どんな人間にも、人生にはモテ機が三度やってくる。
どこかの本で読んだ与太話だが、だとすれば自分にはその三度が纏めてやってきたのだろう。
そう男は考えた。
年はまだ未成年。
学校のクラスメイトがグラビアアイドルの水着姿で興奮するようなころに、美人の彼女ができたのだから。
家族に土日の連休は友人の家に泊まると嘘のメールを送り、高級マンションの最上階へとエレベータで向かう。
初日はそれだけでも緊張して挙動不審になっていた男も、ようやく慣れた手つきで彼女の元へと向かうことが出来るようになった。
「お帰りなさい、待ってたわ」
超人気アイドルとして有名なマリア・カデンツァヴナ・イヴは、彼の帰宅を迎え入れる。
その美貌、立場、年齢にとあらゆる要素が釣り合っていないカップルだが、彼女が一目惚れしたと告白してきたのだから彼に断る理由など存在しない。
「んっ……」
マリアは男に抱き着き、唇を重ね合わせた。
舌を入れ、絡ませながら、手慣れた所作で彼の制服を脱がせながら己の豊満な胸を押し付ける。
「ご飯にする? お風呂にする? それとも……」
マリアは膨れ上がった男の下半身に指を這わせ、返答も効かず彼を風呂場へと連れて行った。
それは毎週繰り返されているお約束の質問であり、お互いに答えは決まっているのだ。
風呂場には既に湯が張られ、マットやローション、スケベ椅子がいつでも利用できるよう準備されていた。
マリアは彼に手渡された水着を着用して、その肢体を見せつける。
脱衣所にはスクール水着からスリングショットまで様々なマリア用の水着が用意されており、その日ごとの男の気分でマリアは水着を変えるのだ。
今日の水着は下品に輝く金色のマイクロビキニ。
胸や尻の肉がほとんど隠せていない布地の少なさに下品で滑稽な金色が映え、彼女の肉体をより一層淫猥に引き立てている。
マリアは椅子に座った彼の背後に回り、胸の谷間で石鹸を泡立て己の乳房をスポンジ代わりに背中を洗う。
無論、ローション塗れの両手で彼の肉棒を扱くことは忘れない。
右手でリズミカルに肉棒を扱き、左手で睾丸をもみほぐす手つきは熟練のソープ嬢に匹敵すると言っていいだろう。
「どう? 気持ちいい?」
口にする必要も無い。
マリアが与える性的刺激、アイドルに性奉仕をさせているという高揚感。
その全てが毎日味わっても一切飽きることのない極上のものであることは自明の理である。
「──ッ!」
彼は我慢も遠慮も忘れて白濁液を解き放ち、マリアの両手を汚す。
それがマリアの望みであり、彼女が最も喜ぶ行動であるという理解があるが故の射精である。
マリアは男をマットに寝かせ、マットと己の肉体をローションで塗れさせた。
全身が照明によって妖しく輝き、たぷん、という擬音が似合いそうな雌の肉が揺れ動く様は出したばかりで敏感な肉棒がすぐさま硬さを取り戻すほどの絶景である。
「ん、しょ……ッ」
掛け布団のように男へと覆いかぶさるマリア。
ローション越しの粘度を持った乳の柔らかさを堪能しながら唇を重ね合わせると、男は脳が溶け落ちる錯覚に襲われた。
日常生活では絶対に体験しない、人によっては一生未知のままであろう刺激に陶酔していると、マリアはキスを終えるとナメクジのように男の全身を這い回る。
顔面が乳で塞がれ、視界が開けたと思えば目の前に尻が映る。
たぷん、ねちゃぁ、ぺちん、と多種多様な擬音が耳を喜ばせる。
時間感覚も曖昧になり、ぼぅっとした頭のまま快楽だけを与えられ続ける。
我慢という言葉の意味も忘れた男は己が気付かないままに垂れ流すように性を吐き出し、マリアを満足させるのだった。
湯船の中でも、マリアの奉仕が収まる時は一瞬も存在しない。
マリアが背後から優しく抱きしめれば、体格差で同年代と比較しても小柄な男の肉体はすっぽりと彼女の中に納まってしまう。
太股を椅子に、乳房を背もたれ代わりにしての入浴。
更にマリアが首筋や耳に啄むようなバードキスを繰り返し情欲を煽ってくるオプションまで付いてくるとなれば、常人が札束を積んでも叶えることのできない夢のシチュエーションである。
日常の風景と化しているのは事実だが、それが退屈であるという意味ではない。
