深海棲艦との数日1
『--さん・・・』
『○○ーーー!!』
船が大爆発した後、ゆっくりと、海中へ沈んで行った。
『ク…ソォ。後、もう少しだったのに・・・』
『消えろぉーー!!』
『まだだ!、まだ、ガアァァァーーー・・・!!』
巨体の一撃が、もう1つの巨体を消し飛ばした。
『やったか・・・』
その場に残った方の巨体から、人が顔を出した。
『私の平穏は、何時来るのだろうか?。・・・もう、来ないのかも知れないな』
『・・・帰ったら、貴方には無期限で休暇を与えられています』
『たった1人で、人からは避けられ、私を知る者はもう誰も居ない。・・・この星から出て行け、そう云う事か!?』
『・・・』
『皆、星になってしまえば良いのに・・・』
『ごめんなさい・・・』
『・・・すまない。君の所為じゃない。君だけはずっと居てくれている』
『もう、私も限界です』
『え・・・』
『情報がどんどん飛んでいるんです。もう会話も出来なくなります』
『そんな!!・・・}
『さよなら・・・英雄さん』
『!?、君が居なかったら!?』
『・・・』
『・・・誰も、皆が居なくなってしまった。一体何の為にここまで・・・』
水平線から
・・・人の顔から光る何かが落ちた。
・・・・・・
目が覚めると、睦月が私に抱きついて寝ていた。夢だった様だ。
・・・睦月?。珍しい。辺りを確認する。
部屋の出入り口扉が破壊されていた、イムヤの仕業だろう。
イムヤは、・・・寝具の外に居た、気絶している様だ。
・・・気絶している顔が怖い、南ー無ー。
・・・何の夢を見たのか忘れてしまった。
「もっとシャンとしなさい!」
『そうだぞ!!』
「・・・どうした?」
第3次の明石と妖精が、新顔の妖精を叱っている姿が目に映った。珍しかったので問うて見た。
「今日素体に着いて実体化した妖精が、興味本意で実体化しただけらしく、全くやる気を見せないもので渇を入れていた所です」
こちらに気付いた明石が怒った口調で言った。
『そんな事言ったって、別段、危機的状況じゃないでしょ?』
『深海棲艦は海を我が物顔で闊歩していて人間達はそれに怒っていただけ。艦娘だけで頑張ってね、って状態でしょ?』
『何を言ってるんだ貴様ら!』
顔馴染みの妖精達が怒っている。
「・・・一体全体、何所の地域の話なんだ?」
『え?、違うの?・・・』
戦時中、何所ならそんな状態だったのだろう。その場所を見てみたいものだ。
『こっちに来い!。お☆は☆な☆し!☆が必要なようだな!』
『・・・皆、怖い・・・』
『『その性根叩き直してやる(あげる)!!』』
『ヒェーーー!!』
血気盛んな明石と妖精達が、
今日は、イムヤ、吹雪、長良を連れて、イムヤと吹雪の索敵範囲の確認を行った。
武装して、3人の護衛をする。
「長良、偵察機を出してくれ」
「了解」
私の言葉に長良が
「しれ・・・提督、12時の方向に敵性反応があります!。距離200キロ!、数は・・・3隻です!」
『10時の方向、深海棲艦の潜水艦を発見!。距離50キロ、2体見えるわ!。私達の方へ直進中!』
「え!?、ちょ、ちょっと偵察機打ち上げたばかりだよ!?、それに今対潜装備は持って来てないよ!?」
長良が発見の報に動揺を隠せない様だ。
「水上に居ると水中の索敵が難しいな。・・・イムヤ、発見したのは知能無しの個体か?」
『・・・1体は知能無し、もう片方は有りそうよ』
「敵潜に、気付かれた様子は有るか?」
『・・・無いわ、魚雷発射もしてない』
「・・・イムヤ、知能無しの方を撃沈出来るか?」
