※この作品はR-18です。

艦これ ある惑星の宇宙人な英雄   作:セビンリア

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当日 決死隊、特攻

「・・・やはり、高高度は寒いな・・・」

 そう言って男は予備弾を収納する所へ手を伸ばし、ミサイルを取り出して補充を始めた。

 深海棲艦のオス型やメス型からの砲撃は届いては来るが、距離が遠すぎる為、余裕を持って回避していた。

男へと撃たれているのは時限爆発型の砲撃である。男のサングラスに表示される中に砲弾の予測爆発位置が表示され、男はその表示された有効距離の範囲外へと勘で避け、逃げおおせる。

{撃たれた箇所から、気温に因り、急速に体温が下がっていますよ?!このままここに留まって居てはマズいです!!}

「直ぐ終わる。ミサイルの補充だけだ」

 高高度を移動する男の纏う鎧に霜が、そして氷が徐々に付着していく。

 

 

{提督。貴方は退いてください。貴方の出番はもう終わったんです}

 SPは諭そうとするが、男はそれを聞き入れない。

「まだだ。まだ終わってない。あのオスを倒すまでは・・・」

{艦娘がいますし・・・}

「今、この戦闘で墓標となった戦車の数は分かるか?」

{・・・既に、オスへの有効射程圏内に入っただろう所で、全数が撃破され、沈黙しました・・・}

 

 戦車隊は深海棲艦達が全てを討ち取り、今時点で10割が鉄塊と成り果てていた。文字通りの全滅である。

艦娘側が勝ったのならば、戦車の生存者を確認しなければ・・・。

 

「私は戦わなければならない。人をこれ以上死なせない為に。過去に散った仲間達の為に。我々の意地の為に」

 意地。その単語に{何を言っているんです!?}とSPが声を荒げる。

{意地の為に死ぬんですか?!貴方は歩兵。本来、狙撃銃の弾すら致命傷の装甲。深海棲艦からの攻撃では木っ端微塵。貴方1人の活躍で戦場が如何なるモノでも無いのです!}

「そんな事は解っている。所詮(しょせん)、この装備が、終わりの無いマラソンに負けた存在だったのも、だ。・・・もう艦娘が居れば必要無い・無かったのかもしれない・・・」

{ならば!・・・}

「だが、私は必要とされているから、必要だろうからここに居る。私が倒した経験の有る、あのオスを倒す為に、だ」

{・・・やはり・・・貴方は、あの『黄金色の盾の隊長』ですか?・・・}

「・・・そう呼ばれた事も在った。だが、人間の創った兵器で深海棲艦と戦う時代は終わった。もう人外、・・・いや、艦娘の時代だ」

{それだけ解っていて?!・・・}

「しかし、艦娘だって死ぬ。私は人と、今を生きる戦友、艦娘の為に戦う。私は作戦を考える事なんか出来ない。人への脅威へ全力で立ち向かい、全て生還しただけだ。・・・ふっ、『切り込み隊長』の肩書きはお似合いだったな・・・」

{・・・本当に、生きると言うのは、儘ならないものですね・・・}

 

 SPは且つての(自分を嘲(あざけ)る)英雄に、掛ける言葉を失う。SP自身、艦娘の死を見て来たのだ。

 

 

 点で見て居た。その点が1つ、又1つと消えていくのを見ながら、点を増やして行く作業。

苦労して造った我が子(艦娘)の戦死を見ながら、又我が子(艦娘)を戦場へ送り出す。

 我が子の中で、英雄の情報を送って来た者が居た。オス型が空飛ぶ人型に倒される映像。

SPは歓喜した。映像が届く。それは、その時だけでも我が子が生き延びたという証。もう少しの間だけでも、送り出す我が子を改良する猶予が出来たのだと思えた事。

 SPは、戦場へ往く我が子の為に、頭を回転させる。色々やった。

艤装の威力増強。深海棲艦と敵機の癖を学習させ、回避・撃墜する機能搭載。能力特化型を造る。敵弾から我が子を守る盾や防壁の作成。

 最終的には、研究員の集大成で我が子を造った。・・・しかし、活躍は見れなかった。我が子を造る場所を研究員諸共破壊されたからだ。

 最後に出発した我が子を見送り、破壊された場所にはSPだけが残った。最後の我が子の活躍は最後まで見れなかった。動力・電池切れになったからだった。動力が戻ったSPは最後の子を探す。・・・見つけられない。反応が無い。

