翳り、色を知る
「おかえり、ご飯出来てるよ」
部屋へ戻ってくるなり聞こえる声。それは私がつい最近助けた相手のもの。いつものようにあいつらが現れたところへ出くわし、サクッと片付けたところにいた男の人。名前は要シキって名乗った。とはいっても、助けた時は意識もなく倒れていたけど。
「……ありがと」
「ん。手を洗ってきてくれる? その間に準備しておくから」
「……うん」
見捨てる事も出来ず、仕方なく揺り起こした後、シキは名前以外何も自分の事を覚えてないと言い出した。まるで突然そこに現れたみたいに、シキは何か浮いている感じがしたんだ。結局行くあてもないシキが自分に重なったから、仕方なく私が面倒を見る事にした。……結果的にある意味私の方が面倒を見られてるけど。
「誰かにおかえりって言われるの、やっぱり慣れないな……」
手を洗いながら呟く。忘れていた人の温もり。もう二度と感じる事はないと思っていた胸のあったかさ。シキは私にとっての陽だまりになるのかもしれない。そんな事を思うぐらい、今の私は人肌に飢えているんだと思った。
「さ、座って」
手を洗って戻るとテーブルにご飯が山盛りになっている茶碗と、油揚げとホウレンソウのお味噌汁、そして焼き魚が置いてあった。
「これ、何?」
「ああ、アジだよ。アジの開き」
「……そ」
「じゃあ食べようか」
目の前で手を合わせるシキ。だから私も両手を合わせた。
「いただきます」
「……いただきます」
揃って言おうと思ったけど、何か照れくさくて少しずらす。それにシキがちょっとだけ寂しそうな顔をした。それに胸が騒ぐけど、きっとシキも私の傍からいなくなるんだと思って無視をする。……そうでもないと私は今度こそ本当にダメになるから。
「どう? 美味しい?」
「……ご飯は少し硬いし、お味噌汁はちょっと塩辛い」
「あー、ごめん。明日はもっと気を付けるよ」
「そうして」
嘘だ。本当は美味しい。ご飯もお味噌汁も文句なんかない。だけど、そう言わないとシキから明日は気を付けるって聞けないから。明日も、ここにいてくれるって、そう言ってもらわないと落ち着かないから。だから私は嘘を吐く。
目の前でご飯を食べるシキを見つめ、私は願うのだ。いつかいなくなると思い込んでおいて、絶対いなくならないでという真逆の願いを。
「あ、そうだ。響、俺、仕事決まった」
「え?」
あまりにも突然で予想外の事に素の声が出た。だって、シキは住所不定で記憶喪失なのに。
「ほら、近くでやってる工事現場。そこの責任者の人に頭下げてお願いしたら日雇いで様子を見てやるって言ってくれてさ」
「……そっか。近所なんだ」
「ああ。だからこれからはちょっとだけ晩飯が遅くなるかもしれないけど」
「別にいいよ。気にしないから」
「ありがとな。出来るだけ早く帰ってくるから」
顔を見られたくなくてご飯を食べる振りをして下を向く。だって、今の私は絶対悲しんでるから。シキが少しだけ遠くに行っちゃう気がして、そんな不安が顔に出てるだろうから見せる訳にはいかない。
ご飯を食べ終えるとシキが洗い物を始める。私は椅子に座ったままでその後ろ姿をぼんやりと見つめていた。家でお母さんやお祖母ちゃんがそうしていた事を思い出し、今どうしているんだろうと考えを巡らせる。心配してるかもしれないけど、戻るつもりはない。私は呪われてるからだ。
「今の私には、人と同じ幸せなんて……」
このやるせない気持ちをあいつらにぶつける。自分達のところへ来いって、そう言ってきた人もいたけど、私は誰かと一緒にいるつもりはなかったから無視をした。そう、誰かと一緒にいるつもりはなかったはずなんだ。だけど、シキは私がいないと誰も頼れる相手がいない。それが私の気持ちを掴んだ。だから今、私は一緒にいる。
「……先に寝る」
「おやすみ」
背中越しに振り返り、シキが挨拶してくれる。私はそれに言葉を返す事無く布団へ向かう。と、そこで良い匂いを感じた。初めて嗅ぐ匂いだけど、とても好きな匂いだ。鼻を動かして出所を探す。すると、それはゴミ箱からしていた。もしかしてシキがこっそり何か食べて隠したのか。そう思って証拠を掴むためにと手を伸ばす。でも、あったのは丸めたティッシュばかり。と、そこで気付いた。その匂いはそのティッシュからするって。
