「提督。大淀、睦月、金剛。参上しました!」
男が外へ出ると、先程、如月が呼び出した艦娘達が来ていた。
「3人共、ご苦労。ノル提督!、貴女の艦娘を1名、作戦会議に連れて行くが良いか?」
「その会議、私達全員が参加したいのだけど、良いかしら?」
「・・・分かった。皆、急では有るが、作戦を練るぞ。行こう!」
『了解!』
会議をする場所へとその場の全員が歩き出した。
「ところで、ノル提督?」
「何か?」
男が歩きながらノルへ、彼女の方を向かずに話し掛けた。
「君は、深海棲艦の種族だな?」
「・・・そうよ。私も殺す?」
「君達はここに待機して居てくれ」
「私の家族同然の艦娘が殺されたのよ!?私達も一緒に戦うわ。共同戦線よ!」
「誤射をするかもしれん。今回の戦いへ、第1次は連れて行けない。・・・それに・・・」
男はノルを見ながら、昔見た事の有る深海棲艦を思い出していた。とある人間男性に恋をし、その男性と共に死んだ彼女の事を・・・。
「・・・何よ?、勿体ぶって?」
「・・・君が、敵に集中砲火を受けて死んだ女性にそっくりでな・・・」
「私はその女性ではないわよ?」
「打たれ強さはそれ程でも無いだろう?」
「・・・」ノルは黙す。男の言う通りだからだ。
「君にはまだ、家族同然の存在も居る」
男にそう言われたノルは自身の艦娘達を見た。
「それにこの時世、海の近くで活動する様な死にたがりはあんまり居ない。・・・海辺で生活する以上、君には防衛線を維持する者として、まだ長生きをして欲しい」
ノルは自身の興奮が冷めて行くのを感じた。まだ、家族が居る。ノルは家族の1人と並んで歩き、彼女の手を取った。
ノルは家族の手を握り、手を握られた彼女もノルの手を握り返した。
「・・・ええ」
男と睦月達、ノル達は作戦室兼執務室に入る。男は壁に在る明石謹製の『作戦会議用』のボタンを押す。すると壁掛け式の黒板が天井から下へ降りて来た。
明石は何かとカラクリを作りたがる。今の所は痒い所に手が届く1品が数多く作られている。明石有能。・・・今の所は。
「では、睦月、ノルの艦娘から情報の収集、状況の説明を頼む」
「了解です。・・・敵戦力、30体が確認されています。敵の構成戦力、戦艦型12、小戦艦型12、空母型3、魚雷保有型2、防空型1。・・・以上、途中で情報の発信が途絶えています。敵戦力がこの情報以上に居る、又は追加されている可能性もあると思われます。我々はこの後、13名乗りの高速飛行輸送機に乗って作戦目標へ向かいます。飛行機の操縦は妖精が担当します」
睦月は言いながら、黒板へとチョークで高速に内容を書いていく。
「・・・大淀、誰かは輸送機の操縦が出来るね?」
「はい。現在3名が可能。1名は提督と艦娘を輸送、他2名は空中空母の操縦員として搭乗します」
睦月の問いに大淀が断言した数秒後には黒板へ全て書き終えた。
「大淀、金剛。人選は如何するべきだと思う?」
男の言葉に大淀と金剛が思考する。
先ず大淀が黒板へと動き、チョークを持って黒板に書き始めた。
「敵が既に上陸・占領済みと考えて良いでしょう。魚雷が主力の戦力はほぼ使用不能と思われます。私が推奨する戦力は・・・」
第1班
金剛
榛名
大和
加賀
鳳翔
飛鷹
第2班
睦月
五十鈴
木曾
敷波
衣笠
漣
「第1班に最長砲撃距離・最大航空戦力を配備して敵を強襲し、叩きます。大和がまだ体の習熟訓練不足ですが、彼女は歴戦の猛者。連れて行かない手は無いでしょう。第2班には接敵後の各個撃破を担当して貰います。衣笠と漣が生存力に不安が有りますが、両者には連携して貰い、それでも危機的状況になった場合は提督が護衛に就いて敵を撃破してください」
