突如、建物に爆音と爆音による振動が鳴り響いた。
『深海棲艦反応!。侵入された! 排除、排除せよ!』
警報が鳴り響いた。
「ここもバレただと?!」
「外の守備隊は何をしていた?!」
「俺の娘がぁー!貴様ぁーーー!!!」
「グワーッ!!」
「キ゛ャ゛ー゛!!!!!」
次々と爆音が聞こえ、悲鳴も上がる。
・・・やがて、ひとしきり爆音が聞こえた後、静かになった・・・
とある一室に人型の生物が入って来た。その者の様相は物々しく、生物が生物を殺す為の道具を背負っている。
その部屋には円柱型のカプセルが在り、人型の生物(女性)がカプセルの中で眠っている。
カプセルの周りには電子機器や計器がズラリと並んでいる。
「残スハ、コレダケトナッタ。第1次艦娘達ヲ生マレル前ニ殺ス作業・・・長カッタ我々ノ苦労、ヤット報ワレル・・・」
目の前に立った者が涙を浮かべた。涙を流しながら電子機器に拳を振り上げ勢い良く振り・・・
・・・降ろす事は無かった。
拳を振り上げた時にその者の胸から光り輝く物が姿を現していたのだ。
「ゴフッ・・・キ、貴様・・・マダ、生キテイタ・・・ノカ・・・」
「あの世で・・・これの感想聞かせてね。悪魔さん・・・」
胸を貫いたのは、体の至る所から血を流した人間の女性だった。手には粒子を剣状に発生させる武器を持って非人間を貫いていた。
「ガファッ・・・!!!」
女性は奇声を上げる生物の胸、声帯、脳天までを剣で斬り上げ、黙らせた。斬られた生物はもんどりうって倒れた。
女性は剣を捨ててよろける体を壁に預け、手をついて立って居た。彼女の体は傷だらけ。傷跡から血が流れており、流れる血の量を見るに、失血死を待つばかりだ。
その彼女はカプセルを見上げる。
「・・・やった、これだけは守れた。私達の、最高傑作・・・」
彼女はカプセルの中で眠る女性を見ながら、壁に手を着きつつ、とあるマシンの座席に腰を掛ける。
「死ぬなら、
彼女は装置のボタンを押し、しばらくその場で動かない。もう、動けなくなっているが・・・。
「・・・あれ?、これで死ぬと思ったんだけど。・・・ちゃんと、魂が、入ったのかしら?・・・」
{・・・}
「・・・ごめん、明石。・・・先に、逝ってる・・・わ・・・」
虫の息だった女性が、呼吸を止めた。
{・・・さよなら。人間の私・・・}
何処かで機械音声が発せられた。別れを惜しむ、とはいえ、抑揚の無い声音だった。
音声が発せられた後直ぐ、突如、カプセルが動き出した。カプセルの透明な扉が開き、中に居た女性が目を覚まし、そして出て来た。
周囲を見回した女性は辺りの惨状に目を見開いた。近くには人外の死体。椅子らしき物に腰掛け絶命している人間の女性が居るのみ。生存者反応は見受けられなかった。
「これは、どういう事? ・・・誰か居ないの?!」
困惑している彼女は大声を出して返事を求める。
その返事に反応し、先程の機械音声が彼女へ声を掛ける。
{初めまして、私達の作った、最後にして最高傑作。私達は、貴女が目覚めるのを待っていたわ}
「・・・声? 貴女は何所に居るの?」
彼女は辺りを見渡すが、やはり反応は無い。
{私は・・・
「・・・そう・・・」
{五十鈴、聴いて。この場所・この施設は襲撃を受け、貴女以外、生存者は誰も居ない。食料と武器・弾薬はまだ無事だと思う。準備が出来次第、貴女はここを離れ、人間の為に戦って頂戴。その為に、私達は貴女達を生んで来た。ごめんなさい。そして、お願い。私達の努力の結晶。もう、頼れるのは貴女達しか居ない}
「・・・何を?」
{人間の未来を、艦娘へ託すわ}
AIからの言葉に、彼女は力強く肯定。
「・・・分かったわ。その為に、私・私達が生まれて来たのは解ってる。この五十鈴の出来る限りをやるわ」
{頼んだわ、五十鈴}
「ええ。・・・ところで・・・」
辺りを見回した五十鈴が声を出して尋ねた。
{何か?}
「出口は?」
{・・・あっ・・・何所かで壁を突き破って・・・}
「・・・」
{それから・・・}
・・・この後、小半刻経った位で爆音が遠くで聞こえる。
壁に風穴を開けて、出口を作った五十鈴が出発したのだった。
{・・・明石、貴女の予測は全て当たったわ}
女性だった何かは、とある女性の言葉を思い出す。
『海から生物が攻めて来る。対人用装備なんて作っても、人間なんて歩行中に踏みつぶされる虫の様な感覚の生物が攻めて来る。艦娘の事をもっと重点的に調べた方が良い。艦娘の方が人間の未来の為になる』
明石と呼ばれる者は、人間が人間以外と戦闘することを回避しようとしていた。人外対人外の戦争を予見していたのかもしれない。
{対人戦を重要視された為、枯れた技術を結集。安価で、陸戦は勿論の事、空中・水中・海中戦を行える
{妖精達が、私達から見れば、完璧な艦娘を作るようになる。更には改造対象者が激減。最後の悪あがきをしていたけど、私も死んで、造る人は誰も居なくなった。・・・貴女は今、何所かで生きて居るのなら、何をしているのかしらね?・・・}
誰1人居ない中、静寂が場を覆う。
{・・・動けないから暇ね。・・・理論構築でもしてよう、っと・・・}
機械の一部となった彼女はこの後何も発しなかった。
・・・この施設で使用出来る物資が回収されたのは、数年後の事である。