 SPは憎悪の炎を深海棲艦達へと向ける。深海棲艦が戦争を起こさなければ、艦娘は単なる戦争の抑止力として生まれるだけだった。それが凄まじい数の戦没者を出すに至った。自分で動かせない体を憾(うら)んだ。

 

 だが今回SPは、この男と共にではあるが、あのオス型と対峙している。

 

 

「さあ、補充は終わった。残るは、最後の1体かも知れない、オス討伐だ」

{・・・提督、私は、隠していた事が有ります}

「何かな?」

{私は・・・本当は、AIでは在りませんでした}

「・・・ほむ。大方(おおかた)、第1次艦娘の開発者か、研究者だったんだろう?」

{・・・私が、人で在ったと・・・信じるんですか?}

「・・・信じるさ。前例は在るしな・・・」

{ぜ、・・・前例?}

 男の物言いにSPは『何言ってるんだこのヒト?』と呆けてしまう。

 

『提督、敵の観測機を見つけられない! オスを倒して!早く!!』

 そこにイムヤの焦りの声が聞こえる。男はオス型へと気持ちを集中させる。

 

「了解!!・・・SP、補助を頼むぞ!」

{はい!一蓮托生です!やってみせますとも!!}

 SPの声と共に男は自身の装備の推進装置に最大加速を念じた。

その念じに反応し、男の推進装置から猛烈に粒子が排出され、それが推進剤となり、男は数秒で音速を超えた。

 急速な降下に、装甲に張り付いていた霜や氷が解け落ちていく。

 

 男の行動を察知した敵機が、男へと機銃掃射を仕掛ける。男はそれを急機動によって回避、

「ふぐぅ!・・・」

男は慣性を無視した急激な機動に肺を圧迫され声を上げる。腕が、足がこの行動に付いて来ていない。だが、視界と思考はハッキリしている。ロックオンした敵機へ誘導弾(ミサイル)の発射を念じた。

『発射!』

 男が反撃行動に選んだ誘導弾1発が狙った敵機へ飛んで行く。・・・命中、敵機は全力の回避行動空しく爆発四散。

 

 

{全方位から敵機!}

 男のサングラス上にはそこかしこに敵が、警報の印が表示される。

{回避、回避!}

 敵が発砲、又次の敵が発砲し男は躱しきれず被弾していく。

『提督、一度逃げて体勢を立て直して!』

 加賀の無線の声が男へと届く、

「もうそんな暇は無い!人里をオスに撃たれたら、今度こそ人が滅びる。やらせる訳にはいかない!」

提案を無視した男はオスへと一直線で向かう。既に推進装置は最高出力を出しており、敵機からの攻撃を回避が間に合わずに被弾しながらも高速でオスへと迫る。

 

 好機とばかりにメス型達が男へと攻撃を集中。

「合わせろ。あの人型を墜とすぞ!!」

「3、2、1、今!!」

「悪魔め!!そこだ、食らえーー!!!」

 メス型達の飽和攻撃によって男の逃げ場が失われる。盾も持っておらず、このままでは死ぬ事が確定。

 

「提督ばかりを狙ってぇ!!!」

 榛名が男を狙って居たメス型1体を狙って砲撃。狙ったメス型の頭部を破砕。

しかし、既に男への対空砲撃は行われているのだった。

 

