とある並行世界のリディアン音学院、その一室で立花響は目を覚ます。
この並行世界にやってきて二日経過したが、未だその常識に慣れることは出来ていない。
並行世界では世界の常識そのものが変化していることも多く、そうした場合装者は余計な混乱を招かないようその常識に順応する必要がある。
だがこれは、あまりにもあんまりではないだろうか。
周囲で次々と起床する他の女子生徒たち。
全員が同じ部屋で、ベッドの一つもなく床で寝ている。それはまだ我慢が出来る。
だが響を含む全員が全裸に個体識別用の首輪のみの恰好で朝の支度を整える光景は、未だに忌避感が勝り真似をすることに戸惑ってしまう。
ここは男尊女卑並行世界。
女であるというだけであらゆる権利を失い、雌として生きることを強制される並行世界だった。
起床し、響が向かうのは教室。
リディアン音学院に通う雌は比較的多くの権利を許されており、二足歩行で歩くことが出来ている。
外では四つん這いのままリードを引かれて歩く者や、酷い所では道端に目隠しと拘束を施されたまま展示されて通行人に犯され続ける者までいる始末だ。
教室に付き、響は己の席に着席すると、椅子に固定されたディルドが膣に深々と突き刺さる。
「く、ぐぅっ、うぅっ……!」
うめき声を上げながら最奥まで挿入し、固定用のベルトを締める。
それが授業を受ける際のマナーであり、校則だった。
授業は真面目に受けるのがルールであり、無様に絶頂でもしようものなら容赦なく罰が与えられる。
また、授業内容も響が元の世界で受けていたようなものは僅か一割程度であり残りは卑猥な性的知識の授業に差し変わっていた。
教師が操作したモニターの画面上では、先日行われたマリアと翼のライブ映像が流れている。
彼女らはこの世界の女の中ではトップクラスの存在であり、基本的人権の殆どを所有していた。
無論、あくまでも底辺の雌と比較してであり、雄とは比べるべくもないのだが。
マリアと翼は秘部も乳房も一切隠れていない下品で卑猥な衣装に身を包み、ローターとバイブの刺激に甘い吐息を漏らしながらも必死に音程を合わせて歌を歌っている。
膣の締め付けを緩めてバイブを落としたり絶頂で歌を止めてしまうと一発で雌奴隷に降格する厳しい世界だと教師は真面目な口調で解説していた。
並行世界の別人とは言え、見知った顔が快楽に悶えながら懸命に笑顔を浮かべて雄に媚びる姿を眺めるのは、響にとって一時間の授業が永遠に感じるほどの苦痛だった。
授業が終わり、響はディルドをゆっくりと引き抜く。
部活の用事があると言って去っていた未来を見送り、響は一人食堂へと向かった。
廊下では成績の悪かった者や校則違反を犯した者が見せしめのように罰を受けている。
極太のディルドにスクワットを強制される者、[反省中]の札を首から下げたまま全裸で立つ姿をネットに配信されている者など様々だ。
目を逸らし、視界に出来るだけ入れないようにして響が廊下を早足で歩いていると、廊下の先にいる月読調と目が合った。
いや、その表現は不適切かもしれない。
調はこちらの様子を気にする余裕などない、罰則を受けている最中だったのだから。
周囲の会話を聞く限り、調は先程の性技実習で赤点を取ったらしい。
四つん這いのまま歩き、両手足に繋がった鎖の先にある三角木馬を転がしている。
三角木馬の上には同じく罰則中の切歌が跨っており、古い車輪がガタガタと振動を伝える度にボールギャグ越しからの悲鳴が漏れ聞こえていた。
調が速く動けば動くほど振動は強くなり、切歌を苦しめる。
だが備え付けられた電子タイマーが容赦なくカウントダウンを繰り返しており、時間内に一周しなければこの罰は終わらずもう一周させられる。
調は細身の肉体を必死に動かし、馬車を決死の表情で引いていた。