「……どういう事?」
疑問が浮かぶけど、勝手に手がそのティッシュを鼻へ近付ける。何かを包んで捨てた? でも、感触はそれらしい感じはない。鼻をかんだ後のものと変わらないし。でも、漂ってくるのはとてもいい匂い。
「あれ? まだ着替えてないの?」
「っ?!」
シキの声で慌てて振り向きながら手の中にティッシュを隠す。何となく反射的にやったけど、普通に聞けば良かったとその時気付いた。
「い、今から着替えようと思ってたから。あっち向いてて」
「分かった。終わったら教えて」
シキがこっちを見なくなったのを確かめて、そこで私は自分の手の中に起きた事へ気付いた。手の中が若干濡れてるのだ。
「……何、これ?」
ティッシュの中から何かが漏れたみたいで、それが私の掌に付着していた。そこで私はそれが何かを理解した。でも、そうだとすると納得出来ない事がある。何でこんなにいい匂いがするのかだ。
「シキ、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「え? 何かな?」
律儀に振り向かず返す辺りがシキらしい。だからこそ、私は信じられないのだ。だって、これがアレならシキはここでああいう事をしてた事になる。しかも、多分私で。だって、ここにはエッチなモノは一切ない。あるとすれば、私の下着ぐらいだろうし。
「何か、ティッシュのゴミ、多いんだけど」
「っ!? あ、あー……ちょっと花粉症みたいなんだ、俺」
「へぇ、初めて聞いた。ていうか、なら何で今は平気なの?」
「…………ごめん。その、スケベな事しました」
項垂れるシキを見て私は予想が間違ってない事を確信した。やっぱり、じゃあこれはシキの……と、そう思ったけど何故か嫌な感じはしなかった。
「そうなんだ。ね、それって私を想像して?」
「……ごめん。気持ち悪いよな。その、すぐに出て行」
「いいよ。気にしてないから」
シキの言葉を遮って言い切った。全然気にならないって事はないけど、あの時の仕打ちに比べれば可愛いものだ。それに、あれは私への悪意だったけど、今回のはそうじゃない。むしろ、好意かもしれないから。
さすがにその言葉にはシキも振り向いた。その顔は驚き一色。初めて見る表情で私を見ている。だから一言だけ言ってあげる事にした。
「だって、シキは多分私よりも年上だし。男の人がそういうのしたくなるのぐらい、私でも知ってるから」
「えっと……」
「ただ、出来るだけ私に分からないようにやって。……想像の中で何してもいいけど」
そう言って私は寝間着を取り出す。それを見て慌ててシキが動くのを感じた。何て言うか、初めての感覚が私の中に生まれる。年上の男の人を翻弄しているような感覚。それに何故か久しぶりに心が弾むような感じがした。そこで思い出すのは掌のモノの事。
「……これ、シキが私の事を考えて出したんだ……」
そう呟くと顔が熱くなる。生まれて初めて男の人に異性として意識された。それが思ったよりも私の中で大きく意味を持つ。だからかな。気付けばこんな事を言っていた。
「ね、シキって私とエッチしたい?」
答えはすぐには返ってこなかった。それでも私には分かった。シキは否定したいのではなく、どう答えればいいのか決めあぐねてるって。
「私はいいよ。どうせこんな私をそんな風に思う男なんて出てこないだろうから」
「そんな事ない。響は可愛いよ。それに優しい。名前以外自分の事を覚えてない俺を助けてくれたじゃないか。だからきっといつかそういう人が現れるよ」
「……呪われてるのに?」
その言葉を言った瞬間、シキが申し訳なさそうに頬を掻いた。
「それなんだけどさ、俺は知らないんだよ。だから、俺からすれば響はちょっと無愛想な女の子でしかないんだ」
きっと、シキにとっては何気ない一言だったと思う。だけど、私からすればそれは予想外の一言だった。あのライブ会場での惨劇を知らない人の方が少なく、しかも私がその生存者である事を知って悪感情を向けない人はいなかったのだ。シキは記憶喪失だからそうじゃないと思う。それでも、私にしては衝撃的な事実だったんだ。
「……ほとんどの人が生き残らなかったんだ。私以外の生存者もいたんだけど……」