{対空弾、避けて!!}男の目の前には対空弾がバラ撒かれ、進路を覆う。

「・・・無理だな。もう、ここまでか・・・」

 男が諦め顔になった時、突然、レーダー上に味方機影が現れる。

{えっ!?!こんな超高速で仲間の反応!?}

 対空弾が来る前に、何かの物体が、男の目の前に現れる。

 

『どんな時でも、決して諦めるな!』

 男の目の前に陣取った物体が盾を展開し、自身と男を守る。

 男を守った物体。・・・それは男と同様の装備を身に着けた者。空飛ぶ人型。

男の装着している物よりもっと最新の装備を身に着けた仲間だった。仲間は攻撃を盾で受け止め、その反動で少し減速。盾は全てを受け止めた後砕け散った。仲間は防御した反動で少し体勢を崩しヨロけるが、直ぐに圧倒的な加速力で前進し始めた。男もその仲間を追う。

 

 

「た、助かった!!」

『口を開くな!ヒヨッコ、しっかり俺の後に付いて来い!!』

{し、進路を受信。付いて行きましょう!!}

 男のHUD上に進路が表示される。男は仲間の突然の登場と叱咤に困惑するが、願ってももう無いだろう好機(チャンス)。

「了解!!」

 男は迷わず仲間の後に付いて行く。

 

 敵機からの銃撃、それを急機動によって避ける、撃って撃墜、又避ける、また撃って撃墜、避けて撃ってを繰り返しながらオス型へと迫る。

 男はボロボロの装備、そして体に鞭打って仲間の後を追う。体の撃たれた箇所から血が出る、撃たれた箇所が千切れそうになる。男はその痛みの感覚を無視し、仲間の後を必死に追う。

 制空権は鳳翔と加賀、航空隊達の艦娘側が優勢。しかし、残る敵機は手練ればかり。撃破に時間を要していた。

 男達に気付いた敵機が追い掛ける。機銃を放つ。

それを男達は回避する。そしてオス型へと急速に迫る。

 

『避け続けろ。決して諦めるな。自分の感覚を信じろ!』

 男はその言葉に、懐かしさを感じた。且つての自分へと言われた事の有る言葉。突然出(い)でた仲間への疑問と溢れ出る想いを、今は戦闘中だと胸に仕舞い、彼の進む軌跡を全速で追い掛け続ける。

 

 男達を追う敵機を、味方機が機銃掃射を掛けて足止めさせる。足止めに気付いた敵機が男達を追うのを諦め、味方機との戦闘を行う。だが、味方機は敵機との戦闘をお互い正面切っての銃撃戦だけにし、男達の後へと付いて行く。

『提督達を、俺達の最後の切り札(ラストリゾート)を無駄死にさせるな!』

 男達へ追い付く為に、そして追い越して、オス型を排除する為の露払いをする為に、妖精達は自身の乗る航空機の発動機(エンジン)出力120%へとスロットルレバーを押し込む。機体の格闘戦用フラップが収納され、発動機がメス型を喰い殺すのを待っていましたと言うかの如く、獰猛な唸り声を上げ始める。

 

 

「も、もっと弾幕を張れ!オスを守れ!あいつ等を近付かせるな!!」

 深海棲艦のメス型達はオス型を守る為に、男達を阻む為に対空弾幕を張る。しかし、避けられる。弾丸を、爆発を、自分達の操る航空機の機銃掃射を、男達はあらゆる攻撃をすり抜けオス型へと高速で近付いて来る。

 焦る。自分達の攻撃が当たらない。手応えを全く感じない。

速い、というのもあるが、自分達の攻撃位置を全て予測されている様な感覚がする。

 ・・・その間にも、深海棲艦達へ、空飛ぶ人型(男達)と妖精の乗る航空機が迫りつつある。

 

 

 

 男達はオス型へと迫りつつある。敵機を撃墜しながら、敵機の攻撃を避け、敵機の特攻を避け、対空弾を避ける。ほぼ敵だらけの弾幕の中、男達は、最大の脅威である、オス型の深海棲艦達へと向かう。