『了解、やるわ。もう1体は?』
「捕虜にしようと思う」
『・・・暴れなきゃ良いけど・・・』
「その為に私が居る。会話が通じなければ倒すまで、だ」
『それもそうね。魚雷、・・・発射!』
魚雷が2発、海の中を進んで行くのが見えた。
『装填中。・・・もう1度・・・発射!』
もう一度、魚雷が2発、海の中を進んで行く。
「そのまま待機、望遠で水上に居る敵を確認する」
武装の望遠機能を使い、水上の敵を確認する。
「・・・イ級2体と、ホ級1体。知能無しだ。こちらを遠ざかる進路を取っている」
「今回、長良は要らなかったんじゃないですか?」
長良がむくれ始めた。
「ハハ、そう言ってくれるな。長良でも居ないと、敵機の処理が私だけでは大変なんだよ」
「頼りにされるのは嬉しいけど、ホントに?」
「勿論だとも。深海棲艦の航空機であれば、撃墜は出来るだろう?」
「・・・まぁ、出来なくは無い、かなぁ。・・・衣笠や五十鈴には負けるよ?」
「敵機を寄せ付けないぐらいには成長しているんだから、自信を持って良いぞ」
「・・・うん、分かった」
「吹雪、誰かと連絡を取っている様子は有るか?」
「えー・・・有りません」
少し呼吸を置いて、吹雪が返事をした。
「・・・捕捉した知能持ちは、潜水艦、だけで良さそうだな・・・」
「水上の敵はどうするの?」
「こちらに気付いていない様子だ。今回、水上の敵は無視して、潜水している敵を捕獲する」
『了解』
「長良、偵察機を回収してくれ」
「了解」
長良が水偵を着水させ、自身の手前で停止させた。
「いつもの事ながら、上手いな」
「えへへぇー、そうでしょー。妖精も慣れたみたいだよ」
我が子の事の様に水偵に乗っている妖精を褒めていた。妖精が照れていた。
「イムヤ、着弾まで後何秒だ?」
『約1,000秒』
「BY、最高速を出した場合、接敵まで何秒だ?」
{約90秒です。・・・水上の個体が居ない事ですし、もう少しゆっくりでも良いのでは?}
「悪足掻きが怖い。全力で行く」
{・・・そうですね、全力で行きましょう}
「総員、900秒間、待機、及び周辺警戒だ」
『了解』
「BY、秒読みを頼む」
{了解}
「皆、知能持ちの個体を確保したら、直ぐに帰還するぞ」
『了解』
「それにしても、吹雪は、よく200キロの距離が探知出来るな・・・」
「え?、皆さん探知出来ないんですか」
『出来ない{わ(よ)}』
「初めは出来なかったよな?」
「・・・あー、言われてみれば、そうかも、です。でも、イムヤさんも海中で私の様な事をやってませんか?」
「イムヤ、言われたよー」
「ぷはっ。見えるんだから、活用しなきゃ損よ」
長良の声にイムヤが浮き上がって来て言った。
「それに、提督の為に必死になって訓練したのよ?。体が変わる、っていうのは大変よねぇ」
「・・・ありがとうな」
イムヤの頭を武装した手越しに撫でた。
「・・・うふふ」
嬉しそうだ。
「えー・・・あぁー、私も頑張って訓練し・・・」
吹雪が慌てた様子で言う。
「ほぼ天性のような物だろう?」
私が遮って言ってしまった。
「・・・はい」
吹雪がしょげてしまった。
{提督、何か吹雪の良い所を挙げてください。この後に支障が出ますよ?}
BYがたしなめて来た。
「あーえー、吹雪、君の探知距離は鎮守府一だ。今後も頼りにしてるぞ?」
「・・・はい!」
私の言葉に、気を持ち直した様だ。
「長良も索敵訓練はするけど、探知距離は伸びないなぁ・・・」
「長良、君は接敵した後の立ち回りが重要だ。必ず殿を任せるから、その時は頼むぞ?」