「・・・金剛は如何か?」
「
金剛は深く考えていた。大淀の案は良い案だと思っている。・・・しかし、金剛は強大な不安を
「大淀の案に修正を加える形になりマース」
第1班
金剛
榛名
大和
加賀
鳳翔
飛鷹 →イムヤ(伊168の意)
第2班
睦月
木曾
五十鈴
敷波
衣笠 →オオイ(大井)
漣 →ブッキー(吹雪の意)
「海中・空中からの敵増援があると思われマース。補給は出来ても人員の変更が出来ない状態で、奪還した鎮守府の防衛戦か何かが予想されマス。周辺警戒の為に、イムヤとブッキーを連れて行くべきデス。イムヤは心配無いと思います。しかしブッキーには大井か五十鈴のどちらか・・・大井にフォローをして貰い、増援に対処するべきデース。ちなみに、大井は連れて行った方が良いと勘が告げてイマス」
「・・・大淀は金剛の案は如何だ?」
金剛の案を見た男は大淀に問う。
「金剛の案で行きましょう」
大淀は即答で答えた。
大淀は金剛の予測を信頼している。
大淀が作戦を立て、金剛が内容を精査する。これだけで、予測不能・回避可能な出来事が起き、生存率が格段に上がっていたのだ。大淀は金剛に信を置く他無かった。
「決定で良いか? 誰か異論は?」
男の声に異論の声は挙がらなかった。
「では、この後12分で出発する。睦月、召集を頼む」
「了解!」
「では、解散。出撃準備に移れ!」
男は真っ先に走り去って行く。自身の準備がある為だ。装備の調整は男自身にしか出来ない。装備の最終調整と己の体を温める為に外へと向かい準備体操を開始。艦娘には、準備体操等は必要ない。己の艤装に火を入れれば、体が直ぐに戦闘態勢に移るからだ。
男とノルの艦娘達が出て行った作戦室。大淀と睦月が残って居る。
「大淀。空中空母にて、基地航空隊の出撃は全て最新鋭機でよろしく」
「・・・深海棲艦のオスが出た、と考えて良いですか?」
「それしか考えられないわ。あの鎮守府には鬼級・姫級にも対処出来る自動迎撃装置を設置していたの。それを突破されたとなると・・・」
「・・・」
「あそこは人里近く、防衛の要だった。だからこそ、迎撃設備を幾重にも巡らせ、毎月最新装備に更新していたの。・・・でも、それでも効果の無い敵が居た。『オス型である』と言う証左よ」
「分かりました。・・・妖精」
『聞いていました。直ぐに連絡・準備に取り掛かります!!』
妖精は急いで走り出し、攻略支援任務の伝令へと向かう。
「本部から、本鎮守府に充てられる予算は、これで約2年間は0です」
大淀は睦月へと顔を向けて言う。睦月は大して気にしていない。
「大丈夫、まだ、提督の資産が有るわ。この鎮守府と本部用の補給物資を買えるだけ買って頂戴」
「・・・後で提督にバラしますよ?」
「金で動く奴等には、使うしか手は無いわ」
睦月の言葉に、大淀顔を顰めて目を瞑る。
「提督への言い訳を・・・本部と考えておきます」
目を開いた大淀は、言い訳をする準備が完了。この時から、男へと偽装工作をし始める。やるしか道が無いから・・・。
「睦月。・・・提督共々、死なないでください・・・」
「そのつもり。何年戦って生きて来たと思っているのよ?」
将来暇が出来たら内地へ行くであろう男へ、睦月は心の中で謝った。
・・・しかし、その未来まで生き延びなければ意味が無いのだ。この戦闘後、果たして、男が生き残れているのだろうか?・・・