※この作品はR-18です。

艦これ ある惑星の宇宙人な英雄   作:セビンリア

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終 戦士の誓い

 男の住む鎮守府の夕方。

 男は自身の鎮守府から少し離れた場所へ来た。夕日が見え、その下には海の水平線が見える。

夕日はもう直ぐ水平線へと入り始めようとしている。黄金色の陽が辺りを照らす。

今、この場に居るのはこの男1名のみ。スコップと木の板、ノコギリ、縄を持っている。

 

 

 男はスコップで地面の土を掬って小さな山を作る。

今度は、持って来た、木の板をノコギリを使って適度な大きさに切る。

切った木の板を縄で縛り、墓標の形に作成。

簡単な墓標の形にした工作物を、山にした地面へと突き刺した。

 

 夕陽の光に照らされた墓標。日陰が伸びて男には大きく見える。

男には墓標が、あの時の、彼の背中に見える。

 

 

『決して諦めるな。自分の感覚を信じろ』

『戦争が終わった未来が、楽園(パラダイス)だと良いな』

『・・・未来を・・・頼んだぞ』

 

 

 当時、隊員だった男は、その時の隊長に言われた言葉を思い出していた。

 

「貴方の事を、忘れていましたよ。貴方と共に歩んだ時は、その背を見ていたのに・・・。あの90日が、もう今は、疾(と)うの昔の話だなんて・・・」

 

 戦時中、男はとあるヒトの背中を追い掛けた。大きな、とても大きく見えた背中。

この男には隊長が居た。この男が『隊長』になる前の事である。その隊長の背後(はいご)にピタリと付き、戦場を駆け回った。

先日のオス型との戦闘でも、この男は隊長の背中を追い掛ける事になった。

 

「私は、・・・今回もまだ、この世で生きられる様です。人間も守る事が出来ました。有難う御座いました」

 

 歩兵装備の誰もがオス型との戦闘で死ぬ中、彼とこの男だけが生還し、持て囃(もてはや)された。

・・・だが、それも束の間。彼は死んだ。

男は戦争開始から90日にして、最古参の最前線歩兵長、『隊長』となった。

 

「・・・隊長が言った楽園、生きている間に完遂出来るかどうかは分かりません。でも、精一杯やります。散って行った沢山の人に、ヒトに託されましたから・・・」

 

 男は隊員の死を見て来た。・・・何度も、何度も・・・。

戦(いくさ)の間際に度々言われた言葉、

『俺(私)が死んだら、未来を・・・頼む(みます)・・・』

その言葉を約束に、男は一所懸命に戦うが、隊員達は付いて来れなかった。・・・全員が戦死である・・・。

戦う皆を牽引(けんいん)した男の背には、艦娘という、人外だけが残った。

 男が『隊長』となって9年が過ぎた。この男を知る者は数少ない。

・・・いや、本当は知ってい(・)た(・)。時の流れは速く、人間で、『隊長』を思い出す者は殆ど居ない。

男の活躍・存在は忘却の彼方へと去って行ったのだ。

 この世で、この男をしっかりと憶えているのは、大本営(本部)と『隊長』を憶えている艦娘達だけである。

 それでも男は戦う。・・・未来を託された者として、意地も有る。

己が思い描いた未来の為、そして、今も尚戦う艦娘(戦友)が生きる為に。今日も、明日も、幾日でも、男は戦い続ける。

 

 

 

「私は寿命まで、自分の生を全うして見せます。・・・私が貴方の居るあの世へ行けたなら、土産話を待って居てください・・・」

 

 男は墓標へと姿勢を正す。

 

「隊長、・・・如何(どう)か安らかに・・・」

 男は自分の作った慰霊碑へ黙祷。・・・暫しそのまま佇む。

 

 サングラスから『提督、何所に居るんです?』と言う声が発せられる。その声に気付いた男は、足早にこの場を立ち去り、自身の活動拠点(鎮守府)へと戻る。

 その途中、海からの風で、男の顔から涙が吹き飛び、夕陽に煌(きら)めいて大地へと落下。

風を受けた男は立ち止まり、海の水平線へと没しようとする陽へと顔を向け、彼方(かなた)遠方(えんぽう)を睨む。

 

 人間を守る為、今日も何所(どこ)かで艦娘と深海棲艦が戦っている。男もこの星の人間を守る為、今日も明日も深海棲艦との戦いに備える。

 

 

 

 ・・・今日も鎮守府へ、死臭混じりの潮風が吹いている。




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伝〇巨神イ〇オン 交響曲 第1楽章
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