「あ、・・・うん!」
「あ、そうそう、この前、明石がね・・・」
「また、明石が、しでかしたか・・・」
作戦開始までの間、他愛の無い会話をしていた。
{提督、待機時間終了まで100秒です}
「おっと、了解した」
「提督、水上の深海棲艦は現在居ません、探知範囲外です」
「了解」
『当方を発見した様子無し。魚雷、今も命中の針路を進みつつあり。4本目が当たる模様』
「了解」
開始時間までのこの間、状況確認となった。
{作戦開始まで・・・10、9、8・・・}
秒読み1桁・・・
{・・・どうぞ!}
「行って来るぞ!」
『ご武運を』
推進装置を最大に噴かし深海棲艦の捕獲に向かう。
{提督、間もなく魚雷命中時刻です}
「もう1体が何所に居るか見張っていてくれ」
{了解}
海面が盛り上がる。魚雷が命中したようだ。
{敵、直下!}
「了解!」
海中へ突入する。敵は真正面に、背中越しに捉えた。
隣には、魚雷を受けて、絶命したであろう個体が居た。
「?!、ゴボッ!?・・・」
敵の振り向き様に鳩尾に握り拳を入れてやった。動かなくなった。気絶させられた様だ。
持っていた縄で簀巻きにした。
・・・水中は地上と違って、対象が浮かんだままならば、やりやすい。
捕まえた深海棲艦を担いで水上まで出る。
「捕縛に成功した。総員、これより帰還するぞ!」
『了解!』
イムヤ達と合流して戻っている途中、急に視界が眩しく光る。視界を
「何だ!?」
遮光しても眩しい位の光だった。目を盾で覆った。
{注意、巨大な金属反応です!}
「金属ぅ!?。さっきは何も無かったのにか!?」
{私だって驚きです!}
光が収まると・・・頭大くらいの大砲の砲口が目の前を向いていた。
「おおぁ!?」
急いで砲口から逃げる。
全形が見える位置に着いた。・・・艦が浮いて居た。あちらこちらボロボロではある。
{提督、この艦から救難信号・・・の様な物?、が出ています}
「何故疑問系なんだ?」
{救難信号の様な、違う様な、兎に角分からないんです。応答が有りません}
「そう、・・・か」
出現した艦は、よく見ると、動いていない。浮いているだけの状態だ。
「吹雪、こいつを頼む」
「はい」
捕縛した深海棲艦を吹雪に渡す。
「長良、一緒にこの艦の中に入るぞ」
「はい」
「気を付けてくださいね」
吹雪が言った。
「勿論だとも」
「大丈夫よ」
長良を持ち上げて艦に降りる。
艦の外には誰も居ない。入り口の扉がある。
「長良、後ろを頼む」
「了解」
長良が険しい顔で頷く。
銃を格納し、剣を取り出す。まだ剣先は出さないでおく。
扉を開け、盾の覗き穴から内部を見る。
まだ、動く物は見えていない。
{提督、信号の発信元は上です}
「・・・先に、そこから行くか」
警戒しながら、階段を探す。
・・・在った。上の階へと上って行く。
{この階で、発信源が水平になりました}
「結局、全部上って来たな」
上への階段を上りきった。とはいえ、疲労は無い。
目の前には扉が在るのみだ。
長良へ私が開けると云う合図を出す。長良が頷いた。
私が扉を開ける。
扉を開けた先は窓ガラスが割れていたり、窓枠が歪んでいたりしていた。見るに、艦橋だろうか?。
服がボロボロになった女性が1人倒れている。気絶している様子だ。
「長良、襲って来た時の援護を頼む」
「了解」
女性へ近づき。剣を格納し、
「おい、生きているか?」
声を掛け、揺さぶり起こす。
「う・・・、う!?」
何度か揺すると女性が目を覚まし、私を見ると驚いた。
「な、何ですか、アナタは!?」
