長・・・現在の提督の所へ、瀕死だった時に・・・過去から未来へ運ばれたんですよ」

「信じられない。・・・けど、今、明石が居るのはそうでも無いと、立証出来ないよ・・・」

「その人には感謝しかないですが・・・十中八九もう死んでいるでしょう。元AIのあの艦娘は『私の担当外だったから知らない』と言ってましたし・・・」

「・・・最後の工作艦型を目の前で喪失して、『あたし達、第1次の時代は終わった』と確信してたんだけどなぁ・・・」

「今こうやって、私が居るから良いのでは?」

「まあね。こうやって、元気に動ける第1次治療型(明石 )が居て安心したよ。・・・あ、そうだ、明石?」

「まだ何か?」

「提督は兵士になった男性が、1人を除いて、皆死んでいると思っているからね」

「・・・訂正しないので?」

「艦娘の活躍を見て士気がどんどん下がって、生きているのは心的外傷の発狂者や、意気消沈して除隊した人達なのを言う、と?」

「・・・」

「最後の時まで戦場に居たのは、提督の部隊の人達だけ、だよ」

 

 明石の中にある方程式が浮かび上がる。

 

 

 提督にこの事実を言う

↓

 提督が生きていた男性に会う

↓

 提督はその人から、提督共々艦娘は化け物だと言われる

↓

 人間と艦娘のわだかまりにストレスを抱える

↓

 ハゲる・ストレスで寿命がマッハ

↓

 早々にいくえ不明(あの世行き)になる

 

 

 

 提督にこの事実を言わない

↓

 提督の心が豊かなまま(この島に居る事が前提条件)

↓

 長生きする

↓

 沢山子作り出来る

↓

 こ こ が 天 国(楽園) か!!

 

 

 

 

「私の心に死んでも仕舞って置きましょう、そうしましょう。この辺りの配慮が気に入られる秘訣」

「そ、そう?・・・秘訣?」

 急に何か悟った明石を、北上は訝(いぶか)しんだ。




「へっ、へっ、おいィ!!」
 盛大に独特なくしゃみをした男性が居る。
「誰かが俺の噂をしているんじゃにぃか?」
その男性は3回、窓へと目線をチラッと移(うつ)す。

・・・妖精がケラケラと笑っている(草を生やしている)姿を一瞬だけ見た気がしたが、気の所為だろうか?・・・

 その男の視線移動を見た女性が不機嫌そうに言う。
「提督ぅー? よそ見してないで、ちゃんと書類と向き合ってください!」
「・・・勘弁してくだしあ」(泣)


 体だけが取り柄の彼に書類仕事は出来ない。出来にくい!!誰か変わっテ!!
・・・なのであった。
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