 

『腕を上げたな。俺の若い頃を思い出すよ!!』

 仲間の声に男は声を出そうとするも、先程の銃弾によって肺が撃たれていたらしく、声が上手く出なかった。

仲間はそれに気付いているように、敵からの攻撃を回避しながら尚も話す。

『声に出さんで良い!・・・ヒヨッコ、最後まで生き残ったのはやはりお前だったな。お前が致命傷を負った時、お前は死ななかった。隊員達が死んで行く中、俺も血反吐を吐きながら戦って最後は力尽きた。俺や隊員は死ぬ間際、生きている者に言った。【未来を頼む】と。今も生きているお前は、その言葉が重荷になっているだろう。敵への憎悪の炎は消えないだろう。戦闘狂になっていることだろう。・・・だが、時には過去を振り払え。今と未来の幸せを掴め。そして大事にしろ。今を生きているお前には、それが必要なのだから!!・・・この戦闘が終わったら、その先は楽園(パラダイス)だと良いなぁ!!!』

 まるで既に死んでいる様な、仲間からの言葉。男は、目の前にいる仲間が、死者が空飛ぶ装備(パワードスーツ)に憑依した物であると確信した。

 

 

 ・・・この出会い、この好機、この想い、手放してはならぬ!

必ずや一太刀(ひとたち)でも打ち込む!!!・・・

 

 

『俺は反対側からオスを叩く。お前は時間差で、後から攻撃しろ!!』

 男のサングラス上に男と仲間の攻撃用進路が表示される。時間差で挟撃をする経路。

『突撃する。行くぞぉー!!』

 仲間は推進装置出力を120%に引き上げ、オスへと突撃を開始。その速度は音速の1.3倍を超え、旧式装備の男を置き去りにして、更に加速していく。

 

 

 

 その男達の先を味方航空機が追い抜いて行く。音速を超え、男達の2倍以上の速さ。男達を悠々と追い抜き、オス型の近くに居るメス型へ、急降下爆撃の態勢に入る。

操縦中の妖精達は重圧で操縦席にピタリとくっ付いているが、気絶はしていない。この時の為に戦闘に戦闘を重ね、自分達は生き抜いて来たのだから。

『時間が無い、俺達は先行して取り巻きのメス型を倒すぞ!!』

『了解!!』

『1番機、突入!!』

『2番機、突入!!』

4、5、6、7、8番機

『10番機、突入!!』

『12番機、突入!!』

 航空機隊合計9機がメス型へ一直線に降下。急降下爆撃の態勢に入る。

敵直掩機が爆撃をさせまいと爆撃機を攻撃しようとするも、後ろから機銃掃射を受け爆散。味方機が爆撃隊の進攻を補助する。

 

(一度しかないだろうこの好機、やらせない。やり遂げさせてみせる!!)

 加賀の操る航空機が敵機を撃ち墜とす。さながら、軽騎兵の様。空翔(か)ける銀翼が、爆撃をさせまいと、焦る敵機を撃ち墜とす。

 

 オス型・メス型達が爆撃をさせまいと対空弾幕で撃ち墜とそうとする。爆発の効果半径に居た5機が爆散す。

それを回避し続けた機が尚もメス型へ迫る。最後の防衛手段とオスが手を振り回す。1機が爆散。3機が掻い潜る。

爆撃機がメス型へと迫る。

「そこぉ!!!」

 1機の航空機がメス型へ爆撃。残る2機もメス型へ爆弾を投下。

 

 眼前に迫る爆弾を見てメス型達は・・・

「・・・ああ、父さん・・・」

「・・・母さん。今、そこへ・・・」

「人里発見、方位・・・!!」

 メス型達のその言葉の後、爆弾の爆発がメス型達を包み込んだ。自身の持つ爆薬に引火、誘爆。そのメス型は四散した。

 