女性が急いで私の元を離れて警戒していた。
「救難信号のような信号が出ていたので、ここまで来たのだが、違うのか?」
その言葉に女性が固まる。
「はい、出していました。・・・が、貴方は一体?」
「私は、・・・長良、何と言えば良い?」
女性から目を離さず、長良に問う。
長良と言った時に彼女の表情が少し変化した。
「うーん、・・・艦娘と一緒に戦う提督?」
「だ、そうだ」
「提督・・・。そんな人型大の機械と金属の塊の様な物が、ですか?」
「・・・なんだか、君はこの武装を見た事が無い様だな」
私はそう言ってサングラスを外す。
「え!?、何で男性が?。へ、変身!?」
「変身とは違うが、着脱式の鎧だ」
「そんな、眼鏡の様な物を掛けるだけで、ですか!?」
「勿論だとも」
「私、
「そんな物は今回の君以外、見た事も聞いた無もいぞ」
「・・・」
女性が頭を抱え始めた。生身になっただけで、こんなに驚かれるとは思わなかった。
『提督、敵性反応を探知しました。距離、190。移動開始を進言します』
吹雪からの報せを受けた。
「了解」
サングラスに話し掛け、吹雪へ伝える。
「とりあえず、私の鎮守府にでも来るか?。ここに留まって、深海棲艦に発見されると厄介だ」
「・・・はい、お願いします」
彼女は深海棲艦という単語でも反応していた。警戒はされているが、敵意は今の所無い。
「では、長良、この女性を背負ってくれ」
「はい」
「え!?、あの、私は陸に着くまで、この艦から動けないんです」
『え?』
彼女の言葉に私と長良が言葉を合わせていた。
「私は艦娘で、この艦は私なんです。陸に着けば、この艦から降りられるんです」
「・・・それは、聞いた事が無いな」
「そうねぇ」
「え?」
「・・・兎に角、ここを移動しよう。君、この艦は動くか?」
「・・・はい、動きます。・・・が、現状、速力が出ません。曳航をお願いしたいのですが?」
「出番じゃないか、長良?。自慢の足で、この艦娘な大物を引っ張る事は出来るか?」
「無茶ですよー」
長良の困った様な声が聞こえた。
「そうだよなぁ・・・」
「・・・護衛をお願いします」
「了解した。ああ、そうだ。我々の鎮守府は・・・あれだ」
自分達の鎮守府、島の山頂部分が見えていたので、それを指差す。
「了解しました。では、動き始めます」
「どうぞ、やってくれ。・・・ああっと、他に随伴の者達が居るんだった。ええっと、君の名は?」
「・・・香取です」
「香取?」
長良が名前に反応する声が聞こえた。
「長良、外に出て周辺警戒だ。行くぞ」
「あ、了解!」
「では、香取、さっき言った進路を進んでくれ」
「はい」
香取が頷いた。
香取を信用し、1人残して外に出た。
外に行く途中で、振動が起き始め、次第にその振動が一定になり始めた。
外に出た後で、武装し拠点へ無線を使用する。
「加古、聞こえるか?、どうぞ」
『はい、感度良好ぉ、どうぞぉ』
「今、大型船を護衛しながら帰還する。誤射の無きよう、通達を頼む」
『・・・え?、ええぇー・・・了解』
加古が疑問を持ちながら返答をしていた。その間にも長良を抱き上げ海面へと降りる。
「以上、通信終わり」
『りょ、了解』
加古の最後の言葉は困惑していた様子だった。
「ん~・・・香取。・・・うん、香取だ・・・ボロボロだけど」
長良を海上へと降ろした時、長良が香取の乗る艦を見て呟いていた。
{提督}
護送中にBYに話し掛けられた。
「何だ?」
{香取と名乗っていましたよね?}
「名乗ったな」