簡単に私に起きた事を話した。学校でのいじめや地域全体のいじめ。あの人がいなくなった事も話そうかと思ったけど、それは止めておいた。何となく思い出したくもなかったから。
全てを聞いたシキはあまりの事に絶句してた。でも、やがて深呼吸して私の目をしっかり見つめてきた。
「事情は分かった。でも、だからってどうして響が悪いんだ? もし響が生き残ってくれなかったら俺は今頃死んでいた。だから、俺にとっては響が命の恩人なんだよ。しかも、今も助けてもらってる。生きていてくれてありがとうって、そう言いたいぐらいなんだ」
最後の言葉を理解した瞬間、あったかいものが私の中に沁み込んできた。生きていてくれてありがとう。そんな言葉、私に言ってくれる人はもういないと思ってたのに。気付けば何かあったかいものが頬を流れていた。もう枯れ果てたと思っていた、しょっぱいものが。
「もし、響へ生き残った事を責める人がいるなら、俺が戦うよ。亡くなった人達は響が犠牲にした訳じゃないんだ。悲しみの吐け口に君を使う相手には、俺が盾になるから。それが助けてくれた響へ出来る、俺の数少ない事だしさ」
止めて。そんな事言われたら、そんな事されたら、私は、一人で生きていかなきゃと思ってた私じゃなくなっちゃう。新しく出来た私が崩れそうになる。すると、後ろから誰かに抱き締められた。
「……何、してるの?」
「その、響がとても寒そうに見えたから。嫌、だったかな?」
「ううん、そのままでいて。今は、そのままで」
流れてくる涙を拭おうとした時、私は思い出した。掌に残ったシキの、多分精子の事を。今はもう乾き始めてるけど、そのまま目を拭うのは嫌だなと思った。だけど、シキにティッシュ取ってと言うのも何か嫌だ。……ま、いいか。別に舐めたらダメって事はないし。
「……え?」
舐めた瞬間感じる美味しさ。生まれて初めて味わう美味しさだった。内心首を傾げながらもう一度掌を舐める。やっぱり美味しい味がする。
「ね、シキ」
「何?」
「私が何言っても離れたりしない?」
「しないよ。だって、俺には響しかいないから」
その一言で気持ちが決まった。信じた訳じゃない。ただ、直感的に分かったんだ。シキは本当に私の傍にいてくれるんだって。
「……シキのおちんちん、見せて」
「へ?」
「シキの精子、飲ませて」
「ええっ!?」
さっきの味が忘れられない。それに、心なしか体が熱い。まるでギアを纏った後のように。この熱を忘れたい。あの味をもっと味わいたい。そう思って私はシキの腕の中で向きを変える。目の前にシキの顔が見えた。その表情が困惑してる。……ちょっと可愛いかも。
「ひ、響? さっきのって」
「本気。私でオナニーしたんでしょ? なら、いいじゃん。本物の私がエッチな事してあげるからさ」
「…………分かった。じゃあ、これだけは言わせて欲しい」
「何?」
正直意外だ。男ってこういう時、何も言わずにエッチな事したがるもんじゃないの? ま、そこがシキらしさなのかもしれないけど。まぁ、言いたい事はエッチな事だと思うけど。
「その、出会ってまだ数日だけど、好きだ。付き合って欲しい!」
「……え?」
「記憶もない俺だけど、頑張って稼ぐからっ! だから響をお嫁さんにさせてくれっ!」
頭の中が真っ白になった。生まれて初めての告白。年上の男の人から、面と向かって、しかもプロポーズみたいな言葉を。ダメだ。止まったはずの涙が戻ってくる。でも、その理由が今の私には分かっちゃった。だってこれは、今まで流してきた悲しいやつじゃないから。嬉しいから出てくる涙なんだ。
「あ、えっと……」
何も言わず泣く私にオタオタしながらシキが慌てる。それもまたおかしくって、涙が余計出てくるのが面白い。そこへ差し出されるティッシュ。見上げれば困り顔のシキ。
「これで拭いて」
「……拭いてくれないの?」
だから意地悪したくてそう言った。だけどそれをシキはこっちの想定と違う取り方をしたみたいで、やや真剣な顔で涙を拭ってくれた。それに何も反応出来なくて、私はされるがままにされた。
「……これでいい?」
「う、うん……その、ありがと」
「ど、どういたしまして」
