風鳴翼は新たに出演が決まった歌番組のリハーサルを行っていた。
本番を前日に控えたリハーサルは、殆ど本番と変わらない進行だ。
用意された衣装に身を包み、多くのライトで照らされた舞台に翼は現れた。
スタッフの視線が、翼に集中する。
翼が身に纏う衣装は、非常に布地の少ないものだった。
腹部や肩、胸に脇が大胆に露出されている。
ビキニ水着のトップスと超が付くほど短いスカートにフリルをあしらったような衣装と例えれば伝わるだろうか。
さらに通常の世界では衣装の中に着用していたはずのスパッツが消失していた。
当然のように下着は上下共に無し。
結果、翼の尻や秘部は舞台下から見上げるスタッフに丸見えだ。
スタッフの指示に従い、翼は舞台をゆっくりと歩き回る。
複数のカメラが翼に向いているが、今は回っていない。
あくまでも段取りの確認だ。
「んっ……」
時折スタッフが翼の元へと小走りでやってきて、会場を指差しながら指示を飛ばす。
妙に多い肩や腰に触れながらの指示に、翼は違和感を覚えることもなく従っていた。
「では、お願いします」
最後に行われる通しのリハーサル。
実際にマイクを手に歌を歌い、本番さながらの雰囲気に包まれる翼。
確認用に回されているカメラはその全てが翼を映している。
淫らに晒された尻や秘部を、余すことなく。
本番ではこの痴態が会場の観客だけでなく、生放送で全世界中に届けられることになる。
だがそんな危惧や不安が、今の翼にあるはずもなかった。
翌日。
会場を埋め尽くすファンに、翼は心からの笑みと歌声を届けていた。
リハーサルに比べ“多少”衣装が変更されている以外はトラブルもない。
翼は歌に没頭してライブを盛り上げていた。
翼が振り付け通りに強く腕を回す。
連動して衣装が靡き、スカートが舞い上がる。
カメラが捉えたのは下腹部を隠しているはずの布地ではなく、秘部に固定された小型のピンクローターだった。
「――あ、あぁッ」
小刻みに振動し刺激を与えるローターに、翼の頬が紅潮する。
時折歌声が途切れ、代わりに甘い喘ぎ声が漏れていた。
誰もそれを異常だとは認識しない。
だが、その様子に観客の男はライブとは別の興奮を感じていた。
次の曲に入っても、翼の衣装は変わらない。
それどころか、一曲目よりも激しい振り付けを行うせいでより大胆に秘部を露出している。
二曲目が終わり、一度翼は舞台袖へと移動する。
スタッフが乱れた衣装やメイクを手直しするのだ。
手渡されたペットボトルのストローを吸い、水分補給を済ませる翼。
そんな彼女に、スタッフは耳打ちした。
「え、衣装が破れている?」
言われて見ると、確かにスカート部分の端が少し破れている。
トラブルの発生に慌ただしくなるスタッフたちに、翼は優しく声を上げた。
「この程度なら、一曲分もあれば直せるでしょう。問題はありません」
翼はそう告げると、躊躇いなく衣装を脱ぎ捨て全裸になった。
「では、手直しをお願いします」
傍にいる衣装係に着ていた衣装を渡すと、翼は全裸のまま舞台へと歩いていった。
敗れたのはスカート部分だけなのだから上を脱ぐ必要はないのだが、なぜか誰もその言葉を告げる者はいなかった。
スタッフたちはあくまでも真面目に、衣装の修復を急ぐ。
全裸で現れた翼に、会場はどよめいた。
そんな様子に翼は、予定と違う恰好で現れたのだから皆が驚いているのだろうという程度の認識しかしていない。
あくまでも違う衣装で現れたという体で、翼はそのまま歌い踊る。
全裸にローターを付けた状態の翼をカメラが追い、ライトが照らす。
その様子に目を奪われなかった者は存在しない。
「――ッ!」
挙句の果てに、翼はその格好のまま絶頂を迎えた。
歌が終わると同時に、刺激を与えられ続けた秘部が限界に達したのだ。
決めポーズを取りながら愛液を噴き出させる翼。
一瞬意識が飛んだが、すぐさま持ち直し何事もなかったように舞台袖に戻る。
衣装を身に纏い、次の曲のイントロと同時に舞台へと駆けていった。
「お疲れ様です、無事に終わってよかった……」
全曲を歌い終えた翼は、舞台袖に集合したスタッフにそう告げた。
あの後も一度、合計で二度の絶頂を衆目に晒しながらも翼に羞恥の感情は無い。
荒い息を整えながら、この後に控える握手会の準備を淡々と進めていた。