 オスは敵の航空機を睨み付け、自身の機銃を発射。

爆撃を終えた機を撃墜、撃墜。爆撃を敢行した機は1機を残して全て破壊された。・・・だが、遅かった。現時刻を以て、メス型全滅せり。

 メス型を殺されたオス型は怒りに震え、頭上の敵機を睨む。

 

 

 ・・・その時、オス型には見えた。一部の航空機から紐の様な物が結ばれているのが見える。目には見えないが心で見えている糸を見、その糸が斜め下に垂れているのを発見。その航空機の糸を辿ると、そこには名も知らぬ人型の敵(艦娘)が居る。

 

 

「グゥオオオォォォーーー!!!」

 オスはその敵へ向けて自身の主砲を発砲。

 お前の・・・お前達の所為だ。お前達の所為で皆死んだ。せめてもの報復をその身に受けろ!!!

涙と怒りの一撃が、艦娘、加賀へと襲い掛かる。

 

『加賀、回避!』

 迫る砲弾に加賀は思う。『無理だ』と。咄嗟に飛行甲板の艤装を盾にする。

 

 ・・・砲弾は加賀の目の前・至近距離、ほぼ0距離にて着弾。着弾と同時に爆発し加賀を爆風で吹き飛ばした。

加賀が盾にした飛行甲板の艤装を粉微塵に、粉微塵にした破片で服がズタボロに引き裂かれた姿を大井は見た。

(原型が残った。・・・脆い様に見えて、頑丈・・・なの?・・・)

 

「加賀ぁーー!!」

 鳳翔が吹き飛んだ加賀を見て叫ぶ。

 吹き飛んだ加賀は回転しながら、吹き飛び、海へと落ちて行く。海面へと落ちた加賀は転がりながら、海面を撥ねて行く。

ある程度撥ねた後、転がっていた加賀は海面に止まり倒れたままだった。

 

『ぅ・・・回避なんて出来たら・・・戦争であんなに・・・死んでないわよ。・・・ぅ・・・駄目、立てない・・・』

 加賀が呻きながらも言葉を発した。加賀は海面に手を突き腕に力を入れて立ち上がろうとするが、体を駆け巡る余りの激痛に立てないでいる。口からは血反吐を吐き、立てず、そのまま横になった。

 

『加賀、戦闘不能!!』

「敷波、加賀を安全圏への退避をお願い!」

 睦月は指示を飛ばす。

「了解!!後は頼んだよ!!」

 

 敷波が戦列から離れて行った。

 

 オスは動揺する。直撃した様子の人間の様な生物が死ななかった。肉片も残らず散らなかった。止めを刺す為にもう1度砲撃を加える。

 加賀の近くへ着弾・爆発し、水飛沫と煙を巻き上げ吹き飛ばす。加賀が水面を転がり、やがて止まる。オスは死なない事にまた驚く。

 

 

 

 

『加賀、戦闘不能!!』

 その報告を聞いた男は反射で振り向こうとし、止める。今はオスを仕留める事へ全神経を集中する。自分達はオスからの一挙手一投足が命取りとなる。1秒でも早くあの巨体を仕留める事が使命なのだ。

全ては、人間と艦娘の為に。

 1秒毎に、0.1秒毎に、0.01秒毎にオス型へとの距離が狭まる。仲間の方が移動速度が早い。男も3秒遅れてオスへと攻撃が出来る。

既に撃ち切った銃を自身の収納場所へ仕舞い、肩から剣の柄を取り出す。その柄からは剣先が出現。その何物をも切る剣でオスへと肉薄、殺傷を試みる。

 

 