{我々の鎮守府でも、建造すれば出て来る可能性が有ります}
「香取と云う艦娘が?」
{そうです}
「・・・そしてあんな艦に乗る、と?」
{・・・そんな事は無い・・・筈です}
「確証は持てない、か?」
{・・・はい}
「戻ったら、元隊員にでも、
{そうしましょう}
・・・
その後の道中は、何事も無かった。吹雪とイムヤのおかげだ。
艦の香取も、私の言った進路へ進んでくれた。
今、鎮守府に居る面々が、
「提督さーん!」
香取が艦の外に出て呼んでいた。歩けたようだ。
「どうした?」
近くへ降りて質問する。
「あの、港や船着場は?」
「え?」
ここへの船が来ない為、船着場を作っていなかった。
「それが無いと、艦から降りれないんです」
「あ・・・直ぐに作成して貰う!」
妖精に依頼し、
『ガッテンです!』
建築関係用の妖精総出で作成して貰った。
「吹雪、どうしたの、そのグルグル巻きにした奴?」
敷波が吹雪の抱えていた者に対して言った。
「捕虜として捕まえたの」
吹雪が敷波に言う。
「コイツは、私が牢に入れて尋問する。敷波、響とタ級が戻り次第、牢まで来る様に言ってくれ」
「あ、うん」
「では、吹雪、疲れただろう?。私が持つのを変わるよ」
「この位なら、平気ですよ!」
「そうか。では、そのまま担いで牢へ連れて行ってくれ。半刻の間には行くよ」
「はい!」
吹雪が元気な返事と共に、捕まえた深海棲艦を連れて行った。
今の内に元隊員へ連絡を入れる。
『もしもし』
「もしもし、私だ」
『詐欺の電話?!。どうやって知った?!』
「え?!。・・・ああ、すまない。--だ」
『・・・嘘ですよ、冗談通じないんだから・・・隊長、如何したんです?』
「1つ質問があって、連絡した次第なんだが・・・」
『何でしょう?』
「君の所に香取という艦娘は居るか?」
『香取・・・ああ、居ますよ。代わりますか?』
「いや、いい。・・・で、だ。その香取は変身などをするか?」
『え?、しませんよー。歩兵装備とか、艦娘以外の人外じゃあるまいし・・・』
「・・・そう、か。そこが聞きたかったんだ。手間を取らせたな、ありがとう」
『んぅ?・・・まぁ、お安い御用ですよ』
「では、また」
『ええ、また』
通話を終了し、続いて建造カプセルの所へ行く。
『如何しました?』
「建造を1回頼む」
『お?、久々ですね。分かりました。やっておきます』
「で、・・・だ」
『如何したんです?』
「さっきの艦みたいな艦娘が作れるならば、今回それを建造して欲しい」
『・・・うーん・・・、やってみましょう。調教した楽天家達が知っている様子だったので建造出来るかもです』
「随分と厳しくしたようだな」
叱られていた妖精達が、慣れていないながらも懸命に働いていた。
『そりゃあ、貴方と同じく、人間にはまだまだ繁栄して欲しいですからね』
「そうだな」
『・・・で、時が来たら我々は悪戯を再開する、と』
「
『そう云うのは、今の人口が9倍以上になったらですよ』
「お手柔らかにな?」
『勿論ですよ。我々が
船着場が小半刻で完成した。
・・・早い。しかも、突貫作業とは思えない、完璧な出来栄えに思えた。
『後で、もう少し良い出来にしておきます』
「これで完璧に思えるのだが?」
『我々が納得する出来になってません!』
「そ、そうか・・・」
妖精達の言葉に気圧されてしまった。
香取が艦から降りると艦が消えた。
『アレェー!?』
集まっていた皆が驚きの声を上げていた。
私の武装もあれだが、これもこれで、夢でも見ている様だった。
質量の無視、これは私の武装も、か。・・・ここまで大質量では無いが。
「香取、艦娘で在るなら、入渠施設が有るから入るか?」
「入渠施設は、お風呂ですか?」
「勿論だ」
「・・・入ってみます」
「では、イムヤ、体が冷えているだろう?。連れて行って一緒に入って来ると良い」
「分かったわ、じゃあ、行きましょう?」
「はい」
イムヤと香取が入渠施設へと行った。
・・・
続いて牢へと向かった。万一の時用に武装しておく。
「う~ん・・・」
牢まで来た所で、捕虜が目を覚ました。
「・・・ここは?」
「牢屋だ」
「誰?。・・・え?」
武装した私を見て固まっている。
「・・・気絶する前の光景は、見間違いじゃなかったのね」
「君は変異体か?」
「いいえ、純種よ」
「我々を射殺す様な目つきをすると思ったんだが・・・」
この深海棲艦からは殺気・殺意を感じられない。
「貴方が居るから、よ」
「私が?」
「私は人間と一緒に生活していた時に貴方に助けられたのよ。それで・・・」
奴からの声が途切れる。
「提督、怖いです・・・」
吹雪が震えた声を出した。
・・・深海棲艦を助けていた。何たる失態か・・・。
「・・・まだ、貴方は深海棲艦を・・・」
「私は貴様達深海棲艦を許さない、絶対だ」
「それは、私も・・・なの?」
声の方向を見ると、タ級と響が居た。タ級が言ったようだ。
「・・・種族として、だ」
「ならば、私も許されない存在なの?」
「・・・君は、・・・個人としてならば、私の感情も何とかなる」
「・・・そう」
「その顔テレビで・・・その隣に居るのは、もしかして・・・」
奴がタ級を見て、隣を見る。
「・・・そう、戦争の首謀者だよ」
響が言った。
「・・・ああアーーー!!!」
途端、奴が縄を引きちぎり、何所からとも無くナイフを出して響に突撃した。
響に近づく前に、私は剣を取り出して奴を後ろから羽交い絞めにする。
「・・・放して、放してよ!!!」
「黙れ!!。今この場で死んで貰っても良いんだぞ!?!」
奴の首に剣を当てる。
「提督、いつの間に・・・」
吹雪の目には、取り出した様子が見えなかった様だ。
「・・・貴女の所為で!、私の運命は滅茶苦茶なのよ!?!。私は人間と一緒に生活していたのに、戦争によって人間の友は全て死んだわ!。今では何所に行けども、除け者扱い!。何処に行っても艦娘達には見敵必殺の如く執拗に狙われ、いざ陸上に行こうとすれば人間達に見つかれば狙われる。私の
奴が響に言い、ナイフを地面に手放した。・・・ナイフの落ちた音と、奴の泣き声が響く。
・・・嘘は言っていなかった。
出した剣を仕舞う。
「・・・」
捕虜を両手首を壁に付いている鎖の枷で繋ぎ、この牢から出れないようにする。
「貴様に、今、家は有るか?」
「・・・無いわ」
「・・・ここが、今から貴様の部屋だ」
「・・・」
「態度次第で、部屋を変えてやる」
「私に、・・・情けを掛けるの?」
「違う。貴様に知能の無い個体達を制御する一助となる気が有るならば、やって欲しい」
「やらない、と言ったら?」
「この牢にずっと居て貰うだけだ」
・・・また泣き始めた。
「・・・此処に、居させてくれるの?」
「・・・3日間居て貰う。3日後、良い返事を期待しているぞ」
「・・・」
「タ級、ここに残って、見張って居てくれ」
「・・・分かったわ」
「響、見張りの交代要員の予定を立ててくれ」
「・・・了解」
「では、頼んだ。吹雪、今日はご苦労だった」
「はい。お疲れ様でした」
吹雪の声が響いた。
『・・・』
深海棲艦達は立ち去るまで声を発しなかった。