男の住む鎮守府の夕方。
男は自身の鎮守府から少し離れた場所へ来た。夕日が見え、その下には海の水平線が見える。
夕日はもう直ぐ水平線へと入り始めようとしている。黄金色の陽が辺りを照らす。
今、この場に居るのはこの男1名のみ。スコップと木の板、ノコギリ、縄を持っている。
男はスコップで地面の土を掬って小さな山を作る。
今度は、持って来た、木の板をノコギリを使って適度な大きさに切る。
切った木の板を縄で縛り、墓標の形に作成。
簡単な墓標の形にした工作物を、山にした地面へと突き刺した。
夕陽の光に照らされた墓標。日陰が伸びて男には大きく見える。
男には墓標が、あの時の、彼の背中に見える。
『決して諦めるな。自分の感覚を信じろ』
『戦争が終わった未来が、
『・・・未来を・・・頼んだぞ』
当時、隊員だった男は、その時の隊長に言われた言葉を思い出していた。
「貴方の事を、忘れていましたよ。貴方と共に歩んだ時は、その背を見ていたのに・・・。あの90日が、もう今は、
戦時中、男はとあるヒトの背中を追い掛けた。大きな、とても大きく見えた背中。
この男には隊長が居た。この男が『隊長』になる前の事である。その隊長の
先日のオス型との戦闘でも、この男は隊長の背中を追い掛ける事になった。
「私は、・・・今回もまだ、この世で生きられる様です。人間も守る事が出来ました。有難う御座いました」
歩兵装備の誰もがオス型との戦闘で死ぬ中、彼とこの男だけが生還し、
・・・だが、それも束の間。彼は死んだ。
男は戦争開始から90日にして、最古参の最前線歩兵長、『隊長』となった。
「・・・隊長が言った楽園、生きている間に完遂出来るかどうかは分かりません。でも、精一杯やります。散って行った沢山の人に、ヒトに託されましたから・・・」
男は隊員の死を見て来た。・・・何度も、何度も・・・。
『
その言葉を約束に、男は一所懸命に戦うが、隊員達は付いて来れなかった。・・・全員が戦死である・・・。
戦う皆を
男が『隊長』となって9年が過ぎた。この男を知る者は数少ない。
・・・いや、本当は知って
男の活躍・存在は忘却の彼方へと去って行ったのだ。
この世で、この男をしっかりと憶えているのは、大本営(本部)と『隊長』を憶えている艦娘達だけである。
それでも男は戦う。・・・未来を託された者として、意地も有る。
己が思い描いた未来の為、そして、今も尚戦う
「私は寿命まで、自分の生を全うして見せます。・・・私が貴方の居るあの世へ行けたなら、土産話を待って居てください・・・」
男は墓標へと姿勢を正す。
「隊長、・・・
男は自分の作った慰霊碑へ黙祷。・・・暫しそのまま佇む。
サングラスから『提督、何所に居るんです?』と言う声が発せられる。その声に気付いた男は、足早にこの場を立ち去り、自身の活動拠点(鎮守府)へと戻る。
その途中、海からの風で、男の顔から涙が吹き飛び、夕陽に
風を受けた男は立ち止まり、海の水平線へと没しようとする陽へと顔を向け、
人間を守る為、今日も
・・・今日も鎮守府へ、死臭混じりの潮風が吹いている。
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伝〇巨神イ〇オン 交響曲 第1楽章