『余所見とはなぁ!!!』

 艦娘を見ていたオス型へと接近した歩兵が剣を振りかぶってオス型の首を切り落としに掛かった。

 オス型は背後の殺気を察知。

加賀を見ていて、空を高速で飛ぶ、迫り来る小さいモノに気付いたオス型が慌てて避ける。

 慣性の法則でもう首を狙えない。避けられたのを悟り、片腕を狙い、片腕に切り込みを入れる。オス型が痛みを無視し、人型へもう片方の手を伸ばす。人型を捕まえた。

『浅かったか?!後は・・・!!』

 オス型が人型を掴んだ手を、

『未来を頼んだぞー!!!』

そしてそのまま握り潰し、空飛ぶ人型は粉塵と化す。金属と機械の破片のみが粉々・粒子となって散って行った。

 オス型が握り潰している時にも、男もオス型へと肉薄している。

 もう1体の接近に気付いたオス型が物を握り潰した腕を振り。払い除けようとする。男はそれを避け、先程の切り傷を付けた腕を狙い剣を振い・・・腕を切り落とした。

 片腕を切り落とされたオス型は尚も生きている方の片腕を振るう、それに男は当たり、体がへしゃげる。纏っていた鎧は、オス型の腕に当たった部分には亀裂が入り、破片が男の体へと刺さる。

男は物凄い勢いで吹き飛ばされる。

 

『提督ーー!!』

 男の仲間達からの声が聞こえる。オスの強烈な一撃がまともに当たり、守ろうとしている対象の、男が吹き飛んでいるのだ。

 オス型の振るった腕は男の胴体へと当たり、水平に飛んで行っている。

脳を揺さぶられた衝撃から立ち直り、オス型へと目を向ける。・・・オス型がどんどんと遠ざかっている。オス型が動いているのではない、男が吹き飛ばされているのだ。

 

 男は吹き飛ばされた衝撃で内臓がいくつか破壊された。男の口から血反吐が出る。

{す、推進装置の使用不可!!}

「・・・誘導弾(ミサイル)・・・!」

 男はかすれ声をなんとか出し、目の前のオスへとミサイルの照準を付ける。

 

「発射(はっじゃ)ぁ!!」

 男の血を吐きながらの言葉と共に、男の肩からミサイルの1発が恒星の方向へと飛んで行く。

まるで明日へと飛んで行く様に・・・。

 

 オス型は吹き飛んで行く男へ追撃するために砲口を向ける。

『させるかぁ!!!』

 爆撃機の妖精がオス型の頭部目掛けて大型爆弾を投下、見事命中。

 オス型は片眼が見えなくなるが、問題は無い。爆発の煙で前が良く見えないが、もう問題無い。オスは、撃った後を見通せる様な感覚に酔いしれる。

男が吹き飛んで行った方角へ向けて発砲。正確な射撃だった。

 

 

 何かの壁に叩きつけられた男は、その壁にめり込んだ。体は全く動かない。何をしようにも、骨と筋肉細胞・神経が破壊され、動けなかった。

 

{推進装置、回路応答無し。・・・動きません・・・}

「これで、私も終わり・・・か・・・」

 前からは吹き飛んでいた速度よりも早い砲弾が目の前から迫りつつある。

着弾時の爆風は男の装備と中身を粉微塵にするのは容易い。SPはここで自身の生涯を終えるのだと、口惜(くちお)しいながらも受け止める。

『後は艦娘がオスを殺(や)ってくれる』のだと信じて。

 

{提督。貴方の・・・貴方達の勇姿、無駄ではありませんでしたから・・・}

「そう、だと、良いな・・・」

 男は自分の出番は終わったのだと悟りながら、言葉を紡ぐ。

 

「皆、未来を頼む・・・」

 男は擦れた声で言い放つ。まだ生きて、戦う者達へ向けて。

 迫った砲弾は男の頭を吹き飛ばして後ろの壁にぶつかり、爆発。そして壁の中に入っていたものに爆発が引火して更に爆発を起こす。火災が発生。その火災と爆発の中に男の姿は入り込み、全く見えなくなった。

 火災の炎は一瞬、鳥が翼を広げた形を模(かたど)った。直ぐに火災が激しさを増し、火柱によって、それも見えなくなった。

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