「おぉ、思った以上に様になっているではないか」
「ええ、似合ってるわよクリス」
「──今回だけだぞ、本当に今回だけだからな!」
翼とマリアがメインで出演するチャリティーアイドルライブで、新人のアイドルが体調不良で倒れてしまったと通達が来たのが今から数時間前。
代役探しに奔走していたスタッフは翼とマリアに挨拶を済ませ客席へ向かおうとしていたクリスを発見し、即座にスカウトした。
顔を真っ赤にしながら即座に断ったクリスであったが、今回だけと懇願されて衣装を身に纏い、翼とマリアの率直な誉め言葉に顔を紅潮させプルプルと震えている。
「言い方は悪くなってしまうが、あくまでも雪音の役は時間繋ぎだ。そう気負うこともないだろう」
「本格的にアイドルデビューするならここで顔を売るチャンスだけど……ねぇ、今からでも気が変わったりしない?」
「するか!」
マリアの勧誘を断り、クリスは速足で舞台袖へと移動していった。
マリアは軽く肩をすくめ、翼はステージの様子が移るモニターへと視線を移す。
(こんな格好、二回も三回もしてられるか!)
内心で毒づくクリスの衣装は、倒れた新人アイドルのものをそのまま着用している。
赤を基調としたフリフリの典型的なアイドル衣装。
渡された時は好きなアニメのうたずきんに似ていると多少は上機嫌だったのだが、いざ来てみると鏡に映った自分の恰好に羞恥心が勝ってしまった。
自分用に作られたわけではない衣装だ、当然サイズは合わず、お色気売りを目指していたアイドル用の衣装は純朴なクリスには刺激が強過ぎた。
ただでさえ谷間が見えるようデザインされた胸元はクリスの豊満な肉体を考慮してはおらず、生地が今にもはち切れそうなほどパツパツで、激しい動きをすれば胸がこぼれ出てしまいそうになっている。
短いスカートからは冷房程度の風でも中身が簡単に見え、尻穴に挿入されたビーズから生える犬の尻尾と秘部に挿入された二つのピンクローターが雄の視線を集めていた。
舞台袖で出番が近づくと、クリスの周囲ではスタッフが慌ただしく駆けていた。
マイクを手渡され、段取りを再確認。一旦ライトが落とされ暗闇になった舞台の中央へとクリスは歩を進める。
マイクのスイッチがオンに、照明が点灯しクリスを照らし、そしてローターのスイッチも入ると同時に音楽が流れた。
「ッ~~!」
観客の視線と熱狂。
そしてローターの振動が伝える快楽でクリスの顔は茹で蛸のように赤く染まり、体は電撃を浴びているかのように震えている。
前奏が終わり、翼とマリアがモニター越しに見つめる中、極度の緊張と羞恥で、クリスのタガは完全に外れた。
「~~~~♪」
ようはヤケクソになったというだけの話だが、それで十分だった。
クリスの美貌と肉体、そして歌声は新人アイドルという枠に収まるような物ではないのだから。
観客は突如現れた見知らぬ新人アイドルの歌声に酔いしれ、揺れ動く乳房とスカートの中身に股間を固くする。
ローアングルで撮られた映像はリアルタイムで後方の巨大モニターに映し出され、クリスの秘部や尻肉が衆目に晒される。
サビに入れば激しい動きで衣装はズレ動き、ピンク色の乳輪がちらりと露出する。
羞恥心と快楽が合わさり、歌い終わると同時にクリスは絶頂を数万の観客に晒す。
噴水のように噴き出す愛液を合図にライトは消灯し、その場に崩れ落ちたクリスをスタッフが舞台袖へと回収していった。
歌ったのは僅か一曲で、時間にすれば五分にも満たないが、その熱狂は途轍もなく大きなものであった。
「お、終わった……」
自分の出番が終わり、まるで一昼夜ノイズと戦い続けたような疲労感を覚えたクリスは舞台裏でぜいぜいと息を吐いていた。
「何を言っている、ここからが本番だぞ?」
「はぁ?!」
だから、翼の宣告にクリスは驚きと困惑の感情で答えることしかできなかった。
チャリティーの、そしてライブの目玉はファンとの触れ合いである。
握手会・グッズ販売・私物オークション。
慈善団体への寄付という名目を得た運営は、いつも以上にファンから金を吸い上げる。
「ほら、手が止まってるわよクリス!」
翼・マリア・クリスの三人は握手会に並ぶファン達を捌いている。
入口で販売されている一回一万円のくじを提示され、そこに書かれた内容でクリス達はファンと握手している。
手と手の握手は外れだ。
手と胸、肉棒と手、大当たりは肉棒と秘部。
要は愛撫と手コキと性交であるのだが、この場ではこの行為は握手会と表現される。
「んぐっ、むぶぅっ……!」
クリスは口で肉棒を咥え、両手で二本の肉棒を扱く。
三人に犯されながらも、クリスの列はまだマシなほうであると言わざるを得ない。
新人アイドルのクリスと違い、マリアと翼の人気は比較しようがないほどに強大だ。
二人を求める長蛇の列はクリスの列の二倍近い速度で動いているが、それでも終わりは未だに見えない。
「ほう、今日が初めての現地観戦か、有難い」
「あら、貴方は確かこの前のライブにも来てくれていたわね」
膣や尻穴を犯され、胸と手で奉仕をしながらファンとの交流までこなす翼とマリア。
そんな様子にクリスの負けず嫌いが刺激されたのか、疲労感もいつの間にか忘れ、クリスは目の前でそそり立つ肉棒へと狙いを定める。
握手会は二時間もの長時間に及び、大盛況のまま幕を閉じる。
そして休む間もなく、次のイベントが開始されるのだ。
「嘘だろ……?」
「毎回思うけど、凄い熱狂ね」
「それだけ我々が愛されているということだろう。いいことじゃないか」
チャリティーオークションで販売されるアイドルたちの私物や限定グッズ。
その所有権をめぐって際限なく跳ね上がる落札額に、クリスは完全に引いていた。
サイン入りのブロマイドが二万円なのはギリギリ理解できた。
クリスが着用した今日のアイドル衣装は、たった今目の前で百四十万円で落札されたのだ。
「どこにそんな金持ってんだよ……」
「お祭りって財布の紐が緩みがちよね」
「そういう問題じゃねえだろこれ……!」
そして次々と出品される内容は過激になり、最低落札価格も跳ね上がっていく。
最後の商品であるマリア・翼・クリスと一夜を過ごす権利は二百万円からどれだけ跳ね上がるのか。
それを知ることになるのは、もうすぐ先の話であった。