何度も出したはずの肉棒はあっという間に雄々しい硬さを取り戻し、湯の中でゆらゆらぴくぴくと動きマリアを誘惑していた。
風呂から上がり、宿題と食事を済ませた男は股間を抑えながら自室へと戻る。
扉を開くと部屋の大きさには不釣り合いな大型高級ベッドが視界を埋め尽くし、その中央ではマリアが待機していた。
マリアは男をベッドに誘うと彼の股間に顔を埋め、大きく深呼吸を行う。
「すぅぅぅぅッ……!」
腰を浮かせる男も、発情したように呼吸を荒げるマリアも、つい数時間前に体を重ね合わせたばかりである。
だというのに、まるで数年越しに再開したかのような様子で二人は発情し、爛れていた。
マリアは男の肉棒に手慣れた手つきでコンドームを被せると、一切の前戯や予告なく己の膣に肉棒を挿入させる。
濡れ切った膣はあっという間に根元まで肉棒を受け入れ、両者の喉から短い喘ぎ声を漏らさせた。
男は一切動かない。
マリアは彼の上で腰を上下させ、できるだけいやらしく音を出しているかのように尻肉を打ち付けながら騎乗位で性を貪っている。
「──ッ!」
ゴム越しに注がれる精液の熱さに、マリアは腰をのけ反らせた。
ズルリ、と引き抜かれたコンドームに溜まった精液の量はずっしりと重く、それは男がまだまだ性欲を持て余していることの証明でもある。
マリアはゴムを外し、新しく付け替えると亀頭にキスを落とす。
夜はまだまだ長く、お互いに眠る気はさらさら無い。
甘く激しい交尾は日が変わり、疲れ果てて眠りに落ちるまで続くのだった。
「おはよう、よく眠れた?」
翌日。
男が目を覚ますと、マリアは男の体を抱き枕のように抱いていた。
必然、あらゆる言葉は耳元で囁かれ、男の鼓膜を淫靡に揺らす。
「汗だくになっちゃったし、まずはお風呂かしら……あらっ」
夜通しの交尾は性欲の完全解消には至らず、男の理性というリミッターを外すだけの結果となった。
土曜にマリアが主導で搾り取り、日曜には男が獣と化すのは毎週の恒例行事のようなものだが、マリアは乱雑に己の乳房を揉みしだく男を歓迎し、宥めるように二人で浴室へと歩いていく。
そこからはもう、お互いに止まらない。
男はあらゆる場所と状況でマリアを犯すように交尾を繰り返した。
拙く、荒々しい獣のようなピストン運動はマリアの情欲を煽り、彼女は性奴隷のように媚びたキスを返礼する。
召使がごとき手つきでゴムの交換、完了を告げる亀頭や睾丸へのキスに時折挟まれるパイズリ奉仕。
それ以外はただ股を開いて肉棒を受け入れ、喘ぎ声を響かせるだけの存在となったマリア。
「……あら、ちゃんと準備していたのだけれど」
数箱用意していたコンドームが切れ、最後の一つが今真昼のベッド上で使用された。
余るほど用意していたのにまさか足りないとは、とマリアは苦笑を浮かべ男の耳元で提案を行う。
「どうする? このまま近くのコンビニにでも買いに行きましょうか。面倒なら私が買いに行ってもいいし、自尊心を満たしたいならデートみたいに二人で買いに行って周りに見せつけても……それか」
マリアはゴムを外し裸になった肉棒を優しく撫でる。
我慢汁を垂れ流すそれを己の秘部に当てて行われる誘惑に抗える雄など存在するはずもなく。
「~~~~ッ!」
返答は挿入で行われた。
ゴム越しではない、生の交尾にマリアも男も顔を歪ませ獣と化す。
僅か一ミリ以下の差であるはずなのに、その違いはまるで別物だ。
先ほどまでの天国のような快楽がまるで玩具であったかのような生交尾に、二人は再び没頭したのだった。
「また来週、待ってるわ」
帰宅の時間になった男を、マリアは玄関で見送る。
名残惜しい感情を隠すことも無く、しかし分別は付けるのが彼女の大人としての余裕か、プロ根性か。
最後に短く唇を重ね、マリアは短く囁く。
「今度のライブ、チケット送るから見に来てね。結構スカートの短い衣装なんだけど、買い切りの契約結んでるから次の週末には着たまま……ね?」
とんでもない暴露と約束に、来週の“デート”を想像し男の股間は再び膨らみだしてしまう。
怪しく悪戯気に笑うマリアの表情を脳裏に記憶しながら、男は永遠とも感じる一週間の日常に帰るのだった。