ほとんど栄養剤の味しかしない家畜用のような食事を終え、響は次の授業に備えて便所へと向かう。
女用の便所など当然存在しないため、来客用男子便所を使用させて頂く立場であるが。
小便器の代わりに配置されているのは罰を受ける女子生徒だ。
中には元の世界でクラスメイトだった寺島詩織の姿もあり、死んだように光を失った瞳と全身を汚す白と黄色の液体が、彼女がここに配置されてからの時間を物語っている。
この便器以外で用を足せば校則違反で、今度は響がここに配置されることになる。
響は一番端の見知らぬ少女を選び、彼女の口に己の秘部を押し当てるとジョロジョロと小便を流し込んだ。
何度も何度も脳内で謝罪の言葉を繰り返し、全て出し尽くしたというのに全くスッキリしない心中のまま響は教室へと向かう。
長い長い授業を終え、帰路に就く響。
周囲のクラスメイトは明日の性技実習が憂鬱だと世間話を話していた。
もし赤点ならどんな目に合うのか、その様を想像して寒気を感じた響は自然と早足になる。
そしてその先で、複数人に犯されるクリスを視界に捉えた。
それはこの世界では日常の光景である。
股を開けと男に命令されれば、女に拒否する権限など存在しない。
だが膣の締まりを強めるために首を絞められていたクリスが浮かべる苦悶の表情を前に、響の肉体は無意識に動いてしまい──。
「あっ……」
正気に戻った時にはもう遅かった。
正当な理由無き雄への反抗。
軽く男の体を押しのけたその行動は、響の立場を底辺に堕とすことに十二分な理由だった。
翌日。
響は重罪人のように全身をガチガチに拘束され、路上を引き回されていた。
自動走行の機械から伸びる鎖に首輪を引っ張られ、時速四キロ以上の速度での歩行が強制されている。
両足には重りが繋がれ、首には罪状が書かれた札がぶら下がり、己が罪人であるという事実を周辺の住人に知らしめるための見世物は毎朝の日課として組み込まれ、日が昇る前から数時間をかけて行われる。
雌からの軽蔑の視線と雄からの罰と称した鞭の痛み。
無抵抗でそれらを受け入れ、心身ともに疲弊した状態でようやく響は登校を許される。
授業が開始される時間になっても、響が教室に入ることは許されない。
入口近くに設置された響は、来客と職員をその口でもてなすことを強要される。
開口具を嵌められ、両手は頭の上で縛られ、両足はガニ股。
無様な姿で男根を受け入れ、注がれた精液を飲み干すのが彼女の授業だ。
無論、誰も居ないからといって休息が許される訳が無い。
響を使い終わった利用者は秘部と尻穴に栓代わりの極太バイブを挿入して去っていく。
数分間動きが無ければバイブは振動を開始し、響の肉体を苛め抜くようになっている。
快楽に負けて一定量以上の声を出したり、姿勢を崩すと罰として電流が流れるため、一瞬たりとも休むことはできない。
放課後になり、帰宅する生徒が向ける侮蔑の表情を受けながら、響はようやく解放された。
彼女を配置していた鎖はそのまま犬を歩かせるリードとなり、引きずられるように響は次の目的地へと歩かされる。
奉仕業務という名目で連れてこられた先は、近所の工事現場だ。
高所の資材運びや廃材運び等の単純労働に加え、性的奉仕も無論仕事に含まれる。
大の男が苦労する量の仕事をこなし、作業員の休憩時間には呼びつけられる度に急いで向かい全身の穴で奉仕する。
響だけが休憩の時間を与えられず、与えられた仕事を終えたのは日が沈み切ったころだった。
帰宅を許されたのは深夜になったころだった。
倒れる様に意識を失い眠る響だが、数時間後にはアラーム替わりの電気で起こされることが決まっている。
心が壊れこの地獄が日常に変わるのが先か、肉体が壊れるのが先か。
そんな不安を抱いたまま、響は生きるために目を閉じた。