沈黙。でも、それが今の私には心地良い。だって目の前には照れくさそうというか、どうすればいいのか分からない感じのシキがいるんだ。この人は私を置いていったりしない。何があっても傍にいてくれる。そう思える。記憶があるない関係ない。シキは、この人だけは私の味方でいてくれるはずだ。
「ね、キスして」
「え?」
「付き合ってあげる、から。お嫁さんにしたいんでしょ? なら、ちゃんとして。私をいつでも抱き締めて、しっかり愛してくれなきゃヤダ」
「っ! 分かった!」
直後感じる力強い温もり。そしてぎこちないけど優しい触れ合い。それに身を委ねるように目を閉じる。やがてその触れ合いが終わる。それが堪らなく嫌で、咄嗟に自分から触れ合いにいった。驚くような感じがしたけど、すぐに微笑みと共にさっきよりも優しい何かが返ってくる。それが嬉しくて、あったかくて、そのまま私はその腕の中で眠りに落ちた。何の夢も見る事なく起きた時には朝になってて、昨夜出来た彼氏さんは、私を抱き締めたまま眠ってた。服を着替える事もなければ、こっちを着替えさせる事もしないで。
「……寝てる間にしちゃえばいいのに」
そう呟きながら、そういう事が出来ないからシキなんだと思った。そういうシキだから私は受け入れられたんだとも。こうして私に新しい陽だまりが、彼氏が出来た。絶対離れないし放さない存在が。そう思って私はもう一度寝直す事にした。そしたら今度は夢を見た。シキと裸で抱き合って笑う私の夢。どこか遠い世界のようなそれに、私は久しぶりの笑顔になれた……。
「お疲れ様」
「あ、うん」
あれから響が少し変わった。明るくはなってないけど、こっちへ比較的好意的な反応を見せてくれるようになった。笑顔は中々見せてくれないけど、不機嫌そうな顔も初めて会った頃よりは減ったし。
ややぶっきらぼうな出迎えだけど、それだけで力仕事の疲れも和らぐというものだ。思ってた以上に工事現場の仕事は大変だった。重労働というものの意味を甘く見ていた。だからこそ懸命にやっている事で認めてもらえるのだ。聞けば初日から来なくなる人も珍しくないらしい。二日目から来なくなるのはもっと多くて、その点で言えば俺は十分合格ラインとの事。
「……あれ?」
「何?」
「これ、響が作ってくれたのか?」
テーブルの上にはご飯と大根と油揚げの味噌汁、それと秋刀魚の塩焼きがあった。
「……だって、まだ筋肉痛治り切ってないんでしょ。そんなシキに無理させたらワタシのご飯までダメになるじゃん」
「ありがとうな。俺、もっと頑張るから」
「別に、気にしてないから。さっさと食べるよ」
「そうだな。じゃ……」
椅子に座って響を待つ。向かい側に響が座って揃って手を合わせる。
「「いただきます」」
これも地味な変化。響がこちらに合わせてくれるのだ。本当に仕事を始めてよかった。きっと響も俺がちゃんと働くようになったから受け入れてくれたんだな。この調子で頑張っていこう。体中が痛いけど、これもその内慣れて感じなくなるそうだ。そうなった時、響へ改めて迫ろうと思う。あの時は有耶無耶で終わっちゃったけど、だからこそ今度はしっかりと向き合いたい。
そう思いながら食事をしていると、不意に響がこちらへ顔を見つめてきた。
「シキって、もう私にエッチな事しないの?」
「っ!? ゴホッゴホッ……ひ、響?」
「私、いいって言ったよ。それに、気付いてるんだから。シキ、私が寝た後にこっそりオナニーしてるでしょ」
もう言葉が無かった。仕事で疲れてへとへとになった初日や二日目などは本当に倒れるように眠ったけど、最近は体もある程度慣れたせいか、疲れのせいでムラムラしてしまう事が多い。それに、あの時の響の温もりや感触、匂いを覚えてしまったのも大きい。
「え、えっと……」
「ティッシュから匂いがするから分かるんだ。あの時言ったよ。シキの精子飲ませてって。ティッシュに出すぐらいなら私の口に出していいよ」
「ひ、響……」
「その、ヤケになったとかじゃない。ほら、シキは私なんかをお嫁さんにしたいとか言ってくれたから……」
恥ずかしそうに早口で捲し立てる響が可愛く見えた。顔は横を向いててはっきり見えないけど、頬が赤らんでいるのがはっきりと見て取れる。つまり、本気で響は俺とセックスを……。そう思ったら、途端に元気が湧いてきた。体の疲れも筋肉痛もなんのそのだ。
