薄汚れた地下牢の中央に、ライトの灯りでうっすらと浮かび上がる人影が二つ。
人影の正体はエルザとミラアルクの二名。
だがその姿は、かつて卑しき錆色と呼ばれていた頃以上に惨めなものだった。
四つの瞳は全てが虚ろで、汚水のように黒く濁っている。
外傷は無いが、起き上がる気力も無いのかじっと横になったまま動こうとしない。
全員が衣服を剥ぎ取られ、全裸の姿で牢へ囚われている。
無音の地下牢に、コツン、と靴音が響く。
途端に、エルザとミラアルクは跳ねるように飛び起き、不安気に瞳を揺らした。
現れたのは、黒いローブに身を纏った男。
かつてパヴァリア光明結社と敵対していた組織の残党に、ノーブルレッドの三人は囚われてしまっていた。
牢の鍵を開けた男に案内されるように、エルザとミラアルクの二人は歩を進める。
拘束もされていないのに二人が黙って従うのは、リーダーであるヴァネッサが人質に取られているからだ。
足を踏み入れたそこは、何もない広めの一室。
下卑た笑みでこちらを見つめる構成員一同の視線を浴び、エルザは怯えミラアルクは俯いた。
三人の生存を条件に、二人は毎日のように彼らへの性的奉仕を要求されている。
この場の全員を満足されることが出来れば、明日までの生存が約束されるという契約だ。
別の場所に囚われているのであろうヴァネッサの居場所を突き止め救出するまでは大人しく従う他ない。
そう判断した二人が気丈に振舞っていられたのは、せいぜい一週間程度であった。
ダッチワイフのようにただ犯され、凌辱されるだけであればもう少し耐えられただろう。
だが彼らは、ヴァネッサとミラアルクを遊びがいのある玩具として扱った。
「ふっ、ぐぅっ……!」
「ぅぁ……ひっ……!」
立ったまま大股に足を開き、秘部を見せつけるような姿勢で呻く二人。
両者の秘部にはバイブが挿入されており、電子音を鳴らしながら彼女たちの膣内をかき回している。
先に絶頂した方が罰ゲーム。
そう伝えられてから十分間、彼女たちは必死に声を噛み殺して沸き上がる快楽に抗っていた。
毎日のように競い合わされるエルザとミラアルクの二人。
相方を庇う言動が出来たのは最初の二日だけ。
気丈に男たちを睨みつけ罵倒できたのは五日が限界だった。
与えられる罰の苦しさを知ってしまった今は、いかに相方に罰を押し付けるかしか考えることが出来ない。
そして瞳を濁らせて凌辱される相方を見て、勝者は仲間を売った苦しさに胸を痛めるのだ。
「──ッ!」
「──ッ!」
二人の体が同時にのけ反り、噴き出した愛液でバイブが抜け落ちた。
同時に絶頂し倒れ伏した彼女たちを、引き分けはどうするかと男たちが軽薄な笑みを浮かべて見下している。
結論は第二ラウンドの開催。
痴態によって興奮した肉棒を露出させ、男たちは気を失いかけた二人を叩き起こした。
「んぶ、じゅ……!」
「はや、早く出して……出して下さいッ……」
エルザとミラアルクの二人は、手、口、胸を使って同時に複数の肉棒を奉仕する。
目の前に置かれた自分用の実験用ビーカーを、相手より多く精液で満たすために。
相手よりもこちらに来てくれと懇願し、肉棒を求め、こちらの方が魅力的であると浅ましく尻尾を振ってアピールしなければ勝てない。
羞恥に顔を赤く染め上げながら、二人は娼婦が客を奪い合うように下品な言葉で興奮を煽り、その口を勃起した肉棒で塞がれる。
喉奥に注がれる精液を苦し気に呻きながらビーカーに吐き出し、目尻に涙を浮かべながら感謝の言葉を口に出す。
「わたくしめのような雌犬に精液をお恵み下さり……ありがとうで、あります……」
「ウチを汚してくれて、あり、がとう……ございます……だから、その、もっと下さい……!」
そしてタイプアップの合図が鳴った時、より多くの精液が注がれていたのはエルザの前に置かれたビーカーだった。
「や、やだ……嫌……たす、助けて……エルッ」
敗北を告げられ、恐怖に震えるミラアルクは思わずエルザの方を見る。
一足早く牢へと返される彼女が安堵と自己嫌悪が混ざった表情でこちらを一瞥し、逃げるように立ち去るのを見て、ミラアルクは観念したように俯いた。
自分が勝利していたら、きっと同じ表情を浮かべていたと理解したのだ。
ミラアルクにとっての長く辛い地獄のような一日が、今始まった。
「ぐっ、うぅ……!」
ギロチン台に似た拘束具で自由を奪われ、四つん這いの姿勢で固定されたミラアルクは、与えられる快楽から逃げるように身を捩じらせる。
無論、ガチャガチャと拘束具が擦れ合う音が無情に響くだけなのだが。
ミラアルクの頭上には秒数を示すデジタルカウンターが表示され、今もその数を減らしている。
カウントがゼロになれば拘束が解け、彼女が解放される仕組みだ。
カウントは三千六百秒からスタートした。
つまり六十分耐えればいいのだが、それだけで終わるはずもない。
ミラアルクが声を上げている間はカウントがストップし、彼女が絶頂する度に十五分……九百のカウントが増加する。
現にミラアルクが悶えながら嬌声を漏らしている今、頭上の数字は二千四百九十三から動いていない。
膣と尻穴に挿入された大型のバイブが生き物のように動き回り、両の乳首と陰核に被せられた吸引機が容赦なくミラアルクを喘がせる。
「──ッ!」
ビクン、とミラアルクの肉体が跳ね、バイブと秘部の接合部から愛液が滴り落ちた。
カウントが追加され、ミラアルクは一向に減少しない数字に絶望する。
周囲の見物客はその様を見て、ケラケラと笑っていた。
精液を吐き出し終え満足した彼らにとって、ミラアルクはもはや性処理の道具ですらないのだ。
時折悪戯を行い反応を楽しみ、後は見下し嘲笑するだけ。
怒りや羞恥を感じる暇もないほどの快楽に襲われ、ミラアルクはやがて意識を失った。
ミラアルクが意識を失ったことで男共はキリが良いと判断したのか、それとも飽きたのか。
一人、また一人とその場を去り、残されたのはミラアルク一人だけ。
皮肉にも意識を失ったことでカウントは順調に減り続け、解放の時は近づいていた。
無論、真に解放されることは無く、日が昇れば再び凌辱の一日が待っているのだが。