マリア・カデンツァヴナ・イヴと風鳴翼は、薄暗い空間で無数のカメラに囲まれている。
月末の合同ライブを盛り上げるためのグラビア撮影。
そのために二人は今、己の体を衆目に晒していた。
「ほら翼、表情が硬いわよ」
「う、うむ……駄目だな、どうもこうした仕事は苦手で……」
経験の差か、あるいは元々の性格故か。
ぎこちない翼を横でマリアがフォローし、大きな問題もなく撮影は続いている。
フラッシュの光に包まれながら、二人は指示に従いポーズを決める。
そしてカメラマンがOKの指示を出すと、二人には新たな衣装が配られた。
「ず、ずいぶんと露出が多いな」
「水着なんてこんなものでしょう? さっさと着替えましょ」
翼は顔を赤くして、マリアは自然に。
何の遮蔽物もないカメラマンの目の前で、二人は服を着替えだす。
それは、水着と呼ぶのが憚られる衣装だった。
マリアの水着は、濃い赤色のスリングショットと呼ばれる水着だ。
Y字の紐とでも表現すべきそれは、もはや服とは思えない。
通常ならば背中に通っているはずだった一本の布すら消失している。
その代わりに水着がずり落ちないように固定する器具として、二本のディルドが股の部分に付属していた。
「んっ……!」
マリアはまず、二本のディルドを己の穴に挿入する。
秘部と尻穴に深く押し込み、水着……いや、Y字の紐を固定した。
そして二本に分かれた紐で乳首を隠し、首の後ろで結び留める。
長さもギリギリなそれは、マリアの体にピッタリと張り付いていた。
数センチ程度の太さしかない布地は、辛うじて乳首と性器を隠してはいる。
だがそれ以外は丸出しだ。
少し動くだけで紐はずれ、両の乳首は露出されるだろう。
現状ですら隠しきれない乳輪が見えてしまっている。
全裸より淫猥とも言えるその水着を、マリアは多少露出が多い程度にしか認識していない。
二本のディルドに貫かれ、顔を紅潮させたまま撮影用ライトに照らされていた。
そして、翼に渡された水着はそれ以上に異常だった。
白色のマイクロビキニは、三角の極小な布地で胸と性器を隠すものだ。
だというのに、翼が着用したそれは隠すべき部分に穴が開いていた。
マリアと比較すると平坦な胸に突き出た二つの突起が、丁度丸出しになるように。
下も同じく性器の部分だけが布地をくり抜かれ、丸出しの状態だ。
結果、隠すべき部分の周囲を水着で囲むような姿になってしまっている。
それは性器や乳首をより強調する結果となっており、翼の顔を赤く染め上げている。
しかしプロとしての根性か、二人とも己の体を隠そうとはしない。
多少恥ずかしい水着仕事程度我慢しなくてはという、認識改変の結果でもあるのだが。
二人は指示に従い、様々なポーズを決める。
カメラのシャッター音が絶え間なく鳴り続け、二人の痴態を記録に残す。
マリアが前屈みになり、両の胸を寄せる。
大きな乳房は柔らかく形を変え、男たちの劣情を煽る。
逆に翼は凛と立ち、スラリとした美しい肢体を見せつける。
だが今の姿でその格好をしても、淫靡な姿とのアンバランスさが強調されるだけだ。
「あっ、あぁ……」
体を動かす度に、マリアの喉からは嬌声が上がる。
水着は固定されてもディルドは動く。
指示に従い体勢を変えるたびに、マリアの体内は二本の杭にかき回されていた。
「うぅ……」
そして翼も、羞恥とは違う本能が反応する。
カメラのフラッシュを浴びるたび、肉体は汗ばみその顔は赤く染まっていく。
カメラマンは一度カメラを下ろし、近くのスタッフに指示を出した。
指示を受けたスタッフは小走りで部屋の隅に向かい、小道具を手に戻る。
水着グラビア撮影の小道具は、単刀直入に言えば性的な要素を多く含む。
肌を水で濡らしたり、棒状の小物を被写体に持たせたり。
間接的な表現でいかに性欲を表現するかという偏執的な努力の結晶とも言えるだろう。
だが、常識を改変された世界では婉曲な手など使用されない。
全身にローションを塗ったマリアと翼の全身は、とても艶めかしく輝いている。
粘度の高い液体が四肢を伝う姿は、見ているだけでスタッフたちの呼吸が荒くなっていた。
マリアはM字に大股を開き、両手を背中に回す。
突き出された股間に、カメラのフォーカスは合わせられた。
翼の水着には各所に避妊具の袋が挟み込まれている。
凛と立つその姿とのギャップは非常に効果的であると、膨らんだスタッフの股間が証明している。
カメラマンは股間を固くさせながら二人を撮影し続ける。
その撮影は、他の衣装よりも明確に長く続いていた。
「ふぅ。お疲れ様、翼」
「できれば、こういった仕事は次から遠慮したい所だ……」
軽く汗を浮かび上がらせるマリアに対し、翼の表情には疲労の色が隠せない。
とはいえ長時間の撮影で慣れたのか、羞恥心は随分と軽くなった様子だ。
そして翼の期待とは裏腹に、今回のグラビアは大反響を呼び即日完売。
早速次回作の会議が緊急で行われることとなるのだった。