「響、お願いがある。その、飯食べ終えるまでにシャワー浴び終えてくれ」
「……分かった」
さすがにその言葉には響も顔を真っ赤にした。だけど、そのまま立ち上がってシャワーへと向かう。俺はそこからやや急ぎ気味に食事を進めた。響は女の子だけどシャワーの時間は短い。だから間に合うようにと、そう思って食事を終えたのだが、何故か一向に響が戻ってこない。不思議に思いながらも、ならと洗い物をして待つも姿を見せず。
「……もしかして、やっぱり嫌になったとか?」
後片付けを終えて、ぼんやりと布団の上で待つ。いつもならとっくに上がってくるはずなんだ。と、背後に感じる人の気配。
「お、お待たせ……」
「いや、そんな……」
振り返った先には、全裸の響が立っていた。胸は大き過ぎず小さすぎずな感じで、陰毛は薄いような気がする。それと、胸の辺りに奇妙な形の痕が見える。だけど、その全身はとても綺麗だと、そう強く思った。
「あまりジロジロ見ないでよ」
「っ!? ご、ごめんっ! 響の裸がとても綺麗だと思ってつい……」
「……そ。で、シキは脱がないの?」
「あっ! い、今から脱ぐよ」
慌てて服を脱ぐ。まだ仕事を始めて二週間にも満たないけれど、それでも始める前より体が逞しくなったと思う。それを響も感じ取ったのか、息を呑むのが聞こえた。一瞬パンツはどうしようかと思ったけど、響も全裸なのだからとそれも脱いだ。その瞬間、響の目の前に現れる勃起チンポ。
「うわっ……そ、そんなにおっきいもんなの?」
「えっと……俺も他の人と比べた事ないから……」
「あっ、そう、だよね」
チンポへ注がれる響の視線。俺は俺で響の淡い茂みへと視線を向ける。
「……舐めてみてもいい?」
「じゃ、じゃあ俺もいいか?」
「……じゃ、舐め合いっこだね」
そうして始まる俺達のエッチ。俺の上に響が乗り、お尻を顔へ突き出すようにしてくれた。出来るだけ優しくしようと思いつつ、初めてのクンニに興奮が収まらない。何とか乱暴にしないよう気を付けながら響のマンコを舐め回す。何というかあまり匂いもしないし、味も強くない。だけど、それが響の味だと思うと興奮が高まっていく一方だった。それに、チンポへも時々ぬるっとした感触がある。響が舐めてくれているのだ。
「ああっ、響、気持ちいいよ」
「……そ」
素っ気無い返しだけど、その割にはフェラの熱が高い気がした。何というか、味わっているような感じがするからだった。執拗に亀頭を、それも鈴口辺りへ舌が執拗に這ってくるのだ。我慢汁を一滴たりとも逃すものかとばかりに。
「ひ、響……そんなに吸ったら……っ!」
出せ出せと言うような強烈なフェラチオ。これが初めてと思えないぐらいのそれに、俺は限界が近い事を教える。だけど、むしろ響はそれを聞いて余計フェラチオに熱を込めた。何と舌を動かして亀頭攻めを同時にしてきたのだ。
「あっ……もう……っ!」
当然我慢など出来るはずもなく、響の口の中へたっぷりと射精した。すると、響はそのまま飲み下していったのだ。初めてのフェラチオでやる事じゃないと思う。だけど、それぐらい響が俺とエッチしたいと思ってるのかと思うと嬉しくなってしまう。
「……これ、やっぱり……」
「響?」
「……シキ、もっと飲ませて。シキの精子、私、好きみたい」
「え!? い、いいの? 本当に?」
その問いかけへの答えはなかった。ただ、熱烈なフェラチオが再開された事で返事にされた。本気で響は俺の精液が好きらしい。でも、何でだ? まぁ、考えても仕方ないよな。そう思い直して俺もクンニを再開。と、そこで気付いた。さっきよりも味が強くなっている事に。酸味のような味がするのだ。
きっと響の方も感じてくれているからだろう。そう思って、より気持ちを込めて愛撫を続ける。響からのフェラも一度目よりも上手くなっていて、こちらの弱い場所を舌で攻めてくるのだ。こうやってお互い相手の好きな攻め方や弱い場所を愛撫していく。
「ひ、響っ! そこ、そこをもっとしてくれ!」
「ジュルルっ……っは、レェ~……」
響が裏筋を舐め上げてくれるので、お礼とばかりにクリトリスを優しく舐めていく。するとフェラが少しだけ止まりながらに変わる。それが感じている証拠なので余計嬉しくなってしまう。もっと響を悦ばせたい。もっと響を愛してると伝えたい。その想いで舌を動かす。と、響がチンポから口を離した。
「だめぇぇぇぇぇっ!!」
聞こえてきたのは初めて聞くような響の声。その可愛さとエロさにチンポが反り返る程興奮する。そして響が荒い息で倒れ込んだので、そっと指をマンコへ挿入した。
「ふぇっ!? し、シキ?」
「ごめん、もう我慢出来ない。響の中へ入れたいんだ」
「……い、いいよ。ちょっと待って」
心なしか響の雰囲気が普段と違ってるな。何というか素直というか、可愛らしいというか。もしかして、響って本当はこういう子なんだろうか。ぼんやりと布団の上に横になる響を見つめながらそう思う。
「……これでいい?」
「えっと、うん。多分いいと思う」
軽く股を開く響へそっと近寄る。その時、響の視線がチンポへ向いた。しかも、それがどこか熱っぽい。まるで魅入るような感じの眼差しに内心で首を傾げつつ、俺は響のマンコへチンポを軽くこすりつけた。といっても、それは予期したものじゃなく、挿入しようとして失敗した結果だ。
「ひゃんっ!?」
「ご、ごめん。上手く入らなくって……」
「そ、そっか……」
「こ、今度こそ……」
「……も少し下」
「え?」
「っ! も、もう少し下、だから……」
「あ、ああっ! 分かった。ありがとう、響」
恥ずかしそうに顔を背ける響が愛おしくて、俺はお礼を言いながらチンポを言われるままに動かす。響の指示に従ってチンポをあてがい、遂に感触が変わったところで一度響を見る。すると、彼女は小さく頷いてくれた。それが最後の一押しとなって俺は一気にチンポを突き入れた。
「んんっ!」
「だ、大丈夫?」
「……へ、平気。こんなの、あの頃の痛みに比べればんむっ?!」
響の辛そうな顔が耐え切れず、俺は優しくキスした。そして思い切って舌を入れる。それに響は驚いたみたいだったが、何と受け入れてくれたのだ。絡め合う舌と舌。そして、響の唾液は妙に甘い気がした。そうやってキスをしていると、響が蕩けた顔をしてこちらを見つめてくる。
「もう、いいよ。痛み弱くなったしさ」
「……本当に?」
「うん。その、激しくはしないで」
「分かった。頑張って優しくするな?」
最後にもう一度だけキスをして、ゆっくり腰を動かす。それで響の顔が痛みで歪むけど、動きを止めようとする度続けてと目で言われた。だからキスをしながら腰を動かす事に。それが良かったのか、段々響の表情とマンコの締め付けが変わってきたのだ。それも良い方に。
「っは、す、凄い……。響のマンコが凄く締め付けてくるよ」
「うん、私も感じる。シキのオチンチン、感じるよ。おっきくて硬くて、すっごく逞しいって」
「響……っ!」
「ふわぁぁぁっ! い、今の何? 今、頭の中が真っ白になったんだけど! シキ、教えて」
「た、多分子宮口に当たったんじゃないか? そこ、一番感じるらしいからっ!」
「んんっ! だ、ダメっ! 子宮口、オチンチンでコンコンするのダメぇ! 怖いのっ! 気持ち良すぎて怖いよぉ!」
「うおっ!?」
響が初めての快感に怖がって抱き着いてきた。だけど、それがまるで俺を逃がさないとするような体勢で、更にチンポを子宮へ近付けるような動きとなる。とどめに締め付けまで強くなったのだ。そうなれば待っているのは……
「「ああああああっ!!」」
同時絶頂。しかも引き抜けず膣内へ射精するという結末。それなのに、俺は気付けばキスをされていた。舌を絡め合ってのディープだ。まるでそうしてくれて嬉しいと言うような響に、俺は目を何度も瞬かせながらもキスを返す。
「……響、ごめんな。俺、中で出しちゃった」
「……いい。私はそうして欲しかったから」
「え?」
どういう事だ。何で響は中出しさせたかったんだ。そんな疑問が浮かぶ。すると響は初めて見る笑顔でこう言ったのだ。
―――これでシキは私から離れられないでしょ?
グレ響には間違いなく未来と同じヤンデレ属性が眠っていると思います。身も心も許した異性など現れようものなら、絶対逃がさないはずです。そう、例え全てを犠牲にしても。まぁ、自分ではそこまでヤンデレっぽく描くつもりはありません。だって、ここから響は完